ファンタジー世界なのに無双もできない微オタク転生女子ですが、どうやら悪役令嬢になったらしいのでそれなりに頑張ってみます。

らおぴん

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ヒロイン(?)撃退←@侍女

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兄はどこへ行ったやら。
まあ、あれだけ待たされたら、消えるのも当然か。

それにしても、皆と一緒にサロンで待っているはずの令嬢が、何故ここに来たのだろうか。
誰も止める奴はいなかったわけ?
事前に聞いた限りでは、ここで、この私に待たされて文句を言える身分にあるのは王子と大公家の公子、そしてもう一人、将軍家の世子だけであるはずなのだ。

ましてや、御家人未満の武家令嬢ごときにとやかく言われる筋合いはない。
要するに彼女は、爵位で言えば騎士階級の家門の娘。
正直言って、貴族と言って良いのは配偶者までなので、この娘は全然「貴婦人」ではない。
いわゆる貴族出身、というアレである。

いろいろ言いたい事はあったが、せっかくカナが出鼻を挫いてくれているので、私は下々の喧噪には我関せずの姿勢を貫こう。
だって、そのほうが楽だし。
面白いし。

「ウェルディアナさま、この下女、失礼すぎません?!」

わめいているが、当然、無視だ。
とりわけここは、カナに譲るべきだろう。

「下女ではございません」

カナの一言で、一気に辺りは氷点下と化した。

「あなた様と同じく士族ながら御家人家門、宮中役付ダンドリー家の第一子カーリーン、憚りながら私自身も御簾中用人の号を授かっている身でございます。」

「だから何よ、娘が働きに出なきゃいけないなんて……」

「セレニスタ・マニ」

さらに気温が下がった気がする。
高位貴族の付き人達は、身分の問題にはとりわけ敏感なのだ。
というのも、学びの足りない下層階級になるほど勘違いしている者が多いのだが、王宮に私室を持つレベルの貴族ともなれば、その身辺に侍る者は、それだけで爵位をゲットできる名誉職なのである。
下位の使用人らを指揮する、ある意味、中間管理職。
これが企業なら、執事が次長、カナは……部長クラスかな?
いや、そこは筆頭侍女がいるから、さしずめ課長ってところか。

何にせよ本人にとっては名誉な職だが、ここにいるおバカのように貴族の仕組みに疎い者からはわりと、下男下女と混同されてしまっていたりするので、結構きわどい問題なのだ。

「私は自ら位を賜った貴族の身。市井の娘であるあなた様より、身分は上でございます。我が姫の御前ですゆえこれ以上は申しませんが、勤めの外では、粗相があれば許しませんよ。」

うわあ……。
こわっ!

カナって前世は修道女様だったそうだけど、悪役令嬢の素質も大だわ。
というか、むしろ私より適任かも。

金髪のセレニスタ嬢は、奇妙な音をたてて息を飲み、声もなく、カナと私を見比べた。
先ほどから無関心を装いつつも、しっかりと横目で様子を窺ってはいるが、セレニスタ嬢がそれに気付いた観はない。
きっと、戻った先でどう言えば、自分だけが正しく哀れに見えるのかを思い巡らせているのだろう。

ここらへんで、一応締めくくっておきましょうか。

私は何一つ耳に入っていなかったかのように、二人には見向きもせず、さらりと言った。

「カナ、お兄様を呼んでちょうだい。そろそろサロンに参ります。」

「お言葉のままに」

いつもの数倍、仰々しく拝命したカナは、そのまま金髪頭を押し出しつつ居間から出て行った。
さすがだね。
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