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好み
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「ルイの言う通り、アンドレーが名前を変えて闇市の頭をやっている。そしてその息子が騎士団に入団してきた」
淡々とアーサーが言った。
実力重視で身辺調査をしない騎士団は問題と思った。叔父もため息をついているから同じことを思っているのだろう。
そもそもこの国は国民を把握していないことに問題がある。税金だって領地を持つ貴族にまかせているから横領している人もいるだろう。
奴隷がいて、差別があって、私腹を肥やす貴族がいて、平民は読み書きもできない。挙句の果ては排尿や汚染水の管理ができていないから街がきたない。こんな国の王に兄を殺してまでなりたかったアンドレーの気がしれない。
前世に戻りたい。
「ルカ、騎士館を訪れた時の話を戻していいかな」
アーサーが心配そうに声を掛けてきた。そして、ルイがソファにおいてある私の手の上に自分の手を置く。どうやら彼は落ち込んでいる人は手を握れば安心すると思っているようである。確かに発作がおきた時は安心したがそれ以外そうでもない。
「女帝の話で落ち込むのは分かるけど先に進まないとね」
ルイの優しい笑顔は一般的に胸がキュンとなるのかもしれない。しかし常に側にいると美形も飽きる。綺麗な顔であるがそれが普通になってしまうのである。遭遇率が低いからときめくのだと思った。
だいたい、いくら美しくても10代では物足りない。
「ハリー・ナイトの部屋を訪れた時の話ですよね」
これ以上、的外れな心配をされてもしかないなので笑顔で答えた。話を聞いていないつもりはないがどうしても他の事が気になってしまうのだ。
気を取り直してハリー・ナイトの部屋の前で起きた発作の話をした。あの時はこの世界に来たばかりであり、推しメンのトーマス騎士団長にあえて気持ちが高揚していた。その為心臓が早くなるもの納得がいく。
しかし、ハリー・ナイトに会えるとなった時突然“彼には会ってはいけない”となぜか思ったのだ。騎士館の行くまでは“問い詰めてやる”と思っていたのにだ。
そこから崩れるように思考が後ろ向きになったしまった。ウィリアム副団長と出会ったあたりから発作がひどくなりその場を後にしたのだ。
「あれ?」
そこまで話すと真横でルイがものすごい暗い顔をしている。アーサーは苦笑いを浮かべている。
「そういえば以前も僕よりトーマス騎士団長の方がとか言っていたよね。あの時はトーマス騎士団長の方が僕より顔がいいと言われたようでムッとしたが、そうじゃなくてルカは彼が好みなのかな」
ニヤニヤと笑いを浮かべるアーサーに“ナルシスト”だと思いながら私は素直に頷いた。パレス王国の王族は顔がいい。近親婚を繰り返したからその顔が固定されたのだろう。
「ルカはトーマス騎士団長が好きなの」
暗い顔でぼそぼそとルイが私に話しかけてきた。話しかけているのに視線を床にあり私の顔を一切みない。そこまで落ち込む理由がわからない。
「好みではあるよ。強いし筋肉質だし頼りがいがあるよね」
「好みということトーマス騎士団長が他の方と結婚しても問題はないということ」
「それは、好きにすればいいと思うよ」
ルイが何を聞きたいのか分からないが彼の質問には素直に答えた。
私に夢属性がない。あくまでも第三者の立場でいたいのだ。本当はウィリアム副隊長とくっついてほしいが既婚者である彼とは難しい。妄想では妻の存在を無視していたが現実世界ではそうもいかない。
「そっか」
さっきまで暗かったルイは嬉しそうな顔で笑っている。もしかしてルイはトーマス騎士団長狙いなのかもしれない。だったらルイ攻めがいいな。イケショタ攻めも好物だ。
やばい、久々に妄想したら顔がにやけてしまう。
淡々とアーサーが言った。
実力重視で身辺調査をしない騎士団は問題と思った。叔父もため息をついているから同じことを思っているのだろう。
そもそもこの国は国民を把握していないことに問題がある。税金だって領地を持つ貴族にまかせているから横領している人もいるだろう。
奴隷がいて、差別があって、私腹を肥やす貴族がいて、平民は読み書きもできない。挙句の果ては排尿や汚染水の管理ができていないから街がきたない。こんな国の王に兄を殺してまでなりたかったアンドレーの気がしれない。
前世に戻りたい。
「ルカ、騎士館を訪れた時の話を戻していいかな」
アーサーが心配そうに声を掛けてきた。そして、ルイがソファにおいてある私の手の上に自分の手を置く。どうやら彼は落ち込んでいる人は手を握れば安心すると思っているようである。確かに発作がおきた時は安心したがそれ以外そうでもない。
「女帝の話で落ち込むのは分かるけど先に進まないとね」
ルイの優しい笑顔は一般的に胸がキュンとなるのかもしれない。しかし常に側にいると美形も飽きる。綺麗な顔であるがそれが普通になってしまうのである。遭遇率が低いからときめくのだと思った。
だいたい、いくら美しくても10代では物足りない。
「ハリー・ナイトの部屋を訪れた時の話ですよね」
これ以上、的外れな心配をされてもしかないなので笑顔で答えた。話を聞いていないつもりはないがどうしても他の事が気になってしまうのだ。
気を取り直してハリー・ナイトの部屋の前で起きた発作の話をした。あの時はこの世界に来たばかりであり、推しメンのトーマス騎士団長にあえて気持ちが高揚していた。その為心臓が早くなるもの納得がいく。
しかし、ハリー・ナイトに会えるとなった時突然“彼には会ってはいけない”となぜか思ったのだ。騎士館の行くまでは“問い詰めてやる”と思っていたのにだ。
そこから崩れるように思考が後ろ向きになったしまった。ウィリアム副団長と出会ったあたりから発作がひどくなりその場を後にしたのだ。
「あれ?」
そこまで話すと真横でルイがものすごい暗い顔をしている。アーサーは苦笑いを浮かべている。
「そういえば以前も僕よりトーマス騎士団長の方がとか言っていたよね。あの時はトーマス騎士団長の方が僕より顔がいいと言われたようでムッとしたが、そうじゃなくてルカは彼が好みなのかな」
ニヤニヤと笑いを浮かべるアーサーに“ナルシスト”だと思いながら私は素直に頷いた。パレス王国の王族は顔がいい。近親婚を繰り返したからその顔が固定されたのだろう。
「ルカはトーマス騎士団長が好きなの」
暗い顔でぼそぼそとルイが私に話しかけてきた。話しかけているのに視線を床にあり私の顔を一切みない。そこまで落ち込む理由がわからない。
「好みではあるよ。強いし筋肉質だし頼りがいがあるよね」
「好みということトーマス騎士団長が他の方と結婚しても問題はないということ」
「それは、好きにすればいいと思うよ」
ルイが何を聞きたいのか分からないが彼の質問には素直に答えた。
私に夢属性がない。あくまでも第三者の立場でいたいのだ。本当はウィリアム副隊長とくっついてほしいが既婚者である彼とは難しい。妄想では妻の存在を無視していたが現実世界ではそうもいかない。
「そっか」
さっきまで暗かったルイは嬉しそうな顔で笑っている。もしかしてルイはトーマス騎士団長狙いなのかもしれない。だったらルイ攻めがいいな。イケショタ攻めも好物だ。
やばい、久々に妄想したら顔がにやけてしまう。
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