今度こそあなたの幸せを願える私になりたい(リメイク)

夕立悠理

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殿下の提案

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グレイさんに取り残されてしまった私は、ひとまず、まだ残っているケーキを味わって食べることにした。

 こんなに甘いケーキを食べられることは滅多にないのだ。味わわなければ、損だろう。

 ゆっくりと頬張っていると、喫茶店に新たな客人を知らせるベルがなった。誰だろう。その人も、ケーキ目当てだろうか、なんて思いながら、視線をさ迷わせると、なんと、その客人は、ルーカス殿下だった。

 慌てて席をたち、礼をすると、ルーカス殿下は、私たちは学生という身分なのだし、そう畏まらなくていいとおっしゃった。

 「それより、ここに座っても構わないだろうか?」
と尋ねられた。グレイさんのケーキの皿はすでにマスターにより片付けられていたので、断る理由もなく、頷く。すると、ルーカス殿下はなぜか、嬉しそうに笑って、私の向かい側の席に座った。

 ルーカス殿下は、コーヒーを注文した後、私に尋ねる。
 「貴女はよく、ここにくるのか?」
「いえ、今日が初めてです。〈エルターン〉の方に連れてきていただいて」
「少し場所がわかりにくいからな」
そういって頷きつつも、殿下はなぜか〈エルターン〉という言葉に眉を潜めた。やはり、グレイさんと殿下はお知り合いで仲が悪いのだろうか。

 そこで、話題が途切れ、沈黙が訪れる。その沈黙を破ったのは、殿下だった。
「今日は、レモンケーキじゃないんだな」
そう言った殿下は口を押さえた。その表情は言うつもりのないことを思わず言ってしまった、それだった。

 「はい。もっと甘いものが食べたい気分でしたので」
私がレモンケーキが好きなこと、ルーカス殿下に話したことはあっただろうか。疑問に思いつつも、私はレモンケーキに目がないから、もしかしたら、誰かから聞いたのかもしれない、と自分を納得させる。

 「そういえば、マリウスが喜んでいた。貴女のお陰で、友人ができたと。私からも礼を言う。ありがとう、アリサ嬢」

 「そ、そんなお礼を頂くようなことは、なにもしていません。マリウス殿下のお力ですよ」

 私が慌てて首を振ると、ルーカス殿下はいや、と言葉を続けた。
「貴女の言葉で、自信がついたのだと、マリウスは言っていた。やはり、貴女のお陰だ」
そこで、言葉を切って、ルーカス殿下はなぜか、一瞬苦しそうな瞳をした。

 「これから私が言うことは、命令はなく、願いではなく、ただの兄としての提案なんだが──」

 何だろう。急に緊張して、喉が乾いてきた。それに、なかなか殿下の注文したコーヒーが届かないことが気になって仕方ない。

 「マリウスと婚約する気は、ないだろうか?」
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