断罪される1か月前に前世の記憶が蘇りました。

みちこ

文字の大きさ
8 / 12

しおりを挟む

 ラッセルside

 伯母上の考えてることが理解できなくて、困惑していると伯父上は深い溜め息をつく。

「妻はいつか妹がラッセルを利用して、王座に返り咲くつもりだと考えているんだ。どんなに妹はそんなことを考えてないって言っても、あいつは納得しないんだよ」

「伯母上は何でそんな勘違いをしてるの?俺の知ってる母上は今の生活に満足していた。伯父上には悪いけど、王族としての生活は固っ苦しくて、俺も母上も嫌がってたくらいだ」

 一応は俺や母上や姉上は準王族だから、年に1度だけ色んな国の王族だけが集まるパーティーでは、王族として参加して居たけど疲れるだけで憂鬱だった。

 王になるか公爵家の当主になるか自由に選べるって言われたら、俺は迷わず公爵家の当主を選ぶ。

 国のトップなんて無理難題を毎日押し付けられて、毎日国を良くする為に政策に頭を悩ませる。

 公爵家の当主も同じようなものかもしれないけど、重要度では王のほうが重いから責任は重い。

「妹やラッセルやエレーナは準王族として王族専用の教育をしてきたから、王族って身分がどれだけ大変で責任重大か理解しているから嫌がってるのに、あいつはそれを理解してないんだよ」

 王族専用の勉強は大半が王族の歴史を習う。

 この国の王族や他国の王族がした過ちがどんな結果を生み出したのかを教えられる。

 周りへの思い遣りを無くし自分勝手に生きると、周りには敵しか残らないことを永遠と教えられる。

 国民からの希望を無視続けるとどうなるかを過去の例を交えて話されたり、軽くトラウマになるぐらい重い話を沢山されてきた。

 それを教えられてきたのに、王にならなくても済む立場にいるのに、従兄弟を害してまで王になりたいとは到底思えない。

「伯母上だって王妃になる為に王族の勉強してるよね?それなのに俺が従兄弟達に危害を加えると思ってるの?」

「あれは思い込みが激しいんだ。それと周りから色々と唆されてるんだろうな。私と妻が婚約してた頃は、妻はあそこまで妹に警戒してなかった。妹が優秀だったのもあれを余計に疑心暗鬼にさせたのかもしれない」

 母上は何も悪くないよな?

 周りは何のつもりで伯母上にそんな話をしたんだ?

 国を混乱させたかったのか?

 そんなことをして何の得があるんだ?

「伯父上は何の対策もしなかったの?伯母上に変なことを吹き込む相手を関わらせないようにすることだって、伯父上なら出来たでしょ?」

「それが難しいんだよ。相手は妻の親族が多かったのと、確信的なことは一切言わなかったんだ。相手が勘違いするような言い回しをしたり、さり気なく疑うように誘導したりしてるだけで、決定的な発言はしてなかった」

 伯母上の親族は狡賢いってことか……、伯母上の親族は何が目的でそんなことをしてたんだ?

 目的が見えてこない。

 そんなことをして何のメリットがあるんだ?

 母上が勘違いさせるような行動をしてたなら、警告の為に忠告するのは理解できるけど、母上は王女として育ったから、周りからの見え方を1番気を付けていた。

 自分の軽率な行動で周りを振り回してしまうことをよく理解していた。

 母上は、俺や姉上にも行動や言葉には気を遣うように言い聞かされてきた。

 そんな母上が勘違いされるような行動をするはずが無い。

「伯母上の親戚は、何の目的があってそんなことをしてるんですか?」

「それが分からないんだ。妹は人から恨まれるような事をしていなかった。妹やルークは私や息子を支える家臣になると、常日頃から公言していたのに、何故そんなことを言い始めたのか?」

 伯父上も分かってないのか……、

 確かに父上達は、伯父上達を何があっても支えると公言していたな。

 そういえばある日突然言うようになったよな?

 伯母上が自分達を疑ってるのを知って、誤解をとくためにやってたのかな?

「伯母上は今も疑ってるの?従兄弟たちは?」

「妻は疑ってる気がする。息子達は疑ってない。息子達の本音は多分押し付けられるなら押し付けたいが本音だろうな。妻のことは勝手なことをしないように監視続ける。」

「………分かった。姉上に心配掛けないためにも、俺はセントラル学院に入ったほうが良いんだよな?」

「そうだな。あそこなら飛び級で今から進学することも出来る。エレーナを解放してあげたいってお前の希望も早く叶うはずだ」

 そっか……、姉上達の通ってる学園は16歳にならないと通えないけど、セントラル学院なら今から準備したら来年には通えるんだ。

 3年間で卒業だから14歳で卒業して、当主になれるのは16歳からだから、2年間は姉上について回って、16歳になったら当主になれば良い。

 姉上には5年間我慢して貰うことになるけど、これが1番いいのかもしれない。

「決意したみたいだな。これから大変だろうけど頑張れ。お前は妹とルークの息子だから絶対にやれる」

「うん」

 伯父上が俺の頭を優しく撫でる。

 負担と期待で泣きそうになってると、部屋のドアが大きい音を鳴らして開けられる。

「陛下!!エレーナ様がお倒れになりました!?」


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

義妹がピンク色の髪をしています

ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
幼い頃から天の声が聞こえるシラク公爵の娘であるミレーヌ。 この天の声にはいろいろと助けられていた。父親の命を救ってくれたのもこの天の声。 そして、進学に向けて騎士科か魔導科を選択しなければならなくなったとき、助言をしてくれたのも天の声。 ミレーヌはこの天の声に従い、騎士科を選ぶことにした。 なぜなら、魔導科を選ぶと、皇子の婚約者という立派な役割がもれなくついてきてしまうからだ。 ※完結しました。新年早々、クスっとしていただけたら幸いです。軽くお読みください。

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です

しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

とある令嬢の断罪劇

古堂 素央
ファンタジー
本当に裁かれるべきだったのは誰? 時を超え、役どころを変え、それぞれの因果は巡りゆく。 とある令嬢の断罪にまつわる、嘘と真実の物語。

姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました

饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。 わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。 しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。 末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。 そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。 それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は―― n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。 全15話。 ※カクヨムでも公開しています

処理中です...