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ミカルド
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僕の婚約者を、一言で表すなら。とても可愛らしい人だ。
僕には──いや、ワールド公爵家には秘密の力がある。それは、心を読めること。
そのため、重臣としてワールド公爵家は重宝されてきた。この秘密はワールド家と、王家しかしらないのだけれど。
この見た目とその力はとても便利だった。良くも悪くも。
悪いことは今日は置いておく。
代わりに、良いことを話そうと思う。
そう、僕はこの力のおかげで、婚約者がとても可愛らしいことに気づけたんだ。
僕の婚約者、マリエラ嬢はとても可愛らしい。
もちろん、その黒髪にルビーよりも綺麗な瞳──という見た目もだけれど、中身がなにより可愛いと思う。
一見、無表情に見える彼女の心の声はころころ変わる。
嬉しいことがあったら、全力で喜ぶし、悲しいことがあったら、泣く。
そんな当たり前のことが、僕にはとても眩しく映った。
僕たちは、常に笑顔の仮面をはりつけている。その方が、この見た目を最大限活用できると知っているからだ。でも、彼女の前でなら、僕は素直に笑えた。
彼女は自分の無表情に見える顔をとても気にしているようだった。けれど、彼女を良く観察していると全く表情がないわけではないと、わかる。
特に彼女のルビーよりも美しく輝く瞳は雄弁だった。
でも、最近とても困っていることがある。
彼女は、僕の力を知らない。
だから、なんというか──僕に対する好意を心のなかで隠そうとしない。
彼女の真っ直ぐな好意に、僕は何度も照れてしまう──というのもあるけれど。
好意を勝手に聞くのは嬉しい反面、申し訳なさもある。
はやく、彼女と結婚したい。
そうすれば、この力について話せるし、もっと彼女を独占できる。
「ミカルド様?」
そんなことを考えていると、マリエラ嬢が不思議そうな瞳をした。
「ううん。今日も、君が好きだと思って」
僕がそういうと、マリエラ嬢の顔が心なしか赤くなる。
「わ、私も……」
マリエラ嬢が、少し潤んだ瞳で僕を見つめた。
「ミカルド様が、好きです」
──ああ、だめだ。可愛すぎて、早く結婚したい。
今すぐ抱き締めたい衝動にかられながら、僕は結婚式までの日取りをなるべく早く決めようと心に誓うのだった。
僕には──いや、ワールド公爵家には秘密の力がある。それは、心を読めること。
そのため、重臣としてワールド公爵家は重宝されてきた。この秘密はワールド家と、王家しかしらないのだけれど。
この見た目とその力はとても便利だった。良くも悪くも。
悪いことは今日は置いておく。
代わりに、良いことを話そうと思う。
そう、僕はこの力のおかげで、婚約者がとても可愛らしいことに気づけたんだ。
僕の婚約者、マリエラ嬢はとても可愛らしい。
もちろん、その黒髪にルビーよりも綺麗な瞳──という見た目もだけれど、中身がなにより可愛いと思う。
一見、無表情に見える彼女の心の声はころころ変わる。
嬉しいことがあったら、全力で喜ぶし、悲しいことがあったら、泣く。
そんな当たり前のことが、僕にはとても眩しく映った。
僕たちは、常に笑顔の仮面をはりつけている。その方が、この見た目を最大限活用できると知っているからだ。でも、彼女の前でなら、僕は素直に笑えた。
彼女は自分の無表情に見える顔をとても気にしているようだった。けれど、彼女を良く観察していると全く表情がないわけではないと、わかる。
特に彼女のルビーよりも美しく輝く瞳は雄弁だった。
でも、最近とても困っていることがある。
彼女は、僕の力を知らない。
だから、なんというか──僕に対する好意を心のなかで隠そうとしない。
彼女の真っ直ぐな好意に、僕は何度も照れてしまう──というのもあるけれど。
好意を勝手に聞くのは嬉しい反面、申し訳なさもある。
はやく、彼女と結婚したい。
そうすれば、この力について話せるし、もっと彼女を独占できる。
「ミカルド様?」
そんなことを考えていると、マリエラ嬢が不思議そうな瞳をした。
「ううん。今日も、君が好きだと思って」
僕がそういうと、マリエラ嬢の顔が心なしか赤くなる。
「わ、私も……」
マリエラ嬢が、少し潤んだ瞳で僕を見つめた。
「ミカルド様が、好きです」
──ああ、だめだ。可愛すぎて、早く結婚したい。
今すぐ抱き締めたい衝動にかられながら、僕は結婚式までの日取りをなるべく早く決めようと心に誓うのだった。
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他人に見えるのはツンのみで 自分だけはデレの実況生中継付き・・・独占欲が満たされてるでしょうね。
いつでも笑顔ってのも 実は無表情と同様で、可愛さに悶えてもハッキリ表情に出せないのはツラいかも・・・その反動のように2人きりの時はメチャ甘な表情になったりして?(笑)
お読みくださりありがとうございます。確かに独占欲が満たされてるかもしれません笑
可愛らしいお話に充電されましたわ。
お読みくださりありがとうございます。可愛らしい話といっていただけて、とても嬉しいです!
素敵な作品をありがとうございます!
続編お願いします!
これからも頑張ってください!!
お読みくださりありがとうございます。続編は機会があればかいてみたいですね。頑張ります。