17 / 85
好きな人
しおりを挟む
いつもの喫茶店で、彩月ちゃんと話しながら、パフェを食べる。今日は、蜜柑のパフェにした。
「……それで、協力することにしたの?」
「うん、まぁ」
特に断る理由もなかったし。そもそも協力するって、何をしたらいいのかわからないけど。私が頷くと、彩月ちゃんは呆れたようにため息をついた。
「朱里、バカなの?」
「あっ、彩月ちゃんひどい!」
躊躇いもなく言われた言葉に、頬を膨らませると、彩月ちゃんは心配そうに私を見た。
「朱里は、小鳥遊先輩のことが好きなんでしょう。それになのに、協力するなんて言ってどうするの」
「だから、『優くん』からは、もう卒業したんだってば」
もうお兄ちゃんをそんな目で見たりしない。そう言いながら、パフェを一口すくう。うーん、とっても美味しい。
「卒業、ねぇ。そのわりには、一緒に水族館に行ったみたいだけど」
彩月ちゃんがお土産で渡した、イルカのストラップを見せる。
「うっ。それは、だって、家族で水族館くらい普通だって、お兄ちゃんが」
「『兄妹』じゃなくて、『家族』っていうところが先輩らしいわね。……それに朱里、協力するって言っても恋はお互いの気持ちがないと始まらないのよ」
それは、痛いほどわかってる。お兄ちゃんのことをずっと好きで意識して欲しかったけれど、お兄ちゃんが私を見る目が変わったことはなかった。
「それに先輩に、もう好きな人がいたらどうするの」
「えっ! 彩月ちゃん、何か心当たりがあるの!?」
今までそんなこと考えたこともなかった。けれど、そうか。お兄ちゃんがすでに誰かに恋をしている可能性はあるんだ。
「火を見るように明らかだと思うけど」
「えぇ! そんなにお兄ちゃんの好きな人ってわかりやすい!?」
あんなに近くにいたのに、全く気付かなかった。私って、もしかして、すごく鈍感なんだろうか。
あまりの衝撃に愕然としているうちに、彩月ちゃんはパフェを全て食べ終わり、
「じゃあ、塾だから」
といって、帰ってしまった。
──お兄ちゃんの、好きな人って、誰だろう。やっぱり、ヒロインである愛梨ちゃん?
でも、うーん、それなら彩月ちゃんはあんなに協力することに渋い顔なんてしないよね。漫画で、お兄ちゃんにヒロインの他に好きな人いたっけ。
脳内で、ストーリーを反芻してみるけれども、さっぱり思い出せない。基本的にお兄ちゃんの心情って、あまり明らかになってない部分が多いんだよね。主人公目線で物語は進むし。
「うーん、謎だ」
でも、そんなにわかりやすいならお兄ちゃんを観察したらわかるかな? とりあえず、お兄ちゃんを観察してみよう。
「……それで、協力することにしたの?」
「うん、まぁ」
特に断る理由もなかったし。そもそも協力するって、何をしたらいいのかわからないけど。私が頷くと、彩月ちゃんは呆れたようにため息をついた。
「朱里、バカなの?」
「あっ、彩月ちゃんひどい!」
躊躇いもなく言われた言葉に、頬を膨らませると、彩月ちゃんは心配そうに私を見た。
「朱里は、小鳥遊先輩のことが好きなんでしょう。それになのに、協力するなんて言ってどうするの」
「だから、『優くん』からは、もう卒業したんだってば」
もうお兄ちゃんをそんな目で見たりしない。そう言いながら、パフェを一口すくう。うーん、とっても美味しい。
「卒業、ねぇ。そのわりには、一緒に水族館に行ったみたいだけど」
彩月ちゃんがお土産で渡した、イルカのストラップを見せる。
「うっ。それは、だって、家族で水族館くらい普通だって、お兄ちゃんが」
「『兄妹』じゃなくて、『家族』っていうところが先輩らしいわね。……それに朱里、協力するって言っても恋はお互いの気持ちがないと始まらないのよ」
それは、痛いほどわかってる。お兄ちゃんのことをずっと好きで意識して欲しかったけれど、お兄ちゃんが私を見る目が変わったことはなかった。
「それに先輩に、もう好きな人がいたらどうするの」
「えっ! 彩月ちゃん、何か心当たりがあるの!?」
今までそんなこと考えたこともなかった。けれど、そうか。お兄ちゃんがすでに誰かに恋をしている可能性はあるんだ。
「火を見るように明らかだと思うけど」
「えぇ! そんなにお兄ちゃんの好きな人ってわかりやすい!?」
あんなに近くにいたのに、全く気付かなかった。私って、もしかして、すごく鈍感なんだろうか。
あまりの衝撃に愕然としているうちに、彩月ちゃんはパフェを全て食べ終わり、
「じゃあ、塾だから」
といって、帰ってしまった。
──お兄ちゃんの、好きな人って、誰だろう。やっぱり、ヒロインである愛梨ちゃん?
でも、うーん、それなら彩月ちゃんはあんなに協力することに渋い顔なんてしないよね。漫画で、お兄ちゃんにヒロインの他に好きな人いたっけ。
脳内で、ストーリーを反芻してみるけれども、さっぱり思い出せない。基本的にお兄ちゃんの心情って、あまり明らかになってない部分が多いんだよね。主人公目線で物語は進むし。
「うーん、謎だ」
でも、そんなにわかりやすいならお兄ちゃんを観察したらわかるかな? とりあえず、お兄ちゃんを観察してみよう。
3
あなたにおすすめの小説
幽霊じゃありません!足だってありますから‼
かな
恋愛
私はトバルズ国の公爵令嬢アーリス・イソラ。8歳の時に木の根に引っかかって頭をぶつけたことにより、前世に流行った乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまったことに気づいた。だが、婚約破棄しても国外追放か修道院行きという緩い断罪だった為、自立する為のスキルを学びつつ、国外追放後のスローライフを夢見ていた。
断罪イベントを終えた数日後、目覚めたら幽霊と騒がれてしまい困惑することに…。えっ?私、生きてますけど
※ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください(*・ω・)*_ _)ペコリ
※遅筆なので、ゆっくり更新になるかもしれません。
処刑された悪役令嬢、二周目は「ぼっち」を卒業して最強チームを作ります!
みかぼう。
恋愛
地方を救おうとして『反逆者』に仕立て上げられ、断頭台で散ったエリアナ・ヴァルドレイン。
彼女の失敗は、有能すぎるがゆえに「独りで背負いすぎたこと」だった。
ループから始まった二周目。
彼女はこれまで周囲との間に引いていた「線」を、踏み越えることを決意した。
「お父様、私に『線を引け』と教えた貴方に、処刑台から見た真実をお話しします」
「殿下、私が貴方の『目』となります。王国に張り巡らされた謀略の糸を、共に断ち切りましょう」
淑女の仮面を脱ぎ捨て、父と王太子を「共闘者」へと変貌させる政争の道。
未来知識という『目』を使い、一歩ずつ確実に、破滅への先手を取っていく。
これは、独りで戦い、独りで死んだ令嬢が、信頼と連帯によって王国の未来を塗り替える――緻密かつ大胆なリベンジ政争劇。
「私を神輿にするのなら、覚悟してくださいませ。……その行き先は、貴方の破滅ですわ」
(※カクヨムにも掲載中です。)
婚約を破棄して気づけば私は悪役令嬢でした。
hikari
恋愛
妹に婚約者を奪われて狼狽していたら、自分はある乙女ゲームの悪役令嬢に転生していた事に気づく。
妹のナタリーがヒロイン。両親は妹の味方。唯一の味方が弟のルイでした。
しかも、何をしてもダメ出しをする間抜けな平民のダメンズに言い寄られ、しつこくされています。私に分相応なのはこの平民のダメンズなの!?
悪役令嬢ものは初めてです。
今作はギャグがメイン
【完結】転生者のお姉様は自分を悪役令嬢と言い張るのですが…どう考えても悪役は私です
白キツネ
恋愛
主人公、アリシアにとって、母とたまに帰ってくる父の三人での生活は裕福ではないが、それだけで十分なほど幸せに感じていた。
が、ある日、父が帰ってきた時の一言に、それに対する母の反応に、アリシアは自分が大好きだった両親が別人に見えてしまう。
父に連れられた家は市民が暮らすような家ではなく、貴族の屋敷であり、そこにはアリシアと同年代ぐらいの少女がこちらをずっと見ていた。
その少女は転生者であり、この世界での自分がどうなってしまうのかを話される。自分の名前を当てられたことで、その話を信じるが、その内容はとてもひどいものだった。
お姉様…それは私の方が悪役なのでは…
私はお姉様の敵にはなりません。私がお姉様に全てをお返しします!
お姉様!もう少し自分のことを大切にしてください!
お姉様!今ですか!?
お姉様!そういうことはもっと早く言ってください!
賢いのに少し空気が読めない姉と、翻弄されながらも姉を守ろうとする妹の物語
カクヨムにも掲載しております。
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません
嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。
人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。
転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。
せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。
少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。
【完結】一番腹黒いのはだあれ?
やまぐちこはる
恋愛
■□■
貧しいコイント子爵家のソンドールは、貴族学院には進学せず、騎士学校に通って若くして正騎士となった有望株である。
三歳でコイント家に養子に来たソンドールの生家はパートルム公爵家。
しかし、関わりを持たずに生きてきたため、自分が公爵家生まれだったことなどすっかり忘れていた。
ある日、実の父がソンドールに会いに来て、自分の出自を改めて知り、勝手なことを言う実父に憤りながらも、生家の騒動に巻き込まれていく。
ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~
浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。
「これってゲームの強制力?!」
周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。
※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる