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第三十四話 星遥斗①
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人の声が一切しない部屋で、遥斗は静かに勉強をしていた。来年から就学となるため、使用する教科書を先にもらったがどれも簡単すぎて欠伸が出た。
「はぁ」
小さく息を吐いて、教科書を閉じた。六年間分全て目を通したが面白味がなく学校への通うのが面倒くさく感じていた。
部屋の扉を叩く音がした。
「はい」
遥斗が小さく返事をすると、身なりを整え上品な老婆が現れた。
家の管理を行っている人であるがほとんど顔を合わせることがないため、部屋に来たことに驚いた。
「なんの用ですか?」
動揺を隠そうとして遥斗は目を細めて、冷たく言い放つと彼女は表情を一切動かさずに小さな布で巻かれたものを差し出した。
「オトウサマからでございます」
小さな布はモゾモゾと動いていた。
「動物なんていりません」
「そうですか」表情変わらない老婆は小さく頷くと、ソレをベッドの上に置いた。「気に入らないのでしたら明日また別のモノを持ってまいります」
「別のって……」遥斗は眉を寄せて、布の中を見ると目を大きくした。「赤ん坊?」
「さようでございます」老婆は頭を下げた。「それはSubにございます。遥斗様がDomとして覚醒された時ご使用ください」
「使用……」
「ええ、DomといることでSubとして早く覚醒します。また覚醒してなくてもコマンドを使えば言いなりになります」
赤子は、遥斗の顔を見ると二コリと笑い小さな手を伸ばした。それに答えるように指を出すと握りしめて口に持っていった。
「なにコレ」
ちゅぱちゅぱと自分の指を吸う赤子が面白かった。
「他はいりません。これにします」
そう告げると老婆は返事をして頭を下げた。そして、赤子に触れようとしたので遥斗は目を大きくて彼女の手を跳ねのけた。
「僕のモノですよね?」
「さようでございますが、コレはまだ幼く手がかかります。遥斗様がDomとして覚醒される頃にお持ちいたします」
「僕が育てます」遥斗は赤子を抱き上げると、守るように老婆から離した。
「赤子と言うものは手が掛かります。お一人で世話をするのは難しいと存じ上げます」
「そうですか」遥斗は手の中で笑う赤子をじっと見て考えた。「それではベビーシッターと育児書の用意をお願いします。ベビーシッターはNeutralの男にしてくださいね」
「承知しました」
老婆は頭を下げると部屋を出て行こうとしたが「待って下さい」と言って遥斗は引き留めた。
「この子の名前はなんですか? それと両親は?」
「名前も戸籍もございません。オトウサマの囲っているSubの一人が産んだモノでございます」
彼女の言葉に嫌悪感を抱いた。彼女は自分の仕事をこなしているだけであり責める気はない。軽蔑すべきは『オトウサマ』と名乗る男の行動だ。
「そうですか。では戸籍をお願いします。名前は……」遥斗は赤子を見ながら、少し考えた。「遥にします。僕と同じ字にしてください」
「戸籍ですか」老婆が眉をピクリと動かした。
「無理ですか?」
「いいえ。可能でございますが、作りますとソレは学校へ行かねばならなくなります。そうする周囲の事を理解し、遥斗様に反抗的な態度を可能性がございます」
「それでいいです」きっぱりと言って、老婆を追い返した。
遥斗とベッドに座ると、抱いている布の中を見た。
「は、るか?」
遠慮がちに呼んでみると、遥はキャッキャと笑いながら手足を動かしていた。
「遥、遥」
何度も名前を呼んだ。その度に、遥斗は反応を返すように全身を動かしていた。
遥斗はそれが、面白くて仕方なかった。
「はぁ」
小さく息を吐いて、教科書を閉じた。六年間分全て目を通したが面白味がなく学校への通うのが面倒くさく感じていた。
部屋の扉を叩く音がした。
「はい」
遥斗が小さく返事をすると、身なりを整え上品な老婆が現れた。
家の管理を行っている人であるがほとんど顔を合わせることがないため、部屋に来たことに驚いた。
「なんの用ですか?」
動揺を隠そうとして遥斗は目を細めて、冷たく言い放つと彼女は表情を一切動かさずに小さな布で巻かれたものを差し出した。
「オトウサマからでございます」
小さな布はモゾモゾと動いていた。
「動物なんていりません」
「そうですか」表情変わらない老婆は小さく頷くと、ソレをベッドの上に置いた。「気に入らないのでしたら明日また別のモノを持ってまいります」
「別のって……」遥斗は眉を寄せて、布の中を見ると目を大きくした。「赤ん坊?」
「さようでございます」老婆は頭を下げた。「それはSubにございます。遥斗様がDomとして覚醒された時ご使用ください」
「使用……」
「ええ、DomといることでSubとして早く覚醒します。また覚醒してなくてもコマンドを使えば言いなりになります」
赤子は、遥斗の顔を見ると二コリと笑い小さな手を伸ばした。それに答えるように指を出すと握りしめて口に持っていった。
「なにコレ」
ちゅぱちゅぱと自分の指を吸う赤子が面白かった。
「他はいりません。これにします」
そう告げると老婆は返事をして頭を下げた。そして、赤子に触れようとしたので遥斗は目を大きくて彼女の手を跳ねのけた。
「僕のモノですよね?」
「さようでございますが、コレはまだ幼く手がかかります。遥斗様がDomとして覚醒される頃にお持ちいたします」
「僕が育てます」遥斗は赤子を抱き上げると、守るように老婆から離した。
「赤子と言うものは手が掛かります。お一人で世話をするのは難しいと存じ上げます」
「そうですか」遥斗は手の中で笑う赤子をじっと見て考えた。「それではベビーシッターと育児書の用意をお願いします。ベビーシッターはNeutralの男にしてくださいね」
「承知しました」
老婆は頭を下げると部屋を出て行こうとしたが「待って下さい」と言って遥斗は引き留めた。
「この子の名前はなんですか? それと両親は?」
「名前も戸籍もございません。オトウサマの囲っているSubの一人が産んだモノでございます」
彼女の言葉に嫌悪感を抱いた。彼女は自分の仕事をこなしているだけであり責める気はない。軽蔑すべきは『オトウサマ』と名乗る男の行動だ。
「そうですか。では戸籍をお願いします。名前は……」遥斗は赤子を見ながら、少し考えた。「遥にします。僕と同じ字にしてください」
「戸籍ですか」老婆が眉をピクリと動かした。
「無理ですか?」
「いいえ。可能でございますが、作りますとソレは学校へ行かねばならなくなります。そうする周囲の事を理解し、遥斗様に反抗的な態度を可能性がございます」
「それでいいです」きっぱりと言って、老婆を追い返した。
遥斗とベッドに座ると、抱いている布の中を見た。
「は、るか?」
遠慮がちに呼んでみると、遥はキャッキャと笑いながら手足を動かしていた。
「遥、遥」
何度も名前を呼んだ。その度に、遥斗は反応を返すように全身を動かしていた。
遥斗はそれが、面白くて仕方なかった。
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