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彼女は元々嘘をつくのが得意ではない。そもそも貴族には珍しく、他の人の目を気にせずに自分の思うように生きてきた。だから、公爵に見放されそうになっている。
「ケイトは、何を知っているの? そして、何がしたい?」
ズボンの裾をつかみ、下を向くカトリーナにリチャードは優しく声を掛けながら、膝をついた。
彼女の手の上に自分の手を重ねると、膨れているカトリーナを見上げた。
「私はティナ様とアルベルトが幸せになり、我が国が平和であってほしいのです」
「ケイトは?」
「私……?」
思っていなかったとでも言うようにキョトンとした顔をした。幼い頃から無茶な事をする子どもであったが、ここまで自分の幸せに無頓着ではなかった。
彼女の中にある物語を重視しすぎて、現実が見えなくなっている事を心配していた。
「ケイトの幸せはどこにあるの?」
「私の幸せは、だからアルベルトと……」
「それはわかった」
リチャードはカトリーナの言葉を止めた。その話を進めても平行線だと感じ話題変える事にした。
リチャードはカトリーナの手のひらを上に向けた。その手は公爵令嬢と思えなかった。ゴツゴツとしてまるで剣士だ。
「ケイトはとてもよく頑張っているよ。全てにおいで優秀だ。王家の者も君の実力には舌を巻いているよ」
「お兄はいつも優しいですね。ありがとうございます。しかし、全てにおいて私は未熟です」
「厳しいね」リチャードはカトリーナの手を自分の手で包んだ。「黒の国は何があるか分からない国だよ」
ハリソンには、弟アルベルトを出させカトリーナも行くような話をした。しかし、行かない選択をしてほしいと思っている。そのことでハリソンに恨まれるかも知れないが、カトリーナが生きているなら彼の恨みも甘んじて受けるつもりだ。
「そうですね。大丈夫です」
「なぜ、言い切れる」
「私が行くからです。王太子婚約者であるカトリーナ・シドニーが向かう事で女王には会えます。会えればこちらのモノ、女王は娘を……」カトリーナは言葉を止めた。「正しくは、彼女の能力を喜ぶと思います。そのために、緑の国を脅して一番血が濃く出ている王子を選んだのです」
カトリーナはリチャードから手を離すと、椅子に座り足を組んだ。その姿は、令嬢というより女王に近かった。
「折角産んだ子どもを何者かによって城から連れ去られました。女王は何年も探しているはずです」
「それはそうだけど。女王にあったあとケイトはどうなる? 無事に帰れると思っているのか?」
心配のあまり口調が強くなった。
「先ほど言いましたが、思っていませんよ。ティナ様の誘拐犯にされそれを口実に我が国に攻めてくるやも知れませんね。もしくは、人質とされて何かを要求されるやも……」
他人事にようにいう、カトリーナに寂しさを感じた。
「その時に兄殺しの逃亡者となれれば都合がいいですけどね。我が国に被害なく黒の国で私の公開処刑が行われてめでたしです」
「めでたくない」
自分でも驚くほど大きな声が出た。気づくとカトリーナを抱きしめて涙を流していた。
「そんな、寂しい事を言わないで……」
「そんなお兄だから……」カトリーナはリチャードの背中に手をまわした。「私の唯一の味方だから死んでほしかったです」
「唯一……?」
「ケイトは、何を知っているの? そして、何がしたい?」
ズボンの裾をつかみ、下を向くカトリーナにリチャードは優しく声を掛けながら、膝をついた。
彼女の手の上に自分の手を重ねると、膨れているカトリーナを見上げた。
「私はティナ様とアルベルトが幸せになり、我が国が平和であってほしいのです」
「ケイトは?」
「私……?」
思っていなかったとでも言うようにキョトンとした顔をした。幼い頃から無茶な事をする子どもであったが、ここまで自分の幸せに無頓着ではなかった。
彼女の中にある物語を重視しすぎて、現実が見えなくなっている事を心配していた。
「ケイトの幸せはどこにあるの?」
「私の幸せは、だからアルベルトと……」
「それはわかった」
リチャードはカトリーナの言葉を止めた。その話を進めても平行線だと感じ話題変える事にした。
リチャードはカトリーナの手のひらを上に向けた。その手は公爵令嬢と思えなかった。ゴツゴツとしてまるで剣士だ。
「ケイトはとてもよく頑張っているよ。全てにおいで優秀だ。王家の者も君の実力には舌を巻いているよ」
「お兄はいつも優しいですね。ありがとうございます。しかし、全てにおいて私は未熟です」
「厳しいね」リチャードはカトリーナの手を自分の手で包んだ。「黒の国は何があるか分からない国だよ」
ハリソンには、弟アルベルトを出させカトリーナも行くような話をした。しかし、行かない選択をしてほしいと思っている。そのことでハリソンに恨まれるかも知れないが、カトリーナが生きているなら彼の恨みも甘んじて受けるつもりだ。
「そうですね。大丈夫です」
「なぜ、言い切れる」
「私が行くからです。王太子婚約者であるカトリーナ・シドニーが向かう事で女王には会えます。会えればこちらのモノ、女王は娘を……」カトリーナは言葉を止めた。「正しくは、彼女の能力を喜ぶと思います。そのために、緑の国を脅して一番血が濃く出ている王子を選んだのです」
カトリーナはリチャードから手を離すと、椅子に座り足を組んだ。その姿は、令嬢というより女王に近かった。
「折角産んだ子どもを何者かによって城から連れ去られました。女王は何年も探しているはずです」
「それはそうだけど。女王にあったあとケイトはどうなる? 無事に帰れると思っているのか?」
心配のあまり口調が強くなった。
「先ほど言いましたが、思っていませんよ。ティナ様の誘拐犯にされそれを口実に我が国に攻めてくるやも知れませんね。もしくは、人質とされて何かを要求されるやも……」
他人事にようにいう、カトリーナに寂しさを感じた。
「その時に兄殺しの逃亡者となれれば都合がいいですけどね。我が国に被害なく黒の国で私の公開処刑が行われてめでたしです」
「めでたくない」
自分でも驚くほど大きな声が出た。気づくとカトリーナを抱きしめて涙を流していた。
「そんな、寂しい事を言わないで……」
「そんなお兄だから……」カトリーナはリチャードの背中に手をまわした。「私の唯一の味方だから死んでほしかったです」
「唯一……?」
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