ちょっとまって、私、溺愛とかいりませんからー!(リメイク)

夕立悠理

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初夜と昔話2

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ルナのための世界。そう、全てはルナを中心に回っている。だって、ルナが『主人公だから』。


「しゅじん、こう?」

頭のなかに浮かんだ言葉に首をふる。そんな、それじゃ、まるで──。

「小説のなかの、世界、みたい……うっ」

 そういったのが、鍵となって様々なものがフラッシュバックする。

 落としたスマホ、青信号、歩道、突進してくる車。


 まって、スマホってなに? 信号も車も、私、知らない、ううん。


「知ってる。私の名前は、アデライン・ルルーシャ」


 そう、それは私が前世ではまったロマンス小説の悪役令嬢の名前、だった。


 物語のあらすじは単純で、双子の姉の婚約者に恋をしたルナが、姉であるアデラインからの嫌がらせにもたえて、姉の婚約者と結ばれてハッピーエンドだ。

 

 ──ルナは聖女に選ばれ、みんなに愛されていたにも関わらず、アデラインの婚約者に恋をした。だからこそ、アデラインはルナを虐めたのだ。そして、ルナを虐めたことが婚約者であるレイバン殿下にばれて、隣国へ嫁がされるという名目の追放処分をうける。

 冷淡な王に嫁がされたとだけ書かれていて、その後のアデラインのことは、わからなかった。


 なんだ、そうか。

 私は、『悪役』なんだ。


 だから、愛されなかったのか。


 そして、それを薄々感じていたから、ルナに嫉妬するよりもさきに納得していたのだろう。私は、愛されなくても仕方ないと。


 それに、私が癒しの力が発現したにも関わらず、誰にも認識されなかったのも頷ける。


 ここは、ルナのための世界だから。


 ルナが主人公でなくなる要素は無視されるのだ。


 だったら。私が、望む道は、ひとつだけ。


 物語通りに隣国へ嫁ぐことだ。

 その後の、アデラインのことは、描かれていない。だったら、その後になったら、私は自由になれるのかもしれない。


 それに。隣国では、女に政治的権力はない。だったら、嫁いでもそんなに仕事もしなくていいんじゃないか。


 もしかして、前世からの夢だった、ニートになれるのでは!?


 そうして、私の目指せ、ニート生活な日々が始まった。


 といっても、それからの日々は私は笑えるほど無力だった。たとえば、私が癒しの力で怪我した人を助けたとする。


 すると、その人の記憶では、私ではなくルナに助けられたことになっており、ルナに感謝するのだ。ルナもその感謝を当然のことのように受け入れていた。


 次に、私はルナを虐めなければならない。でも、あまり気が進まない。そう思って、花壇に水やりをしていたとき、水がルナにかかってしまった。


 すると、なぜか、ジョウロからでてきたのは、熱湯だった。


 ルナが悲鳴をあげる。


 先程までは、水がでていたというのに!


 なるほど、これは、面白い。


 世界は、あるべき姿になろうとしている。だったら、なにもしなくても、私はいいのでは?


 そうして、私は積極的にルナをいじめようとせず、時の流れに身を任せた。


 そして、その結果。

「ひゅー、やったぜ!!!! ニートだぁ!」


 まさか、後継ぎをつくるという貴族の責務さえ、放棄していいといわれるとはおもわなかった。


 これ以上、私は、私として嬉しいことはない。


 物語は終わった。それに私はもうルナのそばにはいない。


 ようやく、ここから、私自身の物語は始まるんだ。
※※※
次の話からリメイクとなります。
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