44 / 63
44. 疑惑
しおりを挟む
清々しい朝、菜々美のカフェはいつも通りに準備を整えていた。アリスが窓辺に置かれたハーブ鉢を整え、マークがテーブルのクロスを丁寧に広げている。菜々美はカウンターで新しいメニューの構想を練りながら、手に取ったティーポットを磨いていた。
だが、ここ数日、店内の静けさが心に引っかかっていた。ごく一部の常連客たちは変わらず訪れるものの、新規の客足がほとんどない。それに加えて、街で聞かれる微妙な噂――菜々美はそのすべてに、何とも言えない胸騒ぎを感じていた。
そのとき、カフェの扉が重々しい音を立てて開かれた。
菜々美が顔を上げると、そこには先日訪れた役人たちが立っていた。二人組の男たちは無表情のまま店内に足を踏み入れ、周囲を見回してからカウンターに向かって歩み寄ってきた。
「また何か……?」菜々美は少し硬い笑顔を浮かべながら問いかけた。
一人の役人が腰に差していた巻物を取り出し、無造作に広げた。そして、冷ややかな声で告げる。
「命により、あなたのカフェの営業を一時停止します。」
「営業停止……?」菜々美の笑顔が驚きと困惑に変わった。
「複数の住民からの報告がありました。あなたのカフェで提供されるハーブティーを飲んで、体調を崩したという証言が複数寄せられています。」
「そんな! うちのハーブティーは安全です!」菜々美は震えそうになる声を押さえながら強く反論した。
しかし、役人の態度は変わらない。「ですが、現時点で確認すべき事案がある以上、正式な調査を開始せざるを得ません。」
菜々美は返す言葉を失い、しばらく沈黙した。その間にも役人の目は冷たく、覆る気配は微塵もなかった。
「さらに、あなたのカフェで飲食をしたという『被害者』たちが、具体的な症状と共に証言を行っています。」
「被害者……?」
役人は頷き、細かい報告書を菜々美に差し出した。
「ここには、腹痛、頭痛、倦怠感などを訴える者たちの証言が記されています。これらは、あなたのカフェで出されたハーブティーを飲んだ後に発生したとされています。」
菜々美は報告書を手に取り、その内容を目で追った。記載されている「被害者」の名前の中には、見覚えのあるものがいくつもあった。常連客の名も含まれており、彼らの証言は驚くほど具体的だった。
「でも、こんなの……!」菜々美は息を呑み、声を詰まらせる。
症状の記述と店のハーブティーの安全性を照らし合わせても、全く結びつかないことばかりだ。それでも、報告書は事実であるかのように整然と書かれている。
「これは……何かがおかしい。うちのハーブティーでこんなことが起きるはずがない!」菜々美は報告書を握りしめ、必死に訴えた。
だが、役人たちは冷たい態度を崩さない。「疑念が晴れるまでの間、営業停止は続きます。」それだけを告げ、彼らは店を後にした。
菜々美は報告書を手に、頭の中で渦巻く思考を止められないまま立ち尽くしていた。信じがたい内容が目の前に並ぶ一方で、それが自分たちのカフェに向けられた「事実」として語られていることが何よりも恐ろしかった。
「菜々美さん……これってどうなるんですか?」
アリスの小さな声が耳に届き、菜々美は我に返った。振り返ると、アリスの目には不安が浮かんでいた。その隣でマークも掃除の手を止め、眉を寄せて菜々美を見つめている。普段は明るい二人の表情が曇っているのを見て、菜々美は心の中にじわじわと痛みを感じた。
「分からないわ……でも、きっと誤解を解けるはずよ。」
何とか微笑みを作りながら答える菜々美だったが、その笑顔はどこかぎこちなく、声には力がなかった。
「誤解って、本当に解けるんでしょうか?」アリスは不安げに続ける。「こんな噂が立って、お客さんも減って……私たち、大丈夫なんですよね?」
「もちろん、大丈夫よ。」菜々美は強がって言ったが、自分の中ではっきりとした答えがあるわけではなかった。
マークが横から口を挟む。「でも、どうしてこんなことになったんですかね。いつもと同じようにしてただけなのに、こんな風に疑われるなんて……。」
菜々美は答えを出せないまま、視線を報告書に落とした。確かに、自分たちはこれまで通り、誠実にハーブを育て、最高の状態でお茶を提供してきた。それがなぜ突然、このような形で裏切られるのか。
「分からない。でも、私たちが何も悪いことをしていないことだけは確かよ。」
そう言い切った菜々美の声は力強かったが、心の奥では疑念が渦巻いていた。自分たちのカフェがどれだけ安全で、品質に自信を持っていたとしても、この状況では何か「証明できるもの」が必要だった。それがない限り、どれだけ声を上げても、この噂は消えないかもしれない――そんな冷たい現実が心を支配していた。
「でも、このままじゃお客さんはどんどん減っていくよね……。」アリスは心配そうに声を落とす。
「だからこそ、私たちは動かないといけないのよ。」菜々美はしっかりとアリスとマークの顔を見た。「噂に負けないように、このカフェが安全だってことを分かってもらうためにね。」
「でも、どうすれば……?」マークが言葉を詰まらせる。
菜々美は少しの間考え込んでから、深呼吸をして言った。「まずは報告書をしっかり読み込んで、何が原因とされているのかを突き止めるわ。それから、畑やカフェに異常がないかもう一度確認して、具体的な証拠を探すの。」
「証拠……。」アリスは少し戸惑ったように口にした。「そんなの、私たちだけで見つけられるのかな……?」
「見つけられるわ。」菜々美は強く言った。「だって、私たちが何もしていないんだもの。真実を突き止めれば、必ず分かってもらえるはずよ。」
その言葉に、アリスとマークは小さく頷いた。二人とも完全に納得したわけではなさそうだったが、それでも菜々美の言葉には不思議な説得力があった。
「よし、それじゃあ今日の午後は畑をもう一度確認しましょう。アリス、マーク、二人にも手伝ってほしいの。」
「分かりました!」アリスは小さく拳を握り、気持ちを奮い立たせた様子を見せた。
「僕もやります。」マークは真剣な表情で頷きながら言った。「絶対に、このカフェが間違ってないってことを証明しましょう。」
三人で決意を新たにし、カフェの再起に向けた一歩を踏み出そうとしていた。けれども、その道のりがこれまで以上に困難なものになることを、菜々美はまだ知らなかった。
「どんなことがあっても、このカフェを守り抜くわ。」菜々美は静かにそう誓いながら、報告書をもう一度手に取った。
その日、町ではすぐに「菜々美のカフェで体調を崩した人がいるらしい」という噂が広まり始めた。
「ハーブティーで具合が悪くなるなんて、本当なの?」
「しばらくあの店には行かない方がいいかも。」
「危険なハーブを使ってるって話だよ。」
菜々美の耳にも、その噂がちらほらと届いてくる。そのすべてが根拠の薄いものだと分かっていても、止める手段がない以上、不安は膨らむばかりだった。
その後も噂は拡大し、ついに常連客たちの足も遠のき始めた。菜々美たちのカフェは日に日に閑散とし、カウンターの前で手を組んで考え込む菜々美の姿が増えていった。
「私たちが何も悪いことをしていないって、どうやったら分かってもらえるのかしら……。」菜々美は自問するように呟いた。
だが、その答えは見つからないまま、静かな店内に彼女の声だけが消えていった。
だが、ここ数日、店内の静けさが心に引っかかっていた。ごく一部の常連客たちは変わらず訪れるものの、新規の客足がほとんどない。それに加えて、街で聞かれる微妙な噂――菜々美はそのすべてに、何とも言えない胸騒ぎを感じていた。
そのとき、カフェの扉が重々しい音を立てて開かれた。
菜々美が顔を上げると、そこには先日訪れた役人たちが立っていた。二人組の男たちは無表情のまま店内に足を踏み入れ、周囲を見回してからカウンターに向かって歩み寄ってきた。
「また何か……?」菜々美は少し硬い笑顔を浮かべながら問いかけた。
一人の役人が腰に差していた巻物を取り出し、無造作に広げた。そして、冷ややかな声で告げる。
「命により、あなたのカフェの営業を一時停止します。」
「営業停止……?」菜々美の笑顔が驚きと困惑に変わった。
「複数の住民からの報告がありました。あなたのカフェで提供されるハーブティーを飲んで、体調を崩したという証言が複数寄せられています。」
「そんな! うちのハーブティーは安全です!」菜々美は震えそうになる声を押さえながら強く反論した。
しかし、役人の態度は変わらない。「ですが、現時点で確認すべき事案がある以上、正式な調査を開始せざるを得ません。」
菜々美は返す言葉を失い、しばらく沈黙した。その間にも役人の目は冷たく、覆る気配は微塵もなかった。
「さらに、あなたのカフェで飲食をしたという『被害者』たちが、具体的な症状と共に証言を行っています。」
「被害者……?」
役人は頷き、細かい報告書を菜々美に差し出した。
「ここには、腹痛、頭痛、倦怠感などを訴える者たちの証言が記されています。これらは、あなたのカフェで出されたハーブティーを飲んだ後に発生したとされています。」
菜々美は報告書を手に取り、その内容を目で追った。記載されている「被害者」の名前の中には、見覚えのあるものがいくつもあった。常連客の名も含まれており、彼らの証言は驚くほど具体的だった。
「でも、こんなの……!」菜々美は息を呑み、声を詰まらせる。
症状の記述と店のハーブティーの安全性を照らし合わせても、全く結びつかないことばかりだ。それでも、報告書は事実であるかのように整然と書かれている。
「これは……何かがおかしい。うちのハーブティーでこんなことが起きるはずがない!」菜々美は報告書を握りしめ、必死に訴えた。
だが、役人たちは冷たい態度を崩さない。「疑念が晴れるまでの間、営業停止は続きます。」それだけを告げ、彼らは店を後にした。
菜々美は報告書を手に、頭の中で渦巻く思考を止められないまま立ち尽くしていた。信じがたい内容が目の前に並ぶ一方で、それが自分たちのカフェに向けられた「事実」として語られていることが何よりも恐ろしかった。
「菜々美さん……これってどうなるんですか?」
アリスの小さな声が耳に届き、菜々美は我に返った。振り返ると、アリスの目には不安が浮かんでいた。その隣でマークも掃除の手を止め、眉を寄せて菜々美を見つめている。普段は明るい二人の表情が曇っているのを見て、菜々美は心の中にじわじわと痛みを感じた。
「分からないわ……でも、きっと誤解を解けるはずよ。」
何とか微笑みを作りながら答える菜々美だったが、その笑顔はどこかぎこちなく、声には力がなかった。
「誤解って、本当に解けるんでしょうか?」アリスは不安げに続ける。「こんな噂が立って、お客さんも減って……私たち、大丈夫なんですよね?」
「もちろん、大丈夫よ。」菜々美は強がって言ったが、自分の中ではっきりとした答えがあるわけではなかった。
マークが横から口を挟む。「でも、どうしてこんなことになったんですかね。いつもと同じようにしてただけなのに、こんな風に疑われるなんて……。」
菜々美は答えを出せないまま、視線を報告書に落とした。確かに、自分たちはこれまで通り、誠実にハーブを育て、最高の状態でお茶を提供してきた。それがなぜ突然、このような形で裏切られるのか。
「分からない。でも、私たちが何も悪いことをしていないことだけは確かよ。」
そう言い切った菜々美の声は力強かったが、心の奥では疑念が渦巻いていた。自分たちのカフェがどれだけ安全で、品質に自信を持っていたとしても、この状況では何か「証明できるもの」が必要だった。それがない限り、どれだけ声を上げても、この噂は消えないかもしれない――そんな冷たい現実が心を支配していた。
「でも、このままじゃお客さんはどんどん減っていくよね……。」アリスは心配そうに声を落とす。
「だからこそ、私たちは動かないといけないのよ。」菜々美はしっかりとアリスとマークの顔を見た。「噂に負けないように、このカフェが安全だってことを分かってもらうためにね。」
「でも、どうすれば……?」マークが言葉を詰まらせる。
菜々美は少しの間考え込んでから、深呼吸をして言った。「まずは報告書をしっかり読み込んで、何が原因とされているのかを突き止めるわ。それから、畑やカフェに異常がないかもう一度確認して、具体的な証拠を探すの。」
「証拠……。」アリスは少し戸惑ったように口にした。「そんなの、私たちだけで見つけられるのかな……?」
「見つけられるわ。」菜々美は強く言った。「だって、私たちが何もしていないんだもの。真実を突き止めれば、必ず分かってもらえるはずよ。」
その言葉に、アリスとマークは小さく頷いた。二人とも完全に納得したわけではなさそうだったが、それでも菜々美の言葉には不思議な説得力があった。
「よし、それじゃあ今日の午後は畑をもう一度確認しましょう。アリス、マーク、二人にも手伝ってほしいの。」
「分かりました!」アリスは小さく拳を握り、気持ちを奮い立たせた様子を見せた。
「僕もやります。」マークは真剣な表情で頷きながら言った。「絶対に、このカフェが間違ってないってことを証明しましょう。」
三人で決意を新たにし、カフェの再起に向けた一歩を踏み出そうとしていた。けれども、その道のりがこれまで以上に困難なものになることを、菜々美はまだ知らなかった。
「どんなことがあっても、このカフェを守り抜くわ。」菜々美は静かにそう誓いながら、報告書をもう一度手に取った。
その日、町ではすぐに「菜々美のカフェで体調を崩した人がいるらしい」という噂が広まり始めた。
「ハーブティーで具合が悪くなるなんて、本当なの?」
「しばらくあの店には行かない方がいいかも。」
「危険なハーブを使ってるって話だよ。」
菜々美の耳にも、その噂がちらほらと届いてくる。そのすべてが根拠の薄いものだと分かっていても、止める手段がない以上、不安は膨らむばかりだった。
その後も噂は拡大し、ついに常連客たちの足も遠のき始めた。菜々美たちのカフェは日に日に閑散とし、カウンターの前で手を組んで考え込む菜々美の姿が増えていった。
「私たちが何も悪いことをしていないって、どうやったら分かってもらえるのかしら……。」菜々美は自問するように呟いた。
だが、その答えは見つからないまま、静かな店内に彼女の声だけが消えていった。
0
あなたにおすすめの小説
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
辺境ぐうたら日記 〜気づいたら村の守り神になってた〜
自ら
ファンタジー
異世界に転移したアキト。 彼に壮大な野望も、世界を救う使命感もない。 望むのはただ、 美味しいものを食べて、気持ちよく寝て、静かに過ごすこと。 ところが―― 彼が焚き火をすれば、枯れていた森が息を吹き返す。 井戸を掘れば、地下水脈が活性化して村が潤う。 昼寝をすれば、周囲の魔物たちまで眠りにつく。 村人は彼を「奇跡を呼ぶ聖人」と崇め、 教会は「神の化身」として祀り上げ、 王都では「伝説の男」として語り継がれる。 だが、本人はまったく気づいていない。 今日も木陰で、心地よい風を感じながら昼寝をしている。 これは、欲望に忠実に生きた男が、 無自覚に世界を変えてしまう、 ゆるやかで温かな異世界スローライフ。 幸せは、案外すぐ隣にある。
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる