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一周目
悪役聖女、義兄にトラウマを植え付ける 2
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ここで、お母様やお父様にばれないように、トーラスお義兄様にだけ見えるように、口角を上げるのもポイントだ。
きまったー!
これで、苦手なピーマンを押し付ける意地悪な妹が爆誕した。
「……わかったよ」
トーラスお義兄様は、しぶしぶといった様子で、わたしがピーマンだけ分けたお皿を受け取った。
そして、夕食会が再び始まる。
和やかに会話をするお父様とお母様の言葉を聞き流しながら、わたしは、ずっとトーラスお義兄様に注目していた。
トーラスお義兄様は、ピーマンを口に含むと、青い瞳が1.5倍に大きくなった。
そして、勢いよく水で流し込む。
黙々と繰り返される動作を眺めながら、わたしはトラウマを植え付けることに少しだけ成功したに違いないと心のなかでガッツポーズした。
こんな感じで少しずつ、トラウマを植え付けていこう。
◇◇◇
翌日、侯爵家近くの湖畔で読書をするという、トーラスお義兄様についていくことにした。
「……トーラスお義兄様!」
そのためにきゅるん、と瞳を潤ませて手を組み、トーラスお義兄様を見上げる。
「わたし、トーラスお義兄様についていきたいです!」
トラウマを植え付けるという目的もあるけど、純粋にあと6年間しか過ごせない、トーラスお義兄様と思い出作りがしたかったのもある。
「ロイゼ、湖は深くて危ないから……」
「一緒に読書をするだけです。いいでしょう?」
必殺☆うるうるビーム!
「……わかったよ」
ピーマンのおかげか、1.2倍には常から開くようになった瞳を少し細めて、トーラスお義兄様は、ため息をついた。
「じゃあ、ついてきて」
わーい!
お義兄様と読書ターイム!!
わたしは、本を用意して――お義兄様から以前の誕生日に贈ってもらった物語の本だ――トーラスお義兄の後ろについて歩いた。
湖畔はいつも、ついてきちゃダメっていわれるから、始めていくのよね。
きらきらと輝く水や、木々の隙間から漏れる光、そして鳥の囀ずりなど、わたしの興味を引くものがたくさんだ。
きょろきょろと、辺りを観察しながら歩いていると――石につまずいて盛大にこけかけた。
そして、手に持っていた本がぽーんと宙にあがる。
「本が!」
トーラスお義兄様にもらった大事な本なのに!
咄嗟に本を追いかけたわたしは、本を無事キャッチ――する前に、ぐにゃ、とした感触がした。
「え?」
みると、足元に地面はなく、そこは水の上だった。
「……あっ」
まずい!
だって、だって、ロイゼはわたしは、金ヅチなのだ。
溺れてしまったら、泳げない!
そんなわたしに気づかず、先にずんずんすすんでいく、トーラスお義兄様に手を伸ばす。
けれど、その手は届くことなく宙をかいた。
「や……」
ドボン!
耳元で大きな音が聞こえ、わたしのからだは沈んでいった。
きまったー!
これで、苦手なピーマンを押し付ける意地悪な妹が爆誕した。
「……わかったよ」
トーラスお義兄様は、しぶしぶといった様子で、わたしがピーマンだけ分けたお皿を受け取った。
そして、夕食会が再び始まる。
和やかに会話をするお父様とお母様の言葉を聞き流しながら、わたしは、ずっとトーラスお義兄様に注目していた。
トーラスお義兄様は、ピーマンを口に含むと、青い瞳が1.5倍に大きくなった。
そして、勢いよく水で流し込む。
黙々と繰り返される動作を眺めながら、わたしはトラウマを植え付けることに少しだけ成功したに違いないと心のなかでガッツポーズした。
こんな感じで少しずつ、トラウマを植え付けていこう。
◇◇◇
翌日、侯爵家近くの湖畔で読書をするという、トーラスお義兄様についていくことにした。
「……トーラスお義兄様!」
そのためにきゅるん、と瞳を潤ませて手を組み、トーラスお義兄様を見上げる。
「わたし、トーラスお義兄様についていきたいです!」
トラウマを植え付けるという目的もあるけど、純粋にあと6年間しか過ごせない、トーラスお義兄様と思い出作りがしたかったのもある。
「ロイゼ、湖は深くて危ないから……」
「一緒に読書をするだけです。いいでしょう?」
必殺☆うるうるビーム!
「……わかったよ」
ピーマンのおかげか、1.2倍には常から開くようになった瞳を少し細めて、トーラスお義兄様は、ため息をついた。
「じゃあ、ついてきて」
わーい!
お義兄様と読書ターイム!!
わたしは、本を用意して――お義兄様から以前の誕生日に贈ってもらった物語の本だ――トーラスお義兄の後ろについて歩いた。
湖畔はいつも、ついてきちゃダメっていわれるから、始めていくのよね。
きらきらと輝く水や、木々の隙間から漏れる光、そして鳥の囀ずりなど、わたしの興味を引くものがたくさんだ。
きょろきょろと、辺りを観察しながら歩いていると――石につまずいて盛大にこけかけた。
そして、手に持っていた本がぽーんと宙にあがる。
「本が!」
トーラスお義兄様にもらった大事な本なのに!
咄嗟に本を追いかけたわたしは、本を無事キャッチ――する前に、ぐにゃ、とした感触がした。
「え?」
みると、足元に地面はなく、そこは水の上だった。
「……あっ」
まずい!
だって、だって、ロイゼはわたしは、金ヅチなのだ。
溺れてしまったら、泳げない!
そんなわたしに気づかず、先にずんずんすすんでいく、トーラスお義兄様に手を伸ばす。
けれど、その手は届くことなく宙をかいた。
「や……」
ドボン!
耳元で大きな音が聞こえ、わたしのからだは沈んでいった。
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