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鬼畜上司の調教1
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(私は嵌められた……)
今回の異動──佳織を社長の秘書にしたのは、全ては性接待のためだった。
着衣を終えた佳織は、力なく椅子に腰を下ろす。机を挟んで前には氷室が腕を組んで座っている。その隣には早乙女──二人は佳織を見据えている。
「二宮さんは僕の秘書という肩書きになっているけれど、普段は秘書室の仕事をしていればいいから。接待の時だけ僕に付いて来てもらう」
氷室は淡々と説明する。
「聞いているのか、二宮」
「はい、専務……すみません」
話に集中するなんてことは無理だ。早乙女とのセックスの直後なのに。
「二宮さん。ちゃんと僕の話を聞いて」
「……はい」
バンッと氷室が机を叩く。佳織は驚いて身体を震わせた。
「僕の話、全然聞いてないだろ。接待も大事な仕事なんだよ」
「……っ、も、申し訳ありません」
佳織が謝ると氷室は溜め息を吐いて、一枚の名刺を机に置いた。名刺にはレディースクリニックと記載されている。
(何……?)
「とりあえず、今日はもういいよ。本番までの教育は、早乙女に任せる。明日、このクリニックを受診して来て。予約は入れてあるから」
「え──?」
「君にも取引先にも万が一のことがあると困るから」
(それって……)
佳織は感づいた。レディースクリニックを受診する──
「万全を期した状態で接待をする必要があるんだよ。いいね? 二宮さん」
最後に念を押されて、佳織は会議室を出た。オフィスを出る足取りは重かった。
「明日……二宮は出社するでしょうか?」
「でなければ困る。ここまでの事をしたんだ」
佳織が出て行った後も氷室と早乙女は会議室に残って話をしていた。
「早乙女。すまない」
氷室は早乙女の目を見て、申し訳無さそうに言った。さっきまでの冷酷な表情とは真逆だ。社内で冷静沈着な男と言われている早乙女と違って、氷室には幼さが残る。一企業のトップではあるが、スーツを着ていなければ学生にも間違えられそうだ。
「私のことは気にしないでください」
早乙女は首を横に振った。
「二宮さんを頼んだよ」
そう話す氷室の表情は、どこか儚げで危うかった。
翌日──佳織はいつも通りの時間に起きた。
(会社……行きたくない)
専務の早乙女と社長命令でセックスをさせられた。
(普通に接することなんてできないわ!!)
悩んでいると、社有スマートフォンが鳴った。相手は──早乙女専務と表示されている。意を決して電話に出る。
「はい……」
「起きたばかりか?」
「……」
何で分かったのだろう──正直今この時に早乙女の声を聞きたくなかったし、話もしたくなかった。
「遅刻するなよ」
「──っ」
佳織は空いている手で頭を抱える。
「それと、業務が終わったら、お前は昨夜社長が話していたクリニックを受診するんだ」
「分かりました……」
渋々返事をして、通話を切ると佳織は普段通り身支度をした。
会社に着いて、エレベーターを待っていると「おはようございます!」と元気な声がした。
「お、おはよう。菜々子……」
「あれ? 佳織さん、何だか顔色が悪いですよ?」
菜々子に指摘されて「そんなこと無いよ!」と咄嗟に否定した。
(絶対に昨夜のことは誰にも気づかれたらいけない!!)
「佳織さん、秘書室初日から張り切ってましたからね……」
「そ、そうね。で、でも大丈夫だから──」
必死に笑顔を作る佳織だったが、その背後で「おはよう」と心臓に悪い声がした。
(うっ……)
佳織がゆっくりと後ろを振り向くと、にっこりと微笑む氷室と無表情の早乙女が──「おはようございます」と菜々子が挨拶をする。
(ど、どうしよう!)
顔色が青ざめる。昨夜のことを思い出してしまう──声が出ない。
「……っ」
「佳織さん?」
菜々子が佳織の顔を覗き込む。その時、エレベーター到着の音がした。佳織は平常心を装ってエレベーターに乗る。秘書室のフロアに着くと、氷室が開ボタンを押して「どうぞ」と微笑む。
「ありがとうございます」
佳織も菜々子に続いてエレベーターを出た。どうにか一礼だけした。
(朝から心臓に悪すぎる──!)
それでも佳織は秘書室の業務を順調に進めていく。一つ一つ丁寧に。
(今は業務に集中よ!)
夕方に早乙女が佳織の席を訪れた。
「二宮。今日はもう上がっていいぞ」
「え、でも、まだ定時では──」
佳織は壁時計をちらっと見ると、氷室が佳織の耳元で周りに聞かれないように話す。
「クリニックを優先しろ」
(そ、そうだった……)
「直帰していいからな」
「……は、はい」
佳織は氷室に紹介されたレディースクリニックで診察を受けた。クリニックは、明るい照明で照らされて、テレビドラマに出てくる高級そうな家具が至る所に設置され、ソファの座り心地は良かった。病院という感じがあまりしない。佳織は看護師の説明に従い、ロッカールームで検診衣に着替えた。
(あ。向こうがお手洗いになってるんだ──デパートのパウダールームみたい……)
荷物をロッカーにしまうと、検査室へ向かった。待っている間にクリニックのパンフレットを眺めていた。どうやらこのクリニックは、最新の医療機器を導入し女性特有の病気の早期発見を目的としている──地域医療に貢献を、など記載されていた。
「二宮さーん」
すぐに名前を呼ばれて、診察が始まった。女医による問診、触診に医療機器を使って身体をくまなく検査された。採血も行い、詳しい結果は後日と言われたが、初見では問題無しとのことだった。
(何で社長はレディースクリニックのことまで知ってるんだろ……)
ふと疑問が浮かんだが、それより佳織が気になったのは処方されたピルだった。
(本当に接待をするんだ……)
数日後にレディースクリニックから検査結果が書類で届いた。
「異常なし、か」
ここで異常があれば接待を回避できたのに──淡い希望は砕かれた。検査結果は早乙女に見せるように指示があった。
(あーあ……嫌だ……)
業務終了後に第六会議室で早乙女にレディースクリニックから受け取った検査結果書類を早乙女に見せた。
「これで接待ができる。ピルは飲んでいるか?」
「……はい」
佳織は小さく頷いた。すると早乙女がネクタイを解いて、佳織に近づく。
「では、今日からお前の調教を始める」
(調教──!?)
早乙女が佳織にキスをする。最初は触れるだけだった。
「ん……」
だが舌が侵入してきて、口腔を荒らす。喉奥まで舌が押し込まれ、すべてを舐め尽くされる。
(やっぱり、こんなの──ダメ!!)
佳織は早乙女から離れようとするが、がっちり後頭部を掴まれて叶わない。
じゅっ…じゅるっと生々しい音がする。
「ん、んん……っ」
まるで水の中で溺れているようで、呼吸が上手くできなかった。
「はぁ、専務──」
佳織がヤメテと訴えかけるように、上目遣いで早乙女を見つめていた。
「お前を調教するには骨が折れそうだ」
早乙女は呟いて再び唇にキスを落とした。
今回の異動──佳織を社長の秘書にしたのは、全ては性接待のためだった。
着衣を終えた佳織は、力なく椅子に腰を下ろす。机を挟んで前には氷室が腕を組んで座っている。その隣には早乙女──二人は佳織を見据えている。
「二宮さんは僕の秘書という肩書きになっているけれど、普段は秘書室の仕事をしていればいいから。接待の時だけ僕に付いて来てもらう」
氷室は淡々と説明する。
「聞いているのか、二宮」
「はい、専務……すみません」
話に集中するなんてことは無理だ。早乙女とのセックスの直後なのに。
「二宮さん。ちゃんと僕の話を聞いて」
「……はい」
バンッと氷室が机を叩く。佳織は驚いて身体を震わせた。
「僕の話、全然聞いてないだろ。接待も大事な仕事なんだよ」
「……っ、も、申し訳ありません」
佳織が謝ると氷室は溜め息を吐いて、一枚の名刺を机に置いた。名刺にはレディースクリニックと記載されている。
(何……?)
「とりあえず、今日はもういいよ。本番までの教育は、早乙女に任せる。明日、このクリニックを受診して来て。予約は入れてあるから」
「え──?」
「君にも取引先にも万が一のことがあると困るから」
(それって……)
佳織は感づいた。レディースクリニックを受診する──
「万全を期した状態で接待をする必要があるんだよ。いいね? 二宮さん」
最後に念を押されて、佳織は会議室を出た。オフィスを出る足取りは重かった。
「明日……二宮は出社するでしょうか?」
「でなければ困る。ここまでの事をしたんだ」
佳織が出て行った後も氷室と早乙女は会議室に残って話をしていた。
「早乙女。すまない」
氷室は早乙女の目を見て、申し訳無さそうに言った。さっきまでの冷酷な表情とは真逆だ。社内で冷静沈着な男と言われている早乙女と違って、氷室には幼さが残る。一企業のトップではあるが、スーツを着ていなければ学生にも間違えられそうだ。
「私のことは気にしないでください」
早乙女は首を横に振った。
「二宮さんを頼んだよ」
そう話す氷室の表情は、どこか儚げで危うかった。
翌日──佳織はいつも通りの時間に起きた。
(会社……行きたくない)
専務の早乙女と社長命令でセックスをさせられた。
(普通に接することなんてできないわ!!)
悩んでいると、社有スマートフォンが鳴った。相手は──早乙女専務と表示されている。意を決して電話に出る。
「はい……」
「起きたばかりか?」
「……」
何で分かったのだろう──正直今この時に早乙女の声を聞きたくなかったし、話もしたくなかった。
「遅刻するなよ」
「──っ」
佳織は空いている手で頭を抱える。
「それと、業務が終わったら、お前は昨夜社長が話していたクリニックを受診するんだ」
「分かりました……」
渋々返事をして、通話を切ると佳織は普段通り身支度をした。
会社に着いて、エレベーターを待っていると「おはようございます!」と元気な声がした。
「お、おはよう。菜々子……」
「あれ? 佳織さん、何だか顔色が悪いですよ?」
菜々子に指摘されて「そんなこと無いよ!」と咄嗟に否定した。
(絶対に昨夜のことは誰にも気づかれたらいけない!!)
「佳織さん、秘書室初日から張り切ってましたからね……」
「そ、そうね。で、でも大丈夫だから──」
必死に笑顔を作る佳織だったが、その背後で「おはよう」と心臓に悪い声がした。
(うっ……)
佳織がゆっくりと後ろを振り向くと、にっこりと微笑む氷室と無表情の早乙女が──「おはようございます」と菜々子が挨拶をする。
(ど、どうしよう!)
顔色が青ざめる。昨夜のことを思い出してしまう──声が出ない。
「……っ」
「佳織さん?」
菜々子が佳織の顔を覗き込む。その時、エレベーター到着の音がした。佳織は平常心を装ってエレベーターに乗る。秘書室のフロアに着くと、氷室が開ボタンを押して「どうぞ」と微笑む。
「ありがとうございます」
佳織も菜々子に続いてエレベーターを出た。どうにか一礼だけした。
(朝から心臓に悪すぎる──!)
それでも佳織は秘書室の業務を順調に進めていく。一つ一つ丁寧に。
(今は業務に集中よ!)
夕方に早乙女が佳織の席を訪れた。
「二宮。今日はもう上がっていいぞ」
「え、でも、まだ定時では──」
佳織は壁時計をちらっと見ると、氷室が佳織の耳元で周りに聞かれないように話す。
「クリニックを優先しろ」
(そ、そうだった……)
「直帰していいからな」
「……は、はい」
佳織は氷室に紹介されたレディースクリニックで診察を受けた。クリニックは、明るい照明で照らされて、テレビドラマに出てくる高級そうな家具が至る所に設置され、ソファの座り心地は良かった。病院という感じがあまりしない。佳織は看護師の説明に従い、ロッカールームで検診衣に着替えた。
(あ。向こうがお手洗いになってるんだ──デパートのパウダールームみたい……)
荷物をロッカーにしまうと、検査室へ向かった。待っている間にクリニックのパンフレットを眺めていた。どうやらこのクリニックは、最新の医療機器を導入し女性特有の病気の早期発見を目的としている──地域医療に貢献を、など記載されていた。
「二宮さーん」
すぐに名前を呼ばれて、診察が始まった。女医による問診、触診に医療機器を使って身体をくまなく検査された。採血も行い、詳しい結果は後日と言われたが、初見では問題無しとのことだった。
(何で社長はレディースクリニックのことまで知ってるんだろ……)
ふと疑問が浮かんだが、それより佳織が気になったのは処方されたピルだった。
(本当に接待をするんだ……)
数日後にレディースクリニックから検査結果が書類で届いた。
「異常なし、か」
ここで異常があれば接待を回避できたのに──淡い希望は砕かれた。検査結果は早乙女に見せるように指示があった。
(あーあ……嫌だ……)
業務終了後に第六会議室で早乙女にレディースクリニックから受け取った検査結果書類を早乙女に見せた。
「これで接待ができる。ピルは飲んでいるか?」
「……はい」
佳織は小さく頷いた。すると早乙女がネクタイを解いて、佳織に近づく。
「では、今日からお前の調教を始める」
(調教──!?)
早乙女が佳織にキスをする。最初は触れるだけだった。
「ん……」
だが舌が侵入してきて、口腔を荒らす。喉奥まで舌が押し込まれ、すべてを舐め尽くされる。
(やっぱり、こんなの──ダメ!!)
佳織は早乙女から離れようとするが、がっちり後頭部を掴まれて叶わない。
じゅっ…じゅるっと生々しい音がする。
「ん、んん……っ」
まるで水の中で溺れているようで、呼吸が上手くできなかった。
「はぁ、専務──」
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