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文化祭
13.なんでこんな格好に
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文化祭最終日。
昨日以上に繁盛してるカフェで、みんな忙しく働いていた。
・・・・昨日は、カフェの仕事や交流試合と、疲れたのもあって、真っ直ぐ家に帰った。
帰る時まで、あきらはいろんな女のコに捕まっていて、全然話も出来なかったし、あきらを置いて、オレは先に帰ったんだ。
夜にあきらから電話がかかって来てたけど、オレはその時ちょうど風呂に入ってて。
・・・・なんだか話をする気になれなくて、メッセージだけ送って、電話はかけなおさなかった。
そして、今日もあきらは女のコに囲まれている。
うちの生徒のコだけじゃなく、外から遊びに来てる女のコたちにも。
あきらからは、シフトが入ってない時間に一緒にまわろうってメッセージが来てたけど、実際、無理だろ。
あんなに女のコに囲まれてたらさ。
休憩の時間になって、オレは店の裏に戻ってきた。
「休憩行ってくるなー」
・・・・あきらとはまわれないしなー・・・・
亮介や修吾も無理だろうし。
どうしよっかなー。
考えながら、執事の衣装を脱ごうと、更衣スペースに入ろうとすると。
「あ、坂本くん!」
クラスの女子に呼び止められる。
「ねえ、悪いんだけど、もう少し、お店に出てくれない?」
「え、なんで?」
「メイド役のコが、一人体調悪くなっちゃって、出れなそうなの。 それに、めぐみがちょっと・・・・」
「高野が、どうかしたのか?」
・・・・なんか、イヤな、予感。
「・・・・うん。 ちょっと、シフトずらしてほしいって頼まれちゃってて。 それで、今の時間帯、メイドが足りないうえに、体調不良のコがいて・・・・・」
・・・・今の時間、あきらも、シフトが入ってない。
「・・・・高野、なんでシフトずらしてって言ってたんだ?」
答えは予想できるけど・・・ 一応、聞いてみる。
「・・・たぶん、あきらくんと一緒に居たいんじゃないかなあ。 人手が足りなくなったから、戻ってほしいって言おうと思って連絡してるんだけど、繋がらなくて」
結果、予想通りの答えが返ってきた。
・・・・・あきらと、高野、一緒に居るんだ・・・・・・
落ち込むオレをよそに、クラスの女子は話を進める。
「それでね、メイドが足りないから、メイド役で出て欲しいんだー♡」
・・・・どうせ、あきらと一緒にまわるとか、無理だろうし・・・・・
まあ、いっか・・・・・
オレは、考えに耽っていて、話を聞いていなかった。
「・・・・わかった。 出るよ」
話をちゃんと聞かないまま、「どうせあきらとは回れないし、困ってるんなら協力するか」って考えてうなずいた。
「ほんとー!? ありがとう!! 助かるー!!
じゃあ、これ着てね♡」
差し出されたのは、メイド服。
「・・・・は?」
「だから、これに着替えて♡」
「いやいや。 この格好でいいだろ」
まだ執事の衣装、脱いでないし。
「だって、足りないのはメイドなの♡」
「・・・・・・いやいやいやいや。 無理だって!!
ていうか、お前が着ればいーじゃん! オレがキッチンやるし!」
オレに頼んできてるのは、キッチン担当の女子。
オレがキッチンに入って、このコがメイドになればいい。
「せっかくだったら、坂本くんのメイド姿見たいなーって思って♡ 絶対かわいいし!」
「いやいやいや。 まじで意味わかんねーから!」
混乱状態で、「いやいや」を連発するオレ。
いつの間にか、他のクラスメイトが何人かオレたちを囲んでた。
・・・・その中に、委員長も居た。
委員長は腕を組み、冷ややかな目でオレを見る。
「坂本。 みんなのためだ。 やれ」
・・・・・うそだろー!?
みんなに頼まれて、委員長に抑えつけられて、オレは無理矢理メイド服に着替えされられてしまった。
ウイッグもつけられて、軽く化粧もされて。
・・・・・・っていうか、絶対みんなでハメやがったな・・・・・・・・!!
「やだー! 坂本くん、かわいいー♡」
「絶対似合うと思ってた!」
「・・・ああ、いいんじゃないか」
女子たちが絶賛する中、委員長も満足そうだ。
「よくねーよ! こんな格好で人前に出れるか!!」
「坂本くん、ダメだよー。 もっとおしとやかにして♡」
「ほら、言ってみて。 『お帰りなさいませ。 ご主人様♡』って♡」
「無理だって!」
「大丈夫! かわいいから! レイキちゃん♡」
レ、レイキちゃん、って・・・・・
「ほら、レイキちゃん、見てみて」
鏡を渡されて見てみると、そこにはオレの知らないオレが映っていた。
髪も長くて、つけまつげやら、チークやら、リップやらつけられて、・・・・・パッと見、女のコに、見える。
・・・・オレだって、分かんねー・・・・・
「ね? かわいいでしょ?」
・・・・・確かに、かわいい、かも・・・・
「いや、でもさ、ばれたらオレ、変態扱いだろ」
「大丈夫。 笑いが取れるだけだって」
・・・・笑いって・・・・・ 別に、欲しくねーけど・・・・・
「よし! じゃあ、お店の方に行ってね!」
「うわっ!」
どんって背中を押されて、オレはフロアーに出てしまった。
カフェは相変わらず盛況で、満席だった。
廊下を見ると、待っている客もたくさんいる。
「レイキちゃん、コレ、5番にお願いねー」
そう言って、キッチンからコーヒーを2つ渡された。
・・・・・まじかよ・・・・・・
もう、やるしかねーよな・・・・・
オレは恐る恐るテーブルに近づく。
・・・・・いくら笑いが取れるって言ったって、ばれたら絶対引かれるよな・・・・・・
ココは、なりきった方がいいのか・・・・・
にっこりと笑顔を浮かべると、
「お待たせしました。 ご主人様♡」
・・・・少し高めの声を出して、語尾にハートマークもつけてみた。
2人の客が、オレをじっと見ているのを感じながら、オレはコーヒーをテーブルに置いた。
・・・・手が、震える。
「・・・・ごゆっくりー♡」
もう一度にっこりと笑いかけて、席を離れる。
・・・・・・ばれなかったみたいだな・・・・・・
「レイキちゃん、いい!」
キッチンの女子たちが、オレを見て嬉しそうに笑う。
「・・・・・とりあえず、ばれなかったみたいだな・・・・・」
オレはすでにぐったりしていた。
「大丈夫大丈夫!」
「はい!次これね」
すぐに次のオーダーを持っていくよう渡される。
忙しく店内を動き回って、それでも特に男だってばれてる様子もなく、とりあえず安心してたんだけど。
「ごゆっくり♡」
にっこり笑って下がろうとすると、
「あ、ねえ」
客の一人に呼び止められた。
うちの生徒ではない、外から来た3人組の男の中の一人。
「はい、なんでしょう、ご主人様」
・・・・やば、オーダー、間違ったっけ・・・・・
それとも、バレた・・・・・?
内心ドキドキしていると、オレに声をかけた男は、とんでもないことを言ってきた。
「さっきから見てたんだけどさ、君、すごいかわいいね。 良かったらさ、LINE教えてくれない?」
・・・・・・・・・・・・・・は・・・・・・・?
・・・・・これは・・・・俗にいう、ナンパってやつか・・・・・? そうなのか・・・・!?
オレは今、男にナンパされてるのか・・・・・!!??
あまりのことに、笑顔のまま固まってしまってるオレを見て、男は少し笑った。
「ゴメンね。 急に聞いてびっくりしたかな。
シフト、何時までなの? 良かったら、終わった後一緒に回ったりとか、どうかな?」
ど・・・・どうしよう・・・・・
でも、男ですとか言うわけにいかないし・・・ っていうか、言いたくねーし・・・・
オレはトーンの高い声を保ったまま、
「・・・・ごめんなさいっ!」
ぺこりと頭を下げて、そのままそのテーブルを離れた。
・・・・・び、びっくりした・・・・・・・
男に声かけられるなんて思わなかった・・・・・・・
でも、男だって全然ばれてないってことだよな・・・・・
それは、良かったって思うけど。
それからも、オレは何人かの客に声をかけられた。
・・・・・執事の時は、女のコに声かけられるなんて全然なかったのに、なんか複雑な気分だな・・・・・
また、同じように声をかけられて。
「ごめんなさい」
そう言って、テーブルを離れようとしたんだけど。
「待って。 じゃあ、写真だけでも一緒に撮らせてよ」
そいつは食い下がってきた。
写真って・・・・・ こんな姿他人に撮られるなんて、絶対嫌だ。
「ごめんなさい」
断るけど、
「お願い」
立ち上がって、手首を、掴まれた。
触られたら、ヤバいだろ・・・・・
絶対、男だって、ばれる・・・・・!
ぐいって引っ張られて、そいつとの距離が近くなる。
「ご主人様の言いつけだよ? いいでしょ?」
やだって・・・・!
振り払おうとするけど、結構強い力で掴まれてて。
女のフリをしているから、バレたくなくて、オレも本気で振り払うことが出来なくて。
「ご主人様。 お話なら、私がお聞きいたします」
そういって、相手の男の腕を掴んだのは、
執事の姿をした、あきら、だった。
相手の男は、あきらのことを軽く睨んでから、あきらめたように席に座った。
「・・・・失礼します」
あきらは一礼すると、オレの腕を掴んで引っ張った。
そのまま、店の裏に入ってく。
裏には、戻ってきてメイドの衣装に着替えたらしい高野がいた。
「あきらくん?」
「オレとレイキ、ちょっと抜けるから。 他の奴に言っといて」
「え、ちょっと、あきらくん!」
高野があきらを呼び止めるけど、あきらは足を止めずに、そのまま教室を出た。
あきらはオレの腕を掴んだまま、無言でずんずん廊下を歩いていく。
オレはどうすることも出来なくて、あきらに引っ張られるままについていく。
執事とメイドの姿のオレたちはどうしても目立って。
「見て、あの人! カッコいいー♡」
あきらを見て、キャーキャー言う声と。
「あのコ、かわいいー♡」
「背、高いね! モデルみたい!」
・・・・どうやら、オレに向けて言ってる声が、聞こえてきた。
「つき合ってるのかな?」
「お似合いだよね♡」
・・・・つき合ってる・・・・・ みたいに、見えるの・・・・・かな・・・・・・
「あ、あきら・・・ どこ、いくんだよ・・・?」
手を引かれながらあきらに聞くけど、あきらはオレを振り返ることはなくてやっぱり無言のまま。
結局オレもそのまま黙ってあきらについていった。
昨日以上に繁盛してるカフェで、みんな忙しく働いていた。
・・・・昨日は、カフェの仕事や交流試合と、疲れたのもあって、真っ直ぐ家に帰った。
帰る時まで、あきらはいろんな女のコに捕まっていて、全然話も出来なかったし、あきらを置いて、オレは先に帰ったんだ。
夜にあきらから電話がかかって来てたけど、オレはその時ちょうど風呂に入ってて。
・・・・なんだか話をする気になれなくて、メッセージだけ送って、電話はかけなおさなかった。
そして、今日もあきらは女のコに囲まれている。
うちの生徒のコだけじゃなく、外から遊びに来てる女のコたちにも。
あきらからは、シフトが入ってない時間に一緒にまわろうってメッセージが来てたけど、実際、無理だろ。
あんなに女のコに囲まれてたらさ。
休憩の時間になって、オレは店の裏に戻ってきた。
「休憩行ってくるなー」
・・・・あきらとはまわれないしなー・・・・
亮介や修吾も無理だろうし。
どうしよっかなー。
考えながら、執事の衣装を脱ごうと、更衣スペースに入ろうとすると。
「あ、坂本くん!」
クラスの女子に呼び止められる。
「ねえ、悪いんだけど、もう少し、お店に出てくれない?」
「え、なんで?」
「メイド役のコが、一人体調悪くなっちゃって、出れなそうなの。 それに、めぐみがちょっと・・・・」
「高野が、どうかしたのか?」
・・・・なんか、イヤな、予感。
「・・・・うん。 ちょっと、シフトずらしてほしいって頼まれちゃってて。 それで、今の時間帯、メイドが足りないうえに、体調不良のコがいて・・・・・」
・・・・今の時間、あきらも、シフトが入ってない。
「・・・・高野、なんでシフトずらしてって言ってたんだ?」
答えは予想できるけど・・・ 一応、聞いてみる。
「・・・たぶん、あきらくんと一緒に居たいんじゃないかなあ。 人手が足りなくなったから、戻ってほしいって言おうと思って連絡してるんだけど、繋がらなくて」
結果、予想通りの答えが返ってきた。
・・・・・あきらと、高野、一緒に居るんだ・・・・・・
落ち込むオレをよそに、クラスの女子は話を進める。
「それでね、メイドが足りないから、メイド役で出て欲しいんだー♡」
・・・・どうせ、あきらと一緒にまわるとか、無理だろうし・・・・・
まあ、いっか・・・・・
オレは、考えに耽っていて、話を聞いていなかった。
「・・・・わかった。 出るよ」
話をちゃんと聞かないまま、「どうせあきらとは回れないし、困ってるんなら協力するか」って考えてうなずいた。
「ほんとー!? ありがとう!! 助かるー!!
じゃあ、これ着てね♡」
差し出されたのは、メイド服。
「・・・・は?」
「だから、これに着替えて♡」
「いやいや。 この格好でいいだろ」
まだ執事の衣装、脱いでないし。
「だって、足りないのはメイドなの♡」
「・・・・・・いやいやいやいや。 無理だって!!
ていうか、お前が着ればいーじゃん! オレがキッチンやるし!」
オレに頼んできてるのは、キッチン担当の女子。
オレがキッチンに入って、このコがメイドになればいい。
「せっかくだったら、坂本くんのメイド姿見たいなーって思って♡ 絶対かわいいし!」
「いやいやいや。 まじで意味わかんねーから!」
混乱状態で、「いやいや」を連発するオレ。
いつの間にか、他のクラスメイトが何人かオレたちを囲んでた。
・・・・その中に、委員長も居た。
委員長は腕を組み、冷ややかな目でオレを見る。
「坂本。 みんなのためだ。 やれ」
・・・・・うそだろー!?
みんなに頼まれて、委員長に抑えつけられて、オレは無理矢理メイド服に着替えされられてしまった。
ウイッグもつけられて、軽く化粧もされて。
・・・・・・っていうか、絶対みんなでハメやがったな・・・・・・・・!!
「やだー! 坂本くん、かわいいー♡」
「絶対似合うと思ってた!」
「・・・ああ、いいんじゃないか」
女子たちが絶賛する中、委員長も満足そうだ。
「よくねーよ! こんな格好で人前に出れるか!!」
「坂本くん、ダメだよー。 もっとおしとやかにして♡」
「ほら、言ってみて。 『お帰りなさいませ。 ご主人様♡』って♡」
「無理だって!」
「大丈夫! かわいいから! レイキちゃん♡」
レ、レイキちゃん、って・・・・・
「ほら、レイキちゃん、見てみて」
鏡を渡されて見てみると、そこにはオレの知らないオレが映っていた。
髪も長くて、つけまつげやら、チークやら、リップやらつけられて、・・・・・パッと見、女のコに、見える。
・・・・オレだって、分かんねー・・・・・
「ね? かわいいでしょ?」
・・・・・確かに、かわいい、かも・・・・
「いや、でもさ、ばれたらオレ、変態扱いだろ」
「大丈夫。 笑いが取れるだけだって」
・・・・笑いって・・・・・ 別に、欲しくねーけど・・・・・
「よし! じゃあ、お店の方に行ってね!」
「うわっ!」
どんって背中を押されて、オレはフロアーに出てしまった。
カフェは相変わらず盛況で、満席だった。
廊下を見ると、待っている客もたくさんいる。
「レイキちゃん、コレ、5番にお願いねー」
そう言って、キッチンからコーヒーを2つ渡された。
・・・・・まじかよ・・・・・・
もう、やるしかねーよな・・・・・
オレは恐る恐るテーブルに近づく。
・・・・・いくら笑いが取れるって言ったって、ばれたら絶対引かれるよな・・・・・・
ココは、なりきった方がいいのか・・・・・
にっこりと笑顔を浮かべると、
「お待たせしました。 ご主人様♡」
・・・・少し高めの声を出して、語尾にハートマークもつけてみた。
2人の客が、オレをじっと見ているのを感じながら、オレはコーヒーをテーブルに置いた。
・・・・手が、震える。
「・・・・ごゆっくりー♡」
もう一度にっこりと笑いかけて、席を離れる。
・・・・・・ばれなかったみたいだな・・・・・・
「レイキちゃん、いい!」
キッチンの女子たちが、オレを見て嬉しそうに笑う。
「・・・・・とりあえず、ばれなかったみたいだな・・・・・」
オレはすでにぐったりしていた。
「大丈夫大丈夫!」
「はい!次これね」
すぐに次のオーダーを持っていくよう渡される。
忙しく店内を動き回って、それでも特に男だってばれてる様子もなく、とりあえず安心してたんだけど。
「ごゆっくり♡」
にっこり笑って下がろうとすると、
「あ、ねえ」
客の一人に呼び止められた。
うちの生徒ではない、外から来た3人組の男の中の一人。
「はい、なんでしょう、ご主人様」
・・・・やば、オーダー、間違ったっけ・・・・・
それとも、バレた・・・・・?
内心ドキドキしていると、オレに声をかけた男は、とんでもないことを言ってきた。
「さっきから見てたんだけどさ、君、すごいかわいいね。 良かったらさ、LINE教えてくれない?」
・・・・・・・・・・・・・・は・・・・・・・?
・・・・・これは・・・・俗にいう、ナンパってやつか・・・・・? そうなのか・・・・!?
オレは今、男にナンパされてるのか・・・・・!!??
あまりのことに、笑顔のまま固まってしまってるオレを見て、男は少し笑った。
「ゴメンね。 急に聞いてびっくりしたかな。
シフト、何時までなの? 良かったら、終わった後一緒に回ったりとか、どうかな?」
ど・・・・どうしよう・・・・・
でも、男ですとか言うわけにいかないし・・・ っていうか、言いたくねーし・・・・
オレはトーンの高い声を保ったまま、
「・・・・ごめんなさいっ!」
ぺこりと頭を下げて、そのままそのテーブルを離れた。
・・・・・び、びっくりした・・・・・・・
男に声かけられるなんて思わなかった・・・・・・・
でも、男だって全然ばれてないってことだよな・・・・・
それは、良かったって思うけど。
それからも、オレは何人かの客に声をかけられた。
・・・・・執事の時は、女のコに声かけられるなんて全然なかったのに、なんか複雑な気分だな・・・・・
また、同じように声をかけられて。
「ごめんなさい」
そう言って、テーブルを離れようとしたんだけど。
「待って。 じゃあ、写真だけでも一緒に撮らせてよ」
そいつは食い下がってきた。
写真って・・・・・ こんな姿他人に撮られるなんて、絶対嫌だ。
「ごめんなさい」
断るけど、
「お願い」
立ち上がって、手首を、掴まれた。
触られたら、ヤバいだろ・・・・・
絶対、男だって、ばれる・・・・・!
ぐいって引っ張られて、そいつとの距離が近くなる。
「ご主人様の言いつけだよ? いいでしょ?」
やだって・・・・!
振り払おうとするけど、結構強い力で掴まれてて。
女のフリをしているから、バレたくなくて、オレも本気で振り払うことが出来なくて。
「ご主人様。 お話なら、私がお聞きいたします」
そういって、相手の男の腕を掴んだのは、
執事の姿をした、あきら、だった。
相手の男は、あきらのことを軽く睨んでから、あきらめたように席に座った。
「・・・・失礼します」
あきらは一礼すると、オレの腕を掴んで引っ張った。
そのまま、店の裏に入ってく。
裏には、戻ってきてメイドの衣装に着替えたらしい高野がいた。
「あきらくん?」
「オレとレイキ、ちょっと抜けるから。 他の奴に言っといて」
「え、ちょっと、あきらくん!」
高野があきらを呼び止めるけど、あきらは足を止めずに、そのまま教室を出た。
あきらはオレの腕を掴んだまま、無言でずんずん廊下を歩いていく。
オレはどうすることも出来なくて、あきらに引っ張られるままについていく。
執事とメイドの姿のオレたちはどうしても目立って。
「見て、あの人! カッコいいー♡」
あきらを見て、キャーキャー言う声と。
「あのコ、かわいいー♡」
「背、高いね! モデルみたい!」
・・・・どうやら、オレに向けて言ってる声が、聞こえてきた。
「つき合ってるのかな?」
「お似合いだよね♡」
・・・・つき合ってる・・・・・ みたいに、見えるの・・・・・かな・・・・・・
「あ、あきら・・・ どこ、いくんだよ・・・?」
手を引かれながらあきらに聞くけど、あきらはオレを振り返ることはなくてやっぱり無言のまま。
結局オレもそのまま黙ってあきらについていった。
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