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あなたの幸せを
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青い瞳はどこまでも澄んで。けれど、苦しげな色を湛えていた。
「私が、マリウス殿下と……?」
ルーカス殿下が頷く。
「マリウスは貴女を慕っている」
好ましく思われているのは知っている。手紙に、私が婚約者になればいいのに、と書かれていたことも。けれど、それはマリウス殿下の初めての知人ということによる、刷り込みのようなもので。
マリウス殿下の成長により、消え去るような感情だと捉えている。だから、マリウス殿下には、もっと相応しい相手がいらっしゃるだろうし、手紙の返事にも遠回しにそう伝えるつもりだった。
「貴女も、マリウスを悪くは思っていないだろう」
それは慕われれば、嬉しいし、可愛らしいマリウス殿下のことを好ましく思わないはずがない。
けれど、それは恋愛感情ではなかった。もちろん、私は貴族であり何れは政略のもと婚姻することはわかっている。
でも。
「私は、」
今でもあなたのことが──。
いいかけた言葉を飲み込む。そんなことを言っても困らせるだけだろう。
「……少し、考える時間をいただけないでしょうか」
「もちろんだ。それに、本来なら私が口出しをするような話じゃない。それでも、私は、」
ルーカス殿下はそこで言葉を切って、私を見つめた。
「こんなことを言われても困惑するだけだとわかっているが、──貴女に、幸せになってほしいんだ」
自室に戻り、息つく。まさか、ルーカス殿下にマリウス殿下との婚約をすすめられるとは、思っていなかった。それに。
『貴女に、幸せになってほしいんだ』
あんなことを言われるなんて。私の幸せなら、それなら。
あのとき、他の誰に疑われたとしても、貴方さえ私を信じてくれたら、もうなにも要らなかったのに。
そう考えて、首を振る。もう、過ぎたことだ。それに、ルーカス殿下には身に覚えがないことを言っても仕方がない。
マリウス殿下。純粋に私を姉のように、慕ってくださっている。マリウス殿下なら、私をずっと信じてくださるだろうか。
でも、そんなの、私が死ぬまでわからない。今は信じてくれていても、いつかは裏切られるかもしれない。
頭の中が、ぐちゃぐちゃだ。
ひとまず、マリウス殿下の手紙の返事と、ルーカス殿下の提案の返事については、じっくりと考えることにした。
「私が、マリウス殿下と……?」
ルーカス殿下が頷く。
「マリウスは貴女を慕っている」
好ましく思われているのは知っている。手紙に、私が婚約者になればいいのに、と書かれていたことも。けれど、それはマリウス殿下の初めての知人ということによる、刷り込みのようなもので。
マリウス殿下の成長により、消え去るような感情だと捉えている。だから、マリウス殿下には、もっと相応しい相手がいらっしゃるだろうし、手紙の返事にも遠回しにそう伝えるつもりだった。
「貴女も、マリウスを悪くは思っていないだろう」
それは慕われれば、嬉しいし、可愛らしいマリウス殿下のことを好ましく思わないはずがない。
けれど、それは恋愛感情ではなかった。もちろん、私は貴族であり何れは政略のもと婚姻することはわかっている。
でも。
「私は、」
今でもあなたのことが──。
いいかけた言葉を飲み込む。そんなことを言っても困らせるだけだろう。
「……少し、考える時間をいただけないでしょうか」
「もちろんだ。それに、本来なら私が口出しをするような話じゃない。それでも、私は、」
ルーカス殿下はそこで言葉を切って、私を見つめた。
「こんなことを言われても困惑するだけだとわかっているが、──貴女に、幸せになってほしいんだ」
自室に戻り、息つく。まさか、ルーカス殿下にマリウス殿下との婚約をすすめられるとは、思っていなかった。それに。
『貴女に、幸せになってほしいんだ』
あんなことを言われるなんて。私の幸せなら、それなら。
あのとき、他の誰に疑われたとしても、貴方さえ私を信じてくれたら、もうなにも要らなかったのに。
そう考えて、首を振る。もう、過ぎたことだ。それに、ルーカス殿下には身に覚えがないことを言っても仕方がない。
マリウス殿下。純粋に私を姉のように、慕ってくださっている。マリウス殿下なら、私をずっと信じてくださるだろうか。
でも、そんなの、私が死ぬまでわからない。今は信じてくれていても、いつかは裏切られるかもしれない。
頭の中が、ぐちゃぐちゃだ。
ひとまず、マリウス殿下の手紙の返事と、ルーカス殿下の提案の返事については、じっくりと考えることにした。
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