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第二十一話 悪夢
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「ニア、どうする……?」
「ん……考え中。」
ビカラを一言で表すとすれば『狂気の塊』と言っても過言ではない。
そんな相手を目の前にして、ニアとケントはどう立ち回ろうものかと悩んでいた。
「なになに~?小声で喋っちゃってどうしたのジャック~!ハッ……!まさか私に惚れちゃった~!?それでこっそりルナに相談してるって事~!?え~!照れる~!」
ビカラは意味不明な妄想をしながら、体をクネクネと動かしている。
「ニアちゃん、ケント君、私に考えがあるのだけどいいかしら?」
すると、アンリがニアとケントに提案を持ちかけた。
ニアとケントは首を縦に振って、アンリの提案を聞き入れる。
「二人ともありがとう。さっきだけど、あの子が左手首を斬った後に私たちも左手首に斬り傷ができたわよね……?恐らく自分が受けた傷を相手にも受けさせるのがあの子のスキルよ……だから、どうにかしてあの包丁を取りあげない?」
「俺は賛成です!でもどうやって取り上げましょうか……」
三人はビカラの柳刃包丁をどうやって取り上げるか考える。
「ん!ひらめいた。」
すると、ニアがアホ毛をぴょこっとさせて口を開いた。
「わたしの必殺技をつかう!」
「「それだ!」」
ニアのひらめきに、アンリとケントが太鼓判を押す。
「よぉ~し、そしたら俺はあいつの気を引きつけるぜ~!頼んだぜニア!」
「ん、まかせろ。」
「私も協力するわ!」
三人は目を合わせて、作戦開始だと頷きあった。
まずはケントとアンリが、ビカラの気を引く。
「おい!ぶっ飛び女!誰がお前の事なんか好きになるってんだよ~!」
「そうよ!女の子ならもっと慎みを覚えなさい!」
「な……なんですって!?ジャック!オリヴィア!私の事が嫌いになったの!?」
ビカラが発狂している中、すぐにニアは自身の必殺技と豪語する、通称『影を薄くする魔法』を使ってビカラの元へ忍び寄る。
「当たり前だろ~!どっちかと言われたら、そりゃあ嫌いだ~!俺たちに痛い思いさせやがって~!見ろこの手首!すげぇ痛かったんだぞ!」
「そうよ!私だってすんっごく痛かったんだから!こんな事するビカラちゃんは嫌いだわ!」
「やだ……やだぁぁ!!嫌いにならないで!どうしたら好きになってくれるの!?」
ビカラはすっかりアンリとケントに夢中になっている。
ニアもビカラの包丁まで、あと少しの距離まで忍び寄っている。
「だいたい俺はな~!もっと若い人が好みなんだよ~!お前どう見ても、その服に合う歳じゃねえだろ~!」
「ケント君、それは普通に悪口よ……」
「あっ……ごめん今のは言い過ぎ……た……あれ……?」
アンリの注意を聞く際に、ケントが少しビカラから目を離した隙だった。
「いってえぇぇ!足がァァ!」
「ケント君……いッ!」
一瞬の間に、アンリとケントの左脚が血まみれになっていた。
「許さない……私は永遠の17歳なのに……許さない……許さなァァァい!」
ビカラは年齢の事を指摘された事が引き金となり、正気を失って一心不乱に自分の左脚を刺しまくっている。
あたり一面が血まみれになり、さながら凄惨な殺人現場のような光景と化してしまった。
「ぐあぁッ……!やめッ……」
「ケント君……!?」
連続する強烈な痛みに耐えきれず、ケントは気を失ってしまった。
「やめて……ビカラちゃん!このままだと貴方も死んでしまうわ……!」
正気の沙汰とは言えないビカラの行動を、アンリも気を失いそうになりながら必死に制止する。
すると、意外にもビカラはピタッとその手を止めた。
「いいわよ、やめてあげる。私の事を怒らせたらどうなるか分かったでしょ?だからちゃんとお友達でいてね?わかった?」
ビカラはニアとケントの事を、瞳孔が開いた眼で見つめながらニヤニヤと笑みを浮かべている。
既にビカラの両眼には、完全にアンリとケントしか映っていない。
「ニアちゃん……!今よ……!」
「ん!」
意識を失うギリギリのところで、それを察したアンリがニアに合図を出す。
するとビカラの近くで影を薄くして息を潜めていたニアが、ビカラの包丁を奪うために飛び出した。
「え!?ルナちゃん!?」
ビカラは突然のことに反応できず、ニアに包丁を奪われてしまう。
「よくやったわ!ニアちゃん!」
「ん、でも……」
ニアは大怪我を負っている、アンリとケントを見て素直に喜べずにいた。
「ルナちゃん……貴方まで私の事を嫌いって言わないわよね……?」
ビカラは怒りか、それとも悲しみからか、声を振るわせながらニアに問いかける。
「あなた、大嫌い。」
そんなビカラに、ニアのどストレートな言葉が炸裂する。
「そんな……そんな……」
ビカラはショックのあまり、体を小刻みに震わせながら嘆いている。
「もう終わりね……わたしたち……」
その顔は涙でぐしょぐしょになっている。
「ビカラちゃん……観念なさい。大人しく捕まって……こんな事をした目的を話しなさい……」
アンリは何とか立ち上がり、城の兵士を呼びに行こうとする。
しかし、ビカラの横を通り過ぎようとした時だった。
「ねぇあなたたち……気づかないの?今まで何が起こっていたか……」
ビカラがアンリに向かって問いかける。
「この期に及んで、一体何を言っているの……?ケント君の容体が危ないの。治療班を呼ぶから大人しくしていて……」
しかしアンリは聞く耳を持たず部屋を出ようとする。
しかしビカラは構わず続ける。
「かわいそうにね……何も知らずにこのままみんな死ぬんだから……!アーーーッハッハッハッハッハ!」
「は!?さっきから何なの!?」
気が狂ったように笑うビカラの発言の意味が分からず、もはや怒りの感情を露わにするアンリ。
「はーーーーっ……教えてあげるね」
ビカラは大きく息を吐くと、口を開いた。
「悪夢の血判〈ブラッディナイトメア〉あなた達は今、現実の世界にいないのよ」
「ん……考え中。」
ビカラを一言で表すとすれば『狂気の塊』と言っても過言ではない。
そんな相手を目の前にして、ニアとケントはどう立ち回ろうものかと悩んでいた。
「なになに~?小声で喋っちゃってどうしたのジャック~!ハッ……!まさか私に惚れちゃった~!?それでこっそりルナに相談してるって事~!?え~!照れる~!」
ビカラは意味不明な妄想をしながら、体をクネクネと動かしている。
「ニアちゃん、ケント君、私に考えがあるのだけどいいかしら?」
すると、アンリがニアとケントに提案を持ちかけた。
ニアとケントは首を縦に振って、アンリの提案を聞き入れる。
「二人ともありがとう。さっきだけど、あの子が左手首を斬った後に私たちも左手首に斬り傷ができたわよね……?恐らく自分が受けた傷を相手にも受けさせるのがあの子のスキルよ……だから、どうにかしてあの包丁を取りあげない?」
「俺は賛成です!でもどうやって取り上げましょうか……」
三人はビカラの柳刃包丁をどうやって取り上げるか考える。
「ん!ひらめいた。」
すると、ニアがアホ毛をぴょこっとさせて口を開いた。
「わたしの必殺技をつかう!」
「「それだ!」」
ニアのひらめきに、アンリとケントが太鼓判を押す。
「よぉ~し、そしたら俺はあいつの気を引きつけるぜ~!頼んだぜニア!」
「ん、まかせろ。」
「私も協力するわ!」
三人は目を合わせて、作戦開始だと頷きあった。
まずはケントとアンリが、ビカラの気を引く。
「おい!ぶっ飛び女!誰がお前の事なんか好きになるってんだよ~!」
「そうよ!女の子ならもっと慎みを覚えなさい!」
「な……なんですって!?ジャック!オリヴィア!私の事が嫌いになったの!?」
ビカラが発狂している中、すぐにニアは自身の必殺技と豪語する、通称『影を薄くする魔法』を使ってビカラの元へ忍び寄る。
「当たり前だろ~!どっちかと言われたら、そりゃあ嫌いだ~!俺たちに痛い思いさせやがって~!見ろこの手首!すげぇ痛かったんだぞ!」
「そうよ!私だってすんっごく痛かったんだから!こんな事するビカラちゃんは嫌いだわ!」
「やだ……やだぁぁ!!嫌いにならないで!どうしたら好きになってくれるの!?」
ビカラはすっかりアンリとケントに夢中になっている。
ニアもビカラの包丁まで、あと少しの距離まで忍び寄っている。
「だいたい俺はな~!もっと若い人が好みなんだよ~!お前どう見ても、その服に合う歳じゃねえだろ~!」
「ケント君、それは普通に悪口よ……」
「あっ……ごめん今のは言い過ぎ……た……あれ……?」
アンリの注意を聞く際に、ケントが少しビカラから目を離した隙だった。
「いってえぇぇ!足がァァ!」
「ケント君……いッ!」
一瞬の間に、アンリとケントの左脚が血まみれになっていた。
「許さない……私は永遠の17歳なのに……許さない……許さなァァァい!」
ビカラは年齢の事を指摘された事が引き金となり、正気を失って一心不乱に自分の左脚を刺しまくっている。
あたり一面が血まみれになり、さながら凄惨な殺人現場のような光景と化してしまった。
「ぐあぁッ……!やめッ……」
「ケント君……!?」
連続する強烈な痛みに耐えきれず、ケントは気を失ってしまった。
「やめて……ビカラちゃん!このままだと貴方も死んでしまうわ……!」
正気の沙汰とは言えないビカラの行動を、アンリも気を失いそうになりながら必死に制止する。
すると、意外にもビカラはピタッとその手を止めた。
「いいわよ、やめてあげる。私の事を怒らせたらどうなるか分かったでしょ?だからちゃんとお友達でいてね?わかった?」
ビカラはニアとケントの事を、瞳孔が開いた眼で見つめながらニヤニヤと笑みを浮かべている。
既にビカラの両眼には、完全にアンリとケントしか映っていない。
「ニアちゃん……!今よ……!」
「ん!」
意識を失うギリギリのところで、それを察したアンリがニアに合図を出す。
するとビカラの近くで影を薄くして息を潜めていたニアが、ビカラの包丁を奪うために飛び出した。
「え!?ルナちゃん!?」
ビカラは突然のことに反応できず、ニアに包丁を奪われてしまう。
「よくやったわ!ニアちゃん!」
「ん、でも……」
ニアは大怪我を負っている、アンリとケントを見て素直に喜べずにいた。
「ルナちゃん……貴方まで私の事を嫌いって言わないわよね……?」
ビカラは怒りか、それとも悲しみからか、声を振るわせながらニアに問いかける。
「あなた、大嫌い。」
そんなビカラに、ニアのどストレートな言葉が炸裂する。
「そんな……そんな……」
ビカラはショックのあまり、体を小刻みに震わせながら嘆いている。
「もう終わりね……わたしたち……」
その顔は涙でぐしょぐしょになっている。
「ビカラちゃん……観念なさい。大人しく捕まって……こんな事をした目的を話しなさい……」
アンリは何とか立ち上がり、城の兵士を呼びに行こうとする。
しかし、ビカラの横を通り過ぎようとした時だった。
「ねぇあなたたち……気づかないの?今まで何が起こっていたか……」
ビカラがアンリに向かって問いかける。
「この期に及んで、一体何を言っているの……?ケント君の容体が危ないの。治療班を呼ぶから大人しくしていて……」
しかしアンリは聞く耳を持たず部屋を出ようとする。
しかしビカラは構わず続ける。
「かわいそうにね……何も知らずにこのままみんな死ぬんだから……!アーーーッハッハッハッハッハ!」
「は!?さっきから何なの!?」
気が狂ったように笑うビカラの発言の意味が分からず、もはや怒りの感情を露わにするアンリ。
「はーーーーっ……教えてあげるね」
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