侍従の苦悩~お嬢様が自分は悪役令嬢だから家が没落すると大騒ぎして途方に暮れています~

黒夜須(くろやす)

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いたが……。そろそろ自覚してほしい年齢だと感じながらアルベルトはカトリーナが向かったであろう森を見つめていた。
悪い予感しかない場所にアルベルトの顔は自然と険しくなる。
「昼間なのに森の中は真っ暗ですね」
シドが淡々と言うとエドワードは鼻で笑った。
「ここは、我が国でももっと危険な森だ。昼間でもほとんど、光が入らないため様々なヤガラが住み着いている」
「作用でございます」
アルベルトはエドワードの一歩手前で頷いた。
「だからシドニー公爵に任せている。さて、我が姫はこんな所に何用かな」
危険な森に婚約者がはいったというのに、エドワードは心配する様子なく楽しそうであった。
婚約者の代わりなどいくらでもいるエドワードにとってカトリーナの安否には興味がないのだろう。ないからと言って心配する素振りもみせない彼に苛立ちを感じた。
「見てまいります」
一言言うと、アルベルトは馬を走らせた。
薄暗くはあるが、外からみるほど実際は真っ暗ではない。何度かカトリーナを探しにはいった事のある森ななめ迷う事はない。だから幼少の頃からなじみすぎているこの森が危険という認識がカトリーナに薄いのだろう。
いや、危険だと分かって入ったのか……。
幼少の頃のカトリーナを思い出し、アルベルトは胸が痛んだ。たくさんの愛情の中で育ったはずである彼女はいつもどこか寂しそうな表情をしていた。
その時、遠くの方で悲鳴が聞こえた。
血の気が引いた。
「お嬢様」
アルベルトは慌てて、悲鳴の方に向かった。木々が多く、馬を諦めようとした時人影が見えた。
「ぐぇ」
男の鈍い声とドサリと倒れる音がした。
アルベルトが馬を降り、近づくと馬丁と同じような服を着たカトリーナいた。よくしている恰好であるため驚きはしない。それよりも彼女が平民の女を庇いながら野盗と戦っていた事に言葉を失った。
彼女は見たことのない短剣を構えている。相手をしている野盗が同じよう物を持っているため奪ったものだとアルベルトは思った。
カトリーナは飛び上がると野盗の後ろに周り短剣を相手の喉に刺し自分方に引いた。
真っ赤な血が吹き出した。
あっという間であった。
カトリーナが身軽であり剣術や体術にたけているのは知っていたが躊躇なく人を殺せる事に驚き声が出なかった。
「なるほどねぇ」
後ろでエドワードの感心する声がした。
情報量が多すぎて、戸惑った。しかし、動揺している場合ないと様々な感情を押し殺した。気持ちを落ち着かせ、加戦しようと踏み出したその時……。
「ティナ様」
平民に髭の野盗の刃が向かった。カトリーナは慌てて女の元へ向かった。すると刃はカトリーナに目標を変えた。
「お嬢様」
アルベルトは、刃を剣で受けた。すると、赤髪の野盗が平民の女に髪をつかんだ。
野盗の数がつかめない。
「相手の数、わかりますか?」
「二人、後は殺した」
 よく見ると、血だらけで倒れている野盗が見えた。眉を寄せカトリーナを見ると彼女は無傷の様で安心したと同時に彼女の強さに不安を感じた。
カトリーナは地面を蹴ると平民に手を伸ばしたその時、赤髪の野盗の胸から剣の先が現れた。カトリーナが平民を引き寄せるのが後数秒遅かったら野盗と共にくし刺しになっていた。
野盗と胸から剣が抜かれると同時に大量の血が吹き出た。カトリーナの綺麗な銀髪が真っ赤に染まり平民の女は黒髪と顔が赤くなった。
「わぁー」
赤髪の野盗が倒れると黒髭が暴れた向かってきた。アルベルトは剣に勢いをつけて、相手の首を切り落とした。人の首を落すのは初めてであったが、家畜よりは柔らかく簡単に胴体から離れた。黒髭の頭が地面に転がり胴体が倒れた時カトリーナの叫び声が聞こえた。
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