貴方がここに来ないから~婚約破棄予定の聖女見習いは静かに微笑む~

ハギレ

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ーーー宰相視点ーーー

退屈そうにしている教皇に見習いが書いた重要な部分の書類を見せると、顔色が変わった。

「まさか……」

急いで陛下の執務室へ行き、侍従に陛下宛の物も探し出してもらう。

陛下のいるあの部屋へ戻る時間さえ惜しかった。

そちらの方がより詳しく書いてあった。

そして最後に添えてある言葉。

「陛下は国のトップであると同時に殿下のお父上でも在らせられます。私がお伝えするより、陛下からより良き時期に殿下へお伝えください。この先の未来が良きものになりますようお祈り申し上げます」

見習いが突きつけた推測の根拠となる書物を最優先に探すよう、残っていた文官達に申し渡した。

文官達は大いに不満を漏らす。

「夜遅くに、宰相様は人使いが荒い」
「殿下の呪い?あれだけ散々資料を探して原因も何もかも分からなかったではないですか?今更……」

そう、我々とて手をこまねいていた訳ではない。調べ尽くしていたはずなのだ。

「新しい事実が出て来た。至急、いや大至急探し出せ!」

私は文官達に激を飛ばし、陛下の元へ急いだ。

部屋に入った時、雰囲気が異様に変わっていた。

「……宰相か……あれが息子が動かなくなった……」

私は震えながら、陛下へ見習いの書類を渡した。

「これらは見習いが学園へ入る前に認めたものです。この中に呪いの石に伝わる記述があります。呪いの石は呪いを周りに撒き散らす前にまるで意思があるかのように震える事があると……」

この見習いの書類を見せながら、私宛の手紙にはいつも「殿下が勝手に行動しないよう念を押してください」と書いてあったなと思い出していた。

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