間違えられた番様は、消えました。

夕立悠理

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四章 私の望み

12話

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「選民主義の塊……ですか」
 でも、先ほどの魔術師は女神と言っていた。
 魔術師は貴族がほとんどと知識にあるから、貴族には優しいのだろうか。

 ……でも、それならば平民の私とどうして親友だったんだろう。

「うん。だから、君と友人関係だったのは、僕も疑問に思ってた」

 ……もし。
 なんらかの手段で、ずっと前から私が運命の番であることを知っていたのなら。
 偽るために、近づいたことも考えられる。

「そうなんですね……」

 エルマ・アンバー。
 私から見た彼女は、どうだったのか。
 日記を強く握りしめる。

 黒く塗りつぶされたページたち。
 誰にも暴かれたくなかった、私のこころ。

「うん。……そういえば」

 ノクト殿が私の持っている日記に視線を落とす。

「はい。日記を手に入れられました」

 中身が黒く塗りつぶされていたことには、触れられなかった。
 ……きっと、がっかりされるだろうから。

「よかったね」

 ノクト様は、私の表情で察したのか、それ以上深く聞かずにいてくれた。

「はい」

 ……本当に、良かった。
 心の中で付け足す。
 私の大切なこころの欠片。

「それじゃあ、そろそろいい時間だし。……邸まで、魔法で送るよ」

 ノクト殿がそういって、手を差し出した時ーー。

「ノクト副団長!」

 息を切らして誰かがやってきた。
 制服のバッジ的に、3番隊の誰かみたいだ。

「ごめん、すぐに戻るから、少しだけ待ってて」
「わかりました」

 転移魔法も今なら私も使えるかもしれない。
 でも、慣れないと全く異なる場所に運ばれてしまう危険性もある魔法だ。

 待っておいた方が無難だろう。

 かつての私がよく休憩時間に、座っていたというベンチに座って、ぼんやりと日記の表紙を眺める。

 大事に日々を綴っていたことが表紙からもわかる。
 
 それなのに、黒く塗りつぶした日記。

「何を考えてたのかな……」

 何を経験して、どう思ったのか。
 全部知りたい。
 でも、無理やりに暴きたいわけじゃない。

 そう思いながら、表紙を撫でた。

「ロイゼ!!」

 突然、大きな声で名前を呼ばれ、思わず俯いていた顔を、あげる。

 緑色の瞳が爛々と私を見つめていた。

「っ、あーー」

 声の主は、さっきの女魔術師だった。

「あなた、目が紫なのね」

 大きな声に驚いて、顔を上げた。
 ……そんな言い訳をする前に。

 彼女は、私の目の前でじっと、目を見つめる。
 ーーどんな魔法を使っても、瞳は変わらない。

 銀行で、口座を確認するときに思い出した、知識。


「団長と同じね? ねぇ、あなたでしょう。ーーロイゼ団長」
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