11 / 45
手紙
しおりを挟む
「わかっていてなお、君は変わらないんだね」
リッカルド様が、私の腕を掴んだまま近づく。
そう言うリッカルド様は感情を読み取れない表情をしていた。
「どうしたら、君は自分のことを大事にするんだろう」
「……私の。私の行き着く先は決まっているのです」
──悪魔と契約した。
あの瞬間から私の行き着く先は決まっている。
破滅だ。
でも、私が破滅しようと、あなたの笑顔が奪われないならそれでいいのだ。
頭のなかで、メリア様と心中したリッカルド様の穏やかな笑みがよみがえる。
「ふぅん? じゃあ、その行き着く先とやら、変えてみせるよ」
私の行き着く先をかえる?
「そうすれば君は、自分のことを大事にするんでしょ」
「……ええ、まぁ」
変えられるとは思わないけれど。
「約束、したからね」
リッカルド様は笑みをこぼすと、私の腕から手をぱっと離した。
「おやすみ、ソフィア嬢。良い夢を」
「……おやすみなさい」
さて。リッカルド様との会話ですっかり忘れていたけれど、今日は魔獣の心臓を十個も集めることが出来たのだった。
「悪魔」
私が自室で悪魔を呼ぶと、悪魔は実体化した。
「今日の成果よ」
悪魔に心臓を渡すと、悪魔はそれを一つ一つ美味しそうに食べた。
『今日はなかなか危なっかしかったな』
「確かに、大きな魔獣相手に遅れをとったわね」
お陰で回復魔法を重ねがけすることになったのだった。
『我はお前に死なれては困る』
悪魔が赤い瞳で私を見つめた。
「わかってるわ。贄だもの」
そう、私は悪魔の贄。
私が頷くと、悪魔は満足そうに笑った。そして、私の髪に触れる。
「悪魔? あなた本当に私の髪が好きね」
この前も、耳からこぼれ落ちた髪を触っていた。
『まあな』
くるくると私の髪で遊ぶ。私の髪は今は短いのでそうされると、ときどき悪魔の長い指が首にあたってくすぐったい。思わず笑ってしまう。
『さて、我の復活まで、あと二百七十五個だ。せいぜい励めよ』
翌朝。陽光で目を覚ます。
「う、ん」
よく寝た。すっきりとした目覚めだ。
うん。今日も一日魔獣狩りを頑張らなくっちゃ。
そう思いながら、支度を整えたところだった。
「ソフィアさん、いらっしゃる?」
「はい」
寮母のカーティナさんの声に扉を開ける。
すると、一通の手紙を差し出された。
「あなたのご実家からよ」
「ありがとうございます」
お礼をいって、手紙を受けとる。あの放任主義の私の家から手紙?
今日は槍でも降るんじゃないかしら。
そう思いながら、蝋で封をされた封筒を開け、目を通す。
「……え?」
そこにかいてあった内容は簡単にいうと、私の婚約が決まったことだった。
私が、婚約?
婚約くらい自分でとりつけてこい、といいそうな親だ。それなのに、なぜ。
事実、前の生では私は誰とも婚約していなかった。
手紙を読み進める。
相手は?
「……リッカルド、様?」
※※※※※
お読みくださり、ありがとうございます。
皆さんの応援が活力になっています。
リッカルド様が、私の腕を掴んだまま近づく。
そう言うリッカルド様は感情を読み取れない表情をしていた。
「どうしたら、君は自分のことを大事にするんだろう」
「……私の。私の行き着く先は決まっているのです」
──悪魔と契約した。
あの瞬間から私の行き着く先は決まっている。
破滅だ。
でも、私が破滅しようと、あなたの笑顔が奪われないならそれでいいのだ。
頭のなかで、メリア様と心中したリッカルド様の穏やかな笑みがよみがえる。
「ふぅん? じゃあ、その行き着く先とやら、変えてみせるよ」
私の行き着く先をかえる?
「そうすれば君は、自分のことを大事にするんでしょ」
「……ええ、まぁ」
変えられるとは思わないけれど。
「約束、したからね」
リッカルド様は笑みをこぼすと、私の腕から手をぱっと離した。
「おやすみ、ソフィア嬢。良い夢を」
「……おやすみなさい」
さて。リッカルド様との会話ですっかり忘れていたけれど、今日は魔獣の心臓を十個も集めることが出来たのだった。
「悪魔」
私が自室で悪魔を呼ぶと、悪魔は実体化した。
「今日の成果よ」
悪魔に心臓を渡すと、悪魔はそれを一つ一つ美味しそうに食べた。
『今日はなかなか危なっかしかったな』
「確かに、大きな魔獣相手に遅れをとったわね」
お陰で回復魔法を重ねがけすることになったのだった。
『我はお前に死なれては困る』
悪魔が赤い瞳で私を見つめた。
「わかってるわ。贄だもの」
そう、私は悪魔の贄。
私が頷くと、悪魔は満足そうに笑った。そして、私の髪に触れる。
「悪魔? あなた本当に私の髪が好きね」
この前も、耳からこぼれ落ちた髪を触っていた。
『まあな』
くるくると私の髪で遊ぶ。私の髪は今は短いのでそうされると、ときどき悪魔の長い指が首にあたってくすぐったい。思わず笑ってしまう。
『さて、我の復活まで、あと二百七十五個だ。せいぜい励めよ』
翌朝。陽光で目を覚ます。
「う、ん」
よく寝た。すっきりとした目覚めだ。
うん。今日も一日魔獣狩りを頑張らなくっちゃ。
そう思いながら、支度を整えたところだった。
「ソフィアさん、いらっしゃる?」
「はい」
寮母のカーティナさんの声に扉を開ける。
すると、一通の手紙を差し出された。
「あなたのご実家からよ」
「ありがとうございます」
お礼をいって、手紙を受けとる。あの放任主義の私の家から手紙?
今日は槍でも降るんじゃないかしら。
そう思いながら、蝋で封をされた封筒を開け、目を通す。
「……え?」
そこにかいてあった内容は簡単にいうと、私の婚約が決まったことだった。
私が、婚約?
婚約くらい自分でとりつけてこい、といいそうな親だ。それなのに、なぜ。
事実、前の生では私は誰とも婚約していなかった。
手紙を読み進める。
相手は?
「……リッカルド、様?」
※※※※※
お読みくださり、ありがとうございます。
皆さんの応援が活力になっています。
326
あなたにおすすめの小説
遊び人の令嬢が目を付けたのは、私の真面目な婚約者でした
おいどん
恋愛
子爵家の令嬢エリーネと伯爵家の次男のノルトが婚約を結んだのは、半年前だった。
真面目で優秀なノルトに相応しい婚約者であろうとするものの、エリーネには自信がなかった。
ある日、遊び人と噂の令嬢べルティーナとノルトが共にいるところを見てしまう。
「真面目クンは壁さえ破っちゃえばこっちのもんだからね〜」
「きっと、彼女の美しさに嫉妬しているのだわ…」
「…今度は、ちゃんと言葉にするから」
冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ化企画進行中「妹に全てを奪われた元最高聖女は隣国の皇太子に溺愛される」完結
まほりろ
恋愛
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行中。
コミカライズ化がスタートしましたらこちらの作品は非公開にします。
部屋にこもって絵ばかり描いていた私は、聖女の仕事を果たさない役立たずとして、王太子殿下に婚約破棄を言い渡されました。
絵を描くことは国王陛下の許可を得ていましたし、国中に結界を張る仕事はきちんとこなしていたのですが……。
王太子殿下は私の話に聞く耳を持たず、腹違い妹のミラに最高聖女の地位を与え、自身の婚約者になさいました。
最高聖女の地位を追われ無一文で追い出された私は、幼なじみを頼り海を越えて隣国へ。
私の描いた絵には神や精霊の加護が宿るようで、ハルシュタイン国は私の描いた絵の力で発展したようなのです。
えっ? 私がいなくなって精霊の加護がなくなった? 妹のミラでは魔力量が足りなくて国中に結界を張れない?
私は隣国の皇太子様に溺愛されているので今更そんなこと言われても困ります。
というより海が荒れて祖国との国交が途絶えたので、祖国が危機的状況にあることすら知りません。
小説家になろう、アルファポリス、pixivに投稿しています。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
小説家になろうランキング、異世界恋愛/日間2位、日間総合2位。週間総合3位。
pixivオリジナル小説ウィークリーランキング5位に入った小説です。
【改稿版について】
コミカライズ化にあたり、作中の矛盾点などを修正しようと思い全文改稿しました。
ですが……改稿する必要はなかったようです。
おそらくコミカライズの「原作」は、改稿前のものになるんじゃないのかなぁ………多分。その辺良くわかりません。
なので、改稿版と差し替えではなく、改稿前のデータと、改稿後のデータを分けて投稿します。
小説家になろうさんに問い合わせたところ、改稿版をアップすることは問題ないようです。
よろしければこちらも読んでいただければ幸いです。
※改稿版は以下の3人の名前を変更しています。
・一人目(ヒロイン)
✕リーゼロッテ・ニクラス(変更前)
◯リアーナ・ニクラス(変更後)
・二人目(鍛冶屋)
✕デリー(変更前)
◯ドミニク(変更後)
・三人目(お針子)
✕ゲレ(変更前)
◯ゲルダ(変更後)
※下記二人の一人称を変更
へーウィットの一人称→✕僕◯俺
アルドリックの一人称→✕私◯僕
※コミカライズ化がスタートする前に規約に従いこちらの先品は削除します。
「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。
海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。
アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。
しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。
「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」
聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。
※本編は全7話で完結します。
※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。
報われなかった姫君に、弔いの白い薔薇の花束を
さくたろう
恋愛
その国の王妃を決める舞踏会に招かれたロザリー・ベルトレードは、自分が当時の王子、そうして現王アルフォンスの婚約者であり、不遇の死を遂げた姫オフィーリアであったという前世を思い出す。
少しずつ蘇るオフィーリアの記憶に翻弄されながらも、17年前から今世まで続く因縁に、ロザリーは絡め取られていく。一方でアルフォンスもロザリーの存在から目が離せなくなり、やがて二人は再び惹かれ合うようになるが――。
20話です。小説家になろう様でも公開中です。
殿下、毒殺はお断りいたします
石里 唯
恋愛
公爵令嬢エリザベスは、王太子エドワードから幼いころから熱烈に求婚され続けているが、頑なに断り続けている。
彼女には、前世、心から愛した相手と結ばれ、毒殺された記憶があり、今生の目標は、ただ穏やかな結婚と人生を全うすることなのだ。
容姿端麗、文武両道、加えて王太子という立場で国中の令嬢たちの憧れであるエドワードと結婚するなどとんでもない選択なのだ。
彼女の拒絶を全く意に介しない王太子、彼女を溺愛し生涯手元に置くと公言する兄を振り切って彼女は人生の目標を達成できるのだろうか。
「小説家になろう」サイトで完結済みです。大まかな流れに変更はありません。
「小説家になろう」サイトで番外編を投稿しています。
【完結】精霊姫は魔王陛下のかごの中~実家から独立して生きてこうと思ったら就職先の王子様にとろとろに甘やかされています~
吉武 止少
恋愛
ソフィアは小さい頃から孤独な生活を送ってきた。どれほど努力をしても妹ばかりが溺愛され、ないがしろにされる毎日。
ある日「修道院に入れ」と言われたソフィアはついに我慢の限界を迎え、実家を逃げ出す決意を固める。
幼い頃から精霊に愛されてきたソフィアは、祖母のような“精霊の御子”として監視下に置かれないよう身許を隠して王都へ向かう。
仕事を探す中で彼女が出会ったのは、卓越した剣技と鋭利な美貌によって『魔王』と恐れられる第二王子エルネストだった。
精霊に悪戯される体質のエルネストはそれが原因の不調に苦しんでいた。見かねたソフィアは自分がやったとバレないようこっそり精霊を追い払ってあげる。
ソフィアの正体に違和感を覚えたエルネストは監視の意味もかねて彼女に仕事を持ち掛ける。
侍女として雇われると思っていたのに、エルネストが意中の女性を射止めるための『練習相手』にされてしまう。
当て馬扱いかと思っていたが、恋人ごっこをしていくうちにお互いの距離がどんどん縮まっていってーー!?
本編は全42話。執筆を終えており、投稿予約も済ませています。完結保証。
+番外編があります。
11/17 HOTランキング女性向け第2位達成。
11/18~20 HOTランキング女性向け第1位達成。応援ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる