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第三十六話 侵入
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「ここが目的のオークの集落か……」
「うぅ……ほんのりケモノ臭いですぅ……」
オークキングの討伐依頼を受けた俺たちは、オークの集落近くに到着していた。
現在地は王都と帝国の丁度中間地点辺りだ。
「ラルフ君、ルーナちゃん、知ってるとは思うけどオークは人間の雌が大好きなんだ。雌が近くにいるだけで、我を忘れて近づいてくるくらいね……」
ナイジェルがオークの習性を説明する。
「うぅキモいですぅ……」
オークというのはどこまでもオークなんだな……
「見たところ、あの集落には100体程のオークがいるが……どうする?」
この数に一斉に襲われたら、ひとたまりもないだろう。
すると、ナイジェルが任せてくれと言わんばかりに口を開く。
「僕に作戦がある、二人とも耳を貸してくれ」
俺たちはナイジェルの作戦に耳を傾ける。
「ルーナ、やってくれるか?」
「ぜ~っったい嫌です!そんなの無理ですぅぅ~!!」
ナイジェルの作戦はいたって単純なものだった。
その名も『ルーナを囮にしてる間に、僕たち二人でオーク達をやっつけよう大作戦』だ。
「ルーナちゃん、この作戦は君に全てがかかっていると言っても過言ではないんだ……正面からオーク達とまともにやり合っても、僕たちは全滅してしまうだろう……でも!君が囮になってくれれば、全員が五体満足で依頼を達成出来るんだ!」
ナイジェルは熱い眼差しでルーナに語りかける。
実際問題、ルーナが囮をやってくれた方が討伐しやすいのは確かなのだが……
「でもぉ……もし襲われたらわたし……」
ルーナは既に気持ちの半分くらいはナイジェルに持ってかれているが、なんとか抵抗を続けている。
「ルーナちゃん、安心してくれ!君の事は必ず守る!ラルフ君がね!」
いや、俺かい。
「うぅ……わかりました。ラルフさんが守ってくれるなら……」
お前もそれでいいんかい。
「ありがとうルーナちゃん、それじゃあ作戦開始だ!」
▼
「ハラヘッタ、モンバンヒマ」
「オイ、マジメニヤレ」
オークの集落入り口前。
俺とナイジェルは、門番オーク達の会話が聞こえるくらい近くで待機している。
反対側ではルーナが俺たちのサインを待って、一人で待機している。
「ラルフ君、準備はいいかい?」
「俺はいつでも大丈夫だ」
ナイジェルは俺に確認を取ると、反対側で待機しているルーナへサインを出した。
サインを確認したルーナは、一人門番オークの元へと歩き出した。
「ハァ~イ、オークちゃ~ん!あなた達の大好きな人間の雌よ~!」
ルーナはあんなに嫌がっていたが、いざとなると肝がしっかりと座っている。
素直に尊敬だな。
「ニンゲン!メス!」
「ハァ……!ハァ……!」
ルーナに釣られて、二体の門番オークが動き出した。
その目には既にルーナしか映っていない。
「ちょっとお二人さん!もう無理です!吐きそう!」
ルーナは嫌悪が限界に達し、助けを求め絶叫する。
「行こうかラルフ君!」
「わかった!」
二体のオークはルーナに夢中になっており、後ろがガラ空きだ。
俺たちは後ろから近づき、それぞれ攻撃を仕掛ける。
「風の刃!〈ウィンドエッジ〉」
「次元斬!〈ディメンションスラッシュ〉」
その瞬間、オーク達の頭はゴトッと音を立てて地面に落ちた。
「遅いですよぉ~!二人ともちょっと楽しんでませんでした!?」
ルーナは囮をするのが本当に嫌なのだろう、俺たちに文句をつけまくる。
「ごめんごめん、さぁこの調子でいこう」
「うぅ~……次はもっと早く来て下さいね!?」
こうして俺たちは無事、オークの集落内部へ侵入した。
「うぅ……ほんのりケモノ臭いですぅ……」
オークキングの討伐依頼を受けた俺たちは、オークの集落近くに到着していた。
現在地は王都と帝国の丁度中間地点辺りだ。
「ラルフ君、ルーナちゃん、知ってるとは思うけどオークは人間の雌が大好きなんだ。雌が近くにいるだけで、我を忘れて近づいてくるくらいね……」
ナイジェルがオークの習性を説明する。
「うぅキモいですぅ……」
オークというのはどこまでもオークなんだな……
「見たところ、あの集落には100体程のオークがいるが……どうする?」
この数に一斉に襲われたら、ひとたまりもないだろう。
すると、ナイジェルが任せてくれと言わんばかりに口を開く。
「僕に作戦がある、二人とも耳を貸してくれ」
俺たちはナイジェルの作戦に耳を傾ける。
「ルーナ、やってくれるか?」
「ぜ~っったい嫌です!そんなの無理ですぅぅ~!!」
ナイジェルの作戦はいたって単純なものだった。
その名も『ルーナを囮にしてる間に、僕たち二人でオーク達をやっつけよう大作戦』だ。
「ルーナちゃん、この作戦は君に全てがかかっていると言っても過言ではないんだ……正面からオーク達とまともにやり合っても、僕たちは全滅してしまうだろう……でも!君が囮になってくれれば、全員が五体満足で依頼を達成出来るんだ!」
ナイジェルは熱い眼差しでルーナに語りかける。
実際問題、ルーナが囮をやってくれた方が討伐しやすいのは確かなのだが……
「でもぉ……もし襲われたらわたし……」
ルーナは既に気持ちの半分くらいはナイジェルに持ってかれているが、なんとか抵抗を続けている。
「ルーナちゃん、安心してくれ!君の事は必ず守る!ラルフ君がね!」
いや、俺かい。
「うぅ……わかりました。ラルフさんが守ってくれるなら……」
お前もそれでいいんかい。
「ありがとうルーナちゃん、それじゃあ作戦開始だ!」
▼
「ハラヘッタ、モンバンヒマ」
「オイ、マジメニヤレ」
オークの集落入り口前。
俺とナイジェルは、門番オーク達の会話が聞こえるくらい近くで待機している。
反対側ではルーナが俺たちのサインを待って、一人で待機している。
「ラルフ君、準備はいいかい?」
「俺はいつでも大丈夫だ」
ナイジェルは俺に確認を取ると、反対側で待機しているルーナへサインを出した。
サインを確認したルーナは、一人門番オークの元へと歩き出した。
「ハァ~イ、オークちゃ~ん!あなた達の大好きな人間の雌よ~!」
ルーナはあんなに嫌がっていたが、いざとなると肝がしっかりと座っている。
素直に尊敬だな。
「ニンゲン!メス!」
「ハァ……!ハァ……!」
ルーナに釣られて、二体の門番オークが動き出した。
その目には既にルーナしか映っていない。
「ちょっとお二人さん!もう無理です!吐きそう!」
ルーナは嫌悪が限界に達し、助けを求め絶叫する。
「行こうかラルフ君!」
「わかった!」
二体のオークはルーナに夢中になっており、後ろがガラ空きだ。
俺たちは後ろから近づき、それぞれ攻撃を仕掛ける。
「風の刃!〈ウィンドエッジ〉」
「次元斬!〈ディメンションスラッシュ〉」
その瞬間、オーク達の頭はゴトッと音を立てて地面に落ちた。
「遅いですよぉ~!二人ともちょっと楽しんでませんでした!?」
ルーナは囮をするのが本当に嫌なのだろう、俺たちに文句をつけまくる。
「ごめんごめん、さぁこの調子でいこう」
「うぅ~……次はもっと早く来て下さいね!?」
こうして俺たちは無事、オークの集落内部へ侵入した。
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