6 / 60
6
しおりを挟む
アルベルトは平民の手を引いた。彼女は抵抗することなくついてきたが、真っ青な顔をして若干震えている。
身分の高い人間が声を掛けているのだから当たり前といえば当たり前であった。馬に乗せた時は硬直していた。
彼女の案内で、住まいについたがアルベルトは最初家だと分からなった。家とは名ばかりの酷い建物で屋敷の倉庫の方が遥かに住みやすそうであった。
小汚い場所に足を踏み入れるのは抵抗があったが、カトリーナが彼女を気にしているという事実がある以上彼女の生活を確認したかった。
扉を開けると、部屋中は埃っぽく鼻が曲がるような臭いがした。何度も嘔吐きそうになったのが必死で耐えた。
「ここに住んでいるのか?」
「はい。汚くて申し訳ございません」
足踏み入れると、悪臭が強くなりそれ以上前に進めなかった。奥に布を被った大きなモノがあった。
「おい、奥のあれはなんだ?」
「母です」
平民は微笑むと、布をとった。それを見たアルベルトは顔を歪めた口を手で抑えた。
厚めの布の上に置かれたソレは人の形をしていたがウジがわき腐っているように見えた。
「母、最近元気がなく動かないのです」
「死んでいるのではないか?」
アルベルトが目を細めると、平民は大きく首をふった。
「生きているという根拠は?」
「村長が紹介して下さいましたお医者様の診断です。全身に虫がおりますでしょ」
「あぁ」
「この虫が栄養をあたえてくれるのですよ。最近、臭いが酷くなりお医者様に診てもらうと弱っているようで……」平民は悲しそうな顔をした。「だから、森に薬草を取りに行ったのです」
「それは医師が言ったのか?」
「はい。薬草の名はお医者様が教えてくだり、場所は村長です。でも、銀髪の方が薬をくれたのでその必要もなくなりました」
楽しそうに話す平民にアルベルトは大きなため息をついた。そして、息をとめると平民が母と行ったモノ近づいた。
「母は返事もできないです。横になったままで申し訳ありません」
平民の言葉に返事をせず……、息を止めているのでできず、母と言われた塊を上から下まで見た。
肉は腐り落ち、全身に至る所虫がわいている。気持ちが悪いことこの上になかったが覚悟を決めると母と紹介されたモノの頭をつかんだ。
「ーーッ」平民は驚いて声を出ないようであった。
持ち上げるだけで、頭は簡単に胴体から離れた。
「え、え、そ、そんな……」
アルベルトが投げた頭部を抱きかかえた平民は泣き崩れた。
「え、そんな、だって……」
泣いている平民をアルベルトは抱き上げると、俵のように肩にかかえた。
「何をするのですか」
平民に返事をせず、悪臭のする場所から出ると大きく深呼吸をした。久しぶりの酸素に身体を喜んだ。その矢先、平民自身から強い臭いを感じた。
「母は死んだ。もうお前がここにいる必要ないだろ」
「そんな……」
落胆する平民を気に留めることなく、馬に乗り屋敷向かった。その間、平民は何度も返してほしいと言ったが気に留めなかった。
悪臭を放つコレを一刻も早くなんとかしたかった。
屋敷に到着すると、すぐにエマが出てきた。
「おかえりなさいませ」
「あぁ」
馬を降りると、屋敷の前で待機していた馬丁がアルベルトに頭を下げ、馬を受け取った。
「おい」
「はい」
普段、声を掛けられない馬丁は驚いて目を大きくした。
「この女も使え」
「馬の世話をさせるのですか? 女にはキツイですよ」
「構わん。だたし、そいつはカトリーナ様のお気に入りだ。下手なことすると物理的に首が飛ぶぞ」
「はい」
馬丁は頭を下げると平民と馬を引いてその場を去って行った。去り際、平民が何か言いたそうな顔をしていたが声を掛けなかった。
身分の高い人間が声を掛けているのだから当たり前といえば当たり前であった。馬に乗せた時は硬直していた。
彼女の案内で、住まいについたがアルベルトは最初家だと分からなった。家とは名ばかりの酷い建物で屋敷の倉庫の方が遥かに住みやすそうであった。
小汚い場所に足を踏み入れるのは抵抗があったが、カトリーナが彼女を気にしているという事実がある以上彼女の生活を確認したかった。
扉を開けると、部屋中は埃っぽく鼻が曲がるような臭いがした。何度も嘔吐きそうになったのが必死で耐えた。
「ここに住んでいるのか?」
「はい。汚くて申し訳ございません」
足踏み入れると、悪臭が強くなりそれ以上前に進めなかった。奥に布を被った大きなモノがあった。
「おい、奥のあれはなんだ?」
「母です」
平民は微笑むと、布をとった。それを見たアルベルトは顔を歪めた口を手で抑えた。
厚めの布の上に置かれたソレは人の形をしていたがウジがわき腐っているように見えた。
「母、最近元気がなく動かないのです」
「死んでいるのではないか?」
アルベルトが目を細めると、平民は大きく首をふった。
「生きているという根拠は?」
「村長が紹介して下さいましたお医者様の診断です。全身に虫がおりますでしょ」
「あぁ」
「この虫が栄養をあたえてくれるのですよ。最近、臭いが酷くなりお医者様に診てもらうと弱っているようで……」平民は悲しそうな顔をした。「だから、森に薬草を取りに行ったのです」
「それは医師が言ったのか?」
「はい。薬草の名はお医者様が教えてくだり、場所は村長です。でも、銀髪の方が薬をくれたのでその必要もなくなりました」
楽しそうに話す平民にアルベルトは大きなため息をついた。そして、息をとめると平民が母と行ったモノ近づいた。
「母は返事もできないです。横になったままで申し訳ありません」
平民の言葉に返事をせず……、息を止めているのでできず、母と言われた塊を上から下まで見た。
肉は腐り落ち、全身に至る所虫がわいている。気持ちが悪いことこの上になかったが覚悟を決めると母と紹介されたモノの頭をつかんだ。
「ーーッ」平民は驚いて声を出ないようであった。
持ち上げるだけで、頭は簡単に胴体から離れた。
「え、え、そ、そんな……」
アルベルトが投げた頭部を抱きかかえた平民は泣き崩れた。
「え、そんな、だって……」
泣いている平民をアルベルトは抱き上げると、俵のように肩にかかえた。
「何をするのですか」
平民に返事をせず、悪臭のする場所から出ると大きく深呼吸をした。久しぶりの酸素に身体を喜んだ。その矢先、平民自身から強い臭いを感じた。
「母は死んだ。もうお前がここにいる必要ないだろ」
「そんな……」
落胆する平民を気に留めることなく、馬に乗り屋敷向かった。その間、平民は何度も返してほしいと言ったが気に留めなかった。
悪臭を放つコレを一刻も早くなんとかしたかった。
屋敷に到着すると、すぐにエマが出てきた。
「おかえりなさいませ」
「あぁ」
馬を降りると、屋敷の前で待機していた馬丁がアルベルトに頭を下げ、馬を受け取った。
「おい」
「はい」
普段、声を掛けられない馬丁は驚いて目を大きくした。
「この女も使え」
「馬の世話をさせるのですか? 女にはキツイですよ」
「構わん。だたし、そいつはカトリーナ様のお気に入りだ。下手なことすると物理的に首が飛ぶぞ」
「はい」
馬丁は頭を下げると平民と馬を引いてその場を去って行った。去り際、平民が何か言いたそうな顔をしていたが声を掛けなかった。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
お気に入り・感想、宜しくお願いします。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる