ファンタジー世界なのに無双もできない微オタク転生女子ですが、どうやら悪役令嬢になったらしいのでそれなりに頑張ってみます。

らおぴん

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あんた、何様?

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しばしの沈黙。




歓迎の言葉どころか、何のお声もかからないって、どういう事よ?

さて。

こいつら、こう来るわけね。

ここで勝手に入室する事はもちろん、許しなく頭を上げる事ですら礼を失した行為となるわけなのだが、罪人でもあるまいし、貴族の女に手も差し出さずに晒し者にするというのは、礼儀としてどうなんだろう?

腰を落としたこの姿勢は、結構キツいのだ。

そろそろ、この嫌がらせに付き合うのも限界だ。
一言言いたい気持ちはあるが、この場を最も穏便に収めるならば、手段はひとつだ。


私は一切の動揺も見せず、姿勢を崩さぬまま、素早く、滑るように身を引いた。


この場の状況を正しく見極めた奏者番が、すかさず扉を閉めようと……

「どこへ行く、ウェルディアナ・ハーン」

と、いまさらながらの、声がかかった。
どこへも何も、あんたねえ……。

「お呼びではないご様子でしたので、退出させていただきました (※ けど、何か?) 」

「……」

語尾に、思いっきり含みを込めた。
よほどのお花畑脳でもない限り、きっと、きちんと伝わったはずだ

多分、可愛げがないとか思われてるんだろうなあ……。
居丈高な調子からして、声の主はこの場では最上位の存在なのだろう。

だが、私は深窓の令嬢。
兄以外の殿方とはお目にかかった事もなく、顔はもちろんのこと、声だって、知る由もない。

それより何より、まだ礼を解く許しをもらっていないので、そもそも顔なんて確かめられない。

「クロイデン、お前の妹は、少々礼儀に疎いのではないか。セレニスタ嬢にも無体を働いたそうではないか?」

「申し訳ございません、殿下」

さすがに、兄の声ならわかる。
だが、そこは謝る所ではないだろう、兄。
失礼なのは、その「殿下」とやらだ。

ここで殿下と呼ばれる存在は、本来、お二人である。
国王家嫡流世子のサンフレッチ王子殿下と、王家の血を引き、かつ将軍家の後継者にも名を連ねる大公家世子アフマディオ親王殿下だ。


だが、違った。

「アレッソさま……」

うっとりと、件のセレニスタ嬢がつぶやいたのは、将軍家の嫡男、アレッソ・クライネの名であった。
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