貴方がここに来ないから~婚約破棄予定の聖女見習いは静かに微笑む~

ハギレ

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私は、前々から懇意にしている隣国の聖女様にお会いした。

この方、元々平民出で王都での権力争いに嫌気がさし、今回の事を口実に辺境で活動しているとても活発な聖女様。

「殿下が亡くなりました。その後、厄災の呪いの石と同等に時折震えながらその間隔を広げていました」

「あぁ、やっぱりそうなのね。今あなたの国の都の方向に悪しきものが噴出しているのが見えるわ。ふふ、やはり私は実戦が向いているわね」

隣国では、聖女が冒険者をする事が多いらしく、この方も若い頃大いに暴れた武勇伝が残っているとか。

「国を覆う様にこちらに被害が出ない様、結界を張ります。私が打ち上げる力を見れば、他国の聖女も追随してくれるでしょう。手回し頑張っていたものね。さぁあなたも手伝って」

一年かけて、もしもの時が訪れてた時の為に、私は他国の聖女様を巻き込んで備えてきた。

そして言われた通り、聖女様に合わせて力を打ち上げた。

「随分と暴れん坊な力だこと。荒削りたけど悪くない。ふふふ、私自ら鍛えて上げましょう」

「えっ?……お手柔らかにお願いします」

この方の教育はとても厳しいと聞くが、この先冒険者になるにはうってつけの提案だった。

しかし、この難局を乗り越えなければその先はないかもしれない。

力のある聖女は他の聖女の力に敏感だ。

澄みわたる空に打ち上げられた力は連動する様に、他国からの力も感じはじめる。

周辺の国の聖女が力を併せて、結界で国を封鎖したのは、私の力が尽きるほんの少し前だった。

私は綺麗に輝く結界を見て、力が抜けた様に座り込んでしまった。

「よく頑張ったわね。でも無駄な力を使いすぎるわ。もっと効率よくしないと、持久戦は挑めないわね」

「しょ、精進します……」

一旦、他国に呪いが拡がらず結界が張れた。

少しづつでも浄化出来ればいいのにと思いながら、私は結界を見続けた。

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