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演説
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ルイに背負われて自室に向かった。
その時国王の演説を抜けたことを後悔する気持ちがこみあがってきた。発作から何かしらの魔法にかけられているのは分かっていた、早くあの場から逃げるべきだと思うのに……。
国王の演説を聞かなくてはいけないと思う。ルイがいなければ戻っていたかもしれない。きっとそれが魔法の効果なのだ。
気づいているの。
気持ちが……。
体が……。
自室に来ると衛兵が心配そうな顔して扉を開けてくれた。ルイは“まだ回復しきっていないから演説を抜けた”と言っていた。すると衛兵は必要なものなどを聞いてきたが「大丈夫です。ありがとうございます」と丁寧に答えて入室した。
部屋に入ると、ルイは自分の胸に手をあてた。すると体調は戻り歩けるようになっていた。そして、演説を聞かなくてはいけないという気持ちが綺麗になくなった。
おそらく解除魔法陣を発動したのだ。胸に魔法陣の紙があるのだろう。ルイには動けなかった二ヶ月で大量に魔法陣を書いた紙を渡している。魔法陣に手をかざさずに発動できるようになっていた事に驚いた。素晴らしい成長だと思うと同時に私も負けられない。
強くならなくてはいけないのだ。負けたくない。
ルイに礼を言うと笑顔が返ってきた。ベッドに寝てもいいとルイに言われたが椅子に座ることにした。いつもルイと相談するときに使う場所だ。
しかし、ルイと直接会うのは久しぶりだ。二か月間、魔法陣を使って会話をしており、ルイに頼まれた魔法陣は書いてその都度使用人を通して渡していた。
この期間でかなりの数の魔法陣を作った。何度も失敗したが……。
「ルイはなんで演説中、城の中にいたの?」
「いや……ルカこそなんで演説を抜けてきたのさ」
ルイは少し考えてから私の理由を聞いていた。どうやら演説を抜けていた理由を隠したいらしい。
ここでしつこく聞いてもしかないと思った。必要になればきっと話してくれると思う……多分。
「気持ち悪かったから……多分、発作かな」
ルイは驚いていた。それはそのはず、アーサーも演説会場におり魔法を使った様子はない。確かにアーサーは魔法陣を展開せずに魔法を使えるが……。あそこで魔法を発動する理由が分からない。
もしかして、あの異様な雰囲気をつくったのがアーサーなのかな。
「原因は国王陛下かな?」
ルイが口に手をあてて考えながらゆっくりと言った。私は意味が分からずに目を細めた。
だって、国王は魔法陣発動ができないと聞いた。つまり魔法が使えない。
「ずっと、考えていたんだ。今回、様々な事を考える時間があった」
そうだね。二ヶ月ベッドから動けなかった。身体のなまりを心配して室内でできる筋トレをして何度と使用人に怒られた。サラは何も言わなかったのに……。
「今まで僕は国王陛下を素晴らしい完璧な存在だと思っていた。陛下の言う事に反論もなかった」
あー、それは漫画のルイと同じだ。国王が全てであり、父のような国王になりたいと思っていたようだ。しかし、ソーワ共和国の王女アイラと恋愛をする事によりルイは国王に反抗するようなる。現在のルイはアイラに会う前に国王に意見している。
私がルイと仲良くなったからかな。あ、そういえば告白されたのだった。色々あって忘れていた。つまり私がアイラの場所にいるということか。アイラの様に国を乗っ取る気はないんだよね。
「だけど、今は国王陛下が素晴らしいとは思っていない。大体本性みたしね。そこで一つ仮説を立ててみたんだ。国王陛下は魔法陣が発動できないと聞いたけど、魔法を使えないわけではないと思う」
ルイに言われて国王の事を思い浮かべた。王位継承者のルイに比べたら私は国王との関わりが少ない。国王と個人的な話をしたのは以前の応接室に呼ばれた時が初めてだ。それまでは玉座の間もしくは食事の時のみである。そこでは国王の質問に答える形でしか会話をしていない。
国王と話すと緊張するため避けていたのもある。
「そうだ。私は国王陛下と話をすると緊張するのだ。そう、今日の演説にように」
前世の記憶が戻ってから初めての食事も国王と対面するだけで緊張した。そこにアーサーはいなかった。発作の原因がすべてアーサーであると確証があったわけではないのにアーサーだと思っていた。だから国王陛下との食事は発作とは関係なくただ緊張するだけだとおもっていた。
どうやら違うようだ。
その時国王の演説を抜けたことを後悔する気持ちがこみあがってきた。発作から何かしらの魔法にかけられているのは分かっていた、早くあの場から逃げるべきだと思うのに……。
国王の演説を聞かなくてはいけないと思う。ルイがいなければ戻っていたかもしれない。きっとそれが魔法の効果なのだ。
気づいているの。
気持ちが……。
体が……。
自室に来ると衛兵が心配そうな顔して扉を開けてくれた。ルイは“まだ回復しきっていないから演説を抜けた”と言っていた。すると衛兵は必要なものなどを聞いてきたが「大丈夫です。ありがとうございます」と丁寧に答えて入室した。
部屋に入ると、ルイは自分の胸に手をあてた。すると体調は戻り歩けるようになっていた。そして、演説を聞かなくてはいけないという気持ちが綺麗になくなった。
おそらく解除魔法陣を発動したのだ。胸に魔法陣の紙があるのだろう。ルイには動けなかった二ヶ月で大量に魔法陣を書いた紙を渡している。魔法陣に手をかざさずに発動できるようになっていた事に驚いた。素晴らしい成長だと思うと同時に私も負けられない。
強くならなくてはいけないのだ。負けたくない。
ルイに礼を言うと笑顔が返ってきた。ベッドに寝てもいいとルイに言われたが椅子に座ることにした。いつもルイと相談するときに使う場所だ。
しかし、ルイと直接会うのは久しぶりだ。二か月間、魔法陣を使って会話をしており、ルイに頼まれた魔法陣は書いてその都度使用人を通して渡していた。
この期間でかなりの数の魔法陣を作った。何度も失敗したが……。
「ルイはなんで演説中、城の中にいたの?」
「いや……ルカこそなんで演説を抜けてきたのさ」
ルイは少し考えてから私の理由を聞いていた。どうやら演説を抜けていた理由を隠したいらしい。
ここでしつこく聞いてもしかないと思った。必要になればきっと話してくれると思う……多分。
「気持ち悪かったから……多分、発作かな」
ルイは驚いていた。それはそのはず、アーサーも演説会場におり魔法を使った様子はない。確かにアーサーは魔法陣を展開せずに魔法を使えるが……。あそこで魔法を発動する理由が分からない。
もしかして、あの異様な雰囲気をつくったのがアーサーなのかな。
「原因は国王陛下かな?」
ルイが口に手をあてて考えながらゆっくりと言った。私は意味が分からずに目を細めた。
だって、国王は魔法陣発動ができないと聞いた。つまり魔法が使えない。
「ずっと、考えていたんだ。今回、様々な事を考える時間があった」
そうだね。二ヶ月ベッドから動けなかった。身体のなまりを心配して室内でできる筋トレをして何度と使用人に怒られた。サラは何も言わなかったのに……。
「今まで僕は国王陛下を素晴らしい完璧な存在だと思っていた。陛下の言う事に反論もなかった」
あー、それは漫画のルイと同じだ。国王が全てであり、父のような国王になりたいと思っていたようだ。しかし、ソーワ共和国の王女アイラと恋愛をする事によりルイは国王に反抗するようなる。現在のルイはアイラに会う前に国王に意見している。
私がルイと仲良くなったからかな。あ、そういえば告白されたのだった。色々あって忘れていた。つまり私がアイラの場所にいるということか。アイラの様に国を乗っ取る気はないんだよね。
「だけど、今は国王陛下が素晴らしいとは思っていない。大体本性みたしね。そこで一つ仮説を立ててみたんだ。国王陛下は魔法陣が発動できないと聞いたけど、魔法を使えないわけではないと思う」
ルイに言われて国王の事を思い浮かべた。王位継承者のルイに比べたら私は国王との関わりが少ない。国王と個人的な話をしたのは以前の応接室に呼ばれた時が初めてだ。それまでは玉座の間もしくは食事の時のみである。そこでは国王の質問に答える形でしか会話をしていない。
国王と話すと緊張するため避けていたのもある。
「そうだ。私は国王陛下と話をすると緊張するのだ。そう、今日の演説にように」
前世の記憶が戻ってから初めての食事も国王と対面するだけで緊張した。そこにアーサーはいなかった。発作の原因がすべてアーサーであると確証があったわけではないのにアーサーだと思っていた。だから国王陛下との食事は発作とは関係なくただ緊張するだけだとおもっていた。
どうやら違うようだ。
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