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そのいち
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私が、所謂前世というものを思い出したのは、碧灯を灯しているときだった。碧灯とは、鬼や妖怪が蔓延るあちらとこちらを行き来できなくするための、特別な灯。
私が通っている碧川葵学園はあちら側とこちら側の境界が近く、夜は碧灯守りの番を生徒会執行部の生徒が二人一組となって持ち回りでする決まりとなっている。
それだというのに。今、碧灯を灯しているのは私だけ。転入してきて、いきなり生徒会執行部の役員に任命された転入生、桜井はるかさんがまだこないから。
「だって、あの子は今頃、会長で攻略対象者の赤嶺仁と一緒にいるはず……!?」
自分で呟いた言葉に驚いた。会長はともかく、攻略対象者? なんのこと?
けれど、その言葉が鍵となって溢れだす、様々な記憶。和風乙女ゲーム、落としてひび割れたスマホ、そして車のクラクション……。
「ここ、乙女ゲームの世界だわ」
自分の名札を見る。深碧撫子とある。そうだわ、私は、深碧撫子。それはこの世界の、意地悪令嬢の名前だった。
私が通っている碧川葵学園はあちら側とこちら側の境界が近く、夜は碧灯守りの番を生徒会執行部の生徒が二人一組となって持ち回りでする決まりとなっている。
それだというのに。今、碧灯を灯しているのは私だけ。転入してきて、いきなり生徒会執行部の役員に任命された転入生、桜井はるかさんがまだこないから。
「だって、あの子は今頃、会長で攻略対象者の赤嶺仁と一緒にいるはず……!?」
自分で呟いた言葉に驚いた。会長はともかく、攻略対象者? なんのこと?
けれど、その言葉が鍵となって溢れだす、様々な記憶。和風乙女ゲーム、落としてひび割れたスマホ、そして車のクラクション……。
「ここ、乙女ゲームの世界だわ」
自分の名札を見る。深碧撫子とある。そうだわ、私は、深碧撫子。それはこの世界の、意地悪令嬢の名前だった。
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