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ルイが追ってきた

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 おじさんを強引に引き離す。おじさんは色々な事を言っていたがそれには返事をせずに王族の生活棟へ向かおうとした。その時、突然石版魔法陣のあたりに人影が見えた。
 
 金髪の少年で魔法陣から出てくるのなんてルイしかいない。顔をみなくても誰だかすぐにわかった。

「ルカ……」

 彼は私を見ては嬉しそうな顔をしている。そして地面を蹴ると私の元にかけよると抱きついた。その勢いがよく彼が抱き着いた瞬間よろけそうになり足に力を入れた。

「ルカ……髪に血が……服にも……」 

 ルイが私の血ついた髪や服に触れマジマジと見ている。
 遠くから血が見えなかったらしい。まぁ、血が見えて私がケガしていると思ったのにそんな勢いで抱き着いてはこないだろう。

 金髪だから赤が目立つと思うだけどなぁ。

 私は自分の髪に触れ、血の付いた手みた。赤い血だ。
 目の前のルイが心配そうにするので血の主を伝えた。

「あぁ、ハリー・ナイトの血だよ」

「だよね」

 ルイの安堵した顔に私は思わず眉を寄せてしまった。
ハリー・ナイトの血だって知っていた? 彼は今、城に着いたばかりだ。きっとグレース殿下に転送をお願いして来たのだろう。その着いたばかりの彼が誰の血が知るわけがない。監視魔法陣で見ていた……?

「知っていた?」

「え? ハリー・ナイトの血だってこと? 知らないよ。ただルカの血の匂いがしなかったからルカのではないだろうなって思った」

 コワッ

 私の血の匂いがわかるってこと?
この世界だと普通なの?
いや、私は分からないから普通じゃないよね。
 
匂いが分かったりと部屋に監視魔法陣仕掛けようとしたり私のストーカーみたいで怖いと思うが本人すました顔している。
 
って、こんなことをしている場合ではない。早く王族の生活棟に行かなくてはならない。
おそらく侵入者がいてアーサーが応戦しているのだろう。さっきのように剣が効かない、防御魔法を使っていたら騎士が応戦するのは難しい。だからと言って騎士が王族を捨てて逃げるということはない。きっと多くの騎士が傷ついている。
 
ハリー・ナイトと戦っていたトーマス騎士団長を思いだした。彼は剣が効かない相手に対して臆することはなく立ち向かっていた。だから、あんな傷が……。

 部屋の隅で騎士に手当を受けているトーマス騎士団長を見ると心が痛かった。
もっと私が早く城についていればトーマス騎士団長が重症になることはなかった。

「行かなきゃ」

 私は抱き着いているルイの肩をつかみ無理やり剥がそうとした。ルイは「どこへ?」と低い声で言って私から離れなかった。どうやら怒っているようである。

「一人行動はなしだよ」
 
 どうやら、グレース殿下の屋敷から一人で移動したことを怒っているようだ。あれは仕方ないことだ。だって推しメンに危機だったのだから。彼に死んでほしくないから私は頑張っているのにここで何かあったら本末転倒だ。
しかし、本気でルイに抱きつかれたら無理やり外すのは難しい。できれば納得してほしい。

「王族の私室で大きな音がしたんだよ。カミラも心配だから確認しにいきたい。一緒に見に行こう」

 私の言葉にルイは素直に頷いた。やっぱり“一緒に”と言う言葉は効果があるみたいだ。
 おそらくカミラや他の王族は騎士と共に避難しているだろうから大丈夫だろう。“僕も向かいます”と言っていたアーサーがいるだろうから早く加勢しに行きたい。

 ルイと合流できたのはよかった。彼に魔法陣発動させれば眠くならずに攻撃を続けられる。

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