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妖の花嫁
プロローグ
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私が、それに気づいたのは5歳の頃だった。
「お母様、私の指に、なにかついてる」
右手の小指に真っ黒い糸のようなものが巻き付いている。引っ張ってみても取れる気配はなく、それどころか、糸はどこまでも、伸びている。その先が見えない。
赤い糸なら、幼い私でも聞いたことがある。運命の人同士で結ばれる赤い絆。だったら、この黒い糸は――?
疑問に思いながらお母様に尋ねると、お母様は微笑んでいた顔をさっと青く染めた。
「美冬、ああ、ああ、なんということでしょう!」
そして必死に私の小指から糸を引き離そうとしたけれど。お母様では、その糸に触ることすらままならなかった。
「美冬、美冬」
お母様が私を抱きしめる。
「おかあ、さま?」
「ごめんなさい、ごめんなさい――。お前に全てを押し付けてしまって。お前を不幸にしたかったわけじゃないのに、」
お母様。何を謝ることがあるの? 私はいま、こんなにも幸せなのに。
「お前はね――、妖の花嫁に選ばれてしまったのよ」
「お母様、私の指に、なにかついてる」
右手の小指に真っ黒い糸のようなものが巻き付いている。引っ張ってみても取れる気配はなく、それどころか、糸はどこまでも、伸びている。その先が見えない。
赤い糸なら、幼い私でも聞いたことがある。運命の人同士で結ばれる赤い絆。だったら、この黒い糸は――?
疑問に思いながらお母様に尋ねると、お母様は微笑んでいた顔をさっと青く染めた。
「美冬、ああ、ああ、なんということでしょう!」
そして必死に私の小指から糸を引き離そうとしたけれど。お母様では、その糸に触ることすらままならなかった。
「美冬、美冬」
お母様が私を抱きしめる。
「おかあ、さま?」
「ごめんなさい、ごめんなさい――。お前に全てを押し付けてしまって。お前を不幸にしたかったわけじゃないのに、」
お母様。何を謝ることがあるの? 私はいま、こんなにも幸せなのに。
「お前はね――、妖の花嫁に選ばれてしまったのよ」
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・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
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