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中学生編
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さて、元旦。
……え? 期末テスト? 期末テストは、相も変わらず10位だった。試験期間の一か月前から勉強を始めたものの、更ちゃんはなかなかに手ごわく、9位になることは叶わなかった。
クリスマスは、部活でクリスマスケーキを作って皆で食べるという、特にときめきもなく終わりました。
さて、お正月と言えば、お年玉である。お年玉といえば、毎年恒例、ドキドキ☆成績確認である。お祖父様に成績表を持って新年の挨拶をし、その成績によって貰えるお年玉が変わるのだ。
「……はぁ」
私は、音痴である。何が言いたいかと言うと、音楽の成績がすこぶる悪い。……なので、ものすごく気が重いが仕方ない。これも、お年玉をもらうためだ。
私は覚悟を決めて襖を開いた。
■ □ ■
「全く、お前たちはどうなっておるのだ!」
襖を開けた瞬間怒鳴られた。私としては全く身に覚えがな――
「新年早々婚約を破棄したいだのぬかしおって」
身に覚えがありすぎる話である。どうやら、私の前は淳お兄様だったらしい。お祖父様は見るからに不機嫌であり、そんなお祖父様に音楽の成績が2である成績表を見せるのは気が引ける。
後ろ手で成績表を隠そうとしたが、あっさり見つかり、お祖父様に見られてしまった。
「……楓」
「…………ハイ」
「お前はどうしても音楽が苦手だな」
おっしゃる通りにございます。
「……これはやはりピアノを習わせるべきか」
お祖父さま――! ピアノはやっていましたが、私には向かな過ぎてやめたのです! 人間誰にも向き不向きはあるのです!
そう主張すると、お祖父様はため息をつきながら、お年玉袋を差し出した。わーい、臨時収入ゲットだ。
「……それにしても、早く淳をどうにかせんか」
どうにかしろ、と言われましても。淳お兄様の婚約破棄の意志は固い。なぜだか、文化祭以後、余計にその意思が強くなった気がする。
「アレも中々頑固なところがあるからな……、アレにはお前みたいな馬鹿が丁度いいと思うのだが」
お祖父様!? 今、馬鹿っていいました!? 孫をつかまえて、馬鹿って……。私、これでも学年で10番ですからね! そう心の中で抗議していると、お祖父様はまたため息をついた。
「……一体どうするかの」
■ □ ■
「あら、楓さんじゃありませんの」
げっ、と声が漏れそうになる。道脇家分家の中原家長女の中原撫子だ。そして、彼女は、私のお年玉袋を見て、勝ち誇った顔をした。
「ちなみに私の成績はオール5でしてよ」
わぁ、それはすごいですねー。
「……全く、その程度の成績も取れないような方が淳さんの婚約者だなんて」
その婚約もいずれ破棄されるんですけどね! 私はやさぐれた気分になりながら、適当に相槌を打つ。
「どうしたのです。いつもの勢いがないわ」
むにゅ、とほっぺたを掴まれた。痛い痛い痛い。
「なにするんへすか」
「……ふうん、偽物かと思ったけれど、本物なのね」
ぺちん、と頬が放される。そんな確認のために、私のほっぺたは犠牲になったのか。
「元気がない貴方を相手にしてもつまらないわ。……淳さんなら中庭にいましてよ」
それだけ言うと、撫子はスタスタとさっていってしまった。
……もしかして、彼女なりに元気付けようとしてくれたのだろうか?
「……淳おにいさ」
淳お兄様の後姿をみかけて声をかけようとして、止めた。中庭では、淳お兄様とお姉様が何やら話し込んでいるみたいだった。私の距離からだと、何て話しているかは聞こえない。
話し込むうちに、二人の距離は徐々に近づいて行った。なぜだか、目が離せなくて、息をつめる。
――と。
二人の頭と頭が重なりあった。
「うそ……」
き、キスしてる――!?
……え? 期末テスト? 期末テストは、相も変わらず10位だった。試験期間の一か月前から勉強を始めたものの、更ちゃんはなかなかに手ごわく、9位になることは叶わなかった。
クリスマスは、部活でクリスマスケーキを作って皆で食べるという、特にときめきもなく終わりました。
さて、お正月と言えば、お年玉である。お年玉といえば、毎年恒例、ドキドキ☆成績確認である。お祖父様に成績表を持って新年の挨拶をし、その成績によって貰えるお年玉が変わるのだ。
「……はぁ」
私は、音痴である。何が言いたいかと言うと、音楽の成績がすこぶる悪い。……なので、ものすごく気が重いが仕方ない。これも、お年玉をもらうためだ。
私は覚悟を決めて襖を開いた。
■ □ ■
「全く、お前たちはどうなっておるのだ!」
襖を開けた瞬間怒鳴られた。私としては全く身に覚えがな――
「新年早々婚約を破棄したいだのぬかしおって」
身に覚えがありすぎる話である。どうやら、私の前は淳お兄様だったらしい。お祖父様は見るからに不機嫌であり、そんなお祖父様に音楽の成績が2である成績表を見せるのは気が引ける。
後ろ手で成績表を隠そうとしたが、あっさり見つかり、お祖父様に見られてしまった。
「……楓」
「…………ハイ」
「お前はどうしても音楽が苦手だな」
おっしゃる通りにございます。
「……これはやはりピアノを習わせるべきか」
お祖父さま――! ピアノはやっていましたが、私には向かな過ぎてやめたのです! 人間誰にも向き不向きはあるのです!
そう主張すると、お祖父様はため息をつきながら、お年玉袋を差し出した。わーい、臨時収入ゲットだ。
「……それにしても、早く淳をどうにかせんか」
どうにかしろ、と言われましても。淳お兄様の婚約破棄の意志は固い。なぜだか、文化祭以後、余計にその意思が強くなった気がする。
「アレも中々頑固なところがあるからな……、アレにはお前みたいな馬鹿が丁度いいと思うのだが」
お祖父様!? 今、馬鹿っていいました!? 孫をつかまえて、馬鹿って……。私、これでも学年で10番ですからね! そう心の中で抗議していると、お祖父様はまたため息をついた。
「……一体どうするかの」
■ □ ■
「あら、楓さんじゃありませんの」
げっ、と声が漏れそうになる。道脇家分家の中原家長女の中原撫子だ。そして、彼女は、私のお年玉袋を見て、勝ち誇った顔をした。
「ちなみに私の成績はオール5でしてよ」
わぁ、それはすごいですねー。
「……全く、その程度の成績も取れないような方が淳さんの婚約者だなんて」
その婚約もいずれ破棄されるんですけどね! 私はやさぐれた気分になりながら、適当に相槌を打つ。
「どうしたのです。いつもの勢いがないわ」
むにゅ、とほっぺたを掴まれた。痛い痛い痛い。
「なにするんへすか」
「……ふうん、偽物かと思ったけれど、本物なのね」
ぺちん、と頬が放される。そんな確認のために、私のほっぺたは犠牲になったのか。
「元気がない貴方を相手にしてもつまらないわ。……淳さんなら中庭にいましてよ」
それだけ言うと、撫子はスタスタとさっていってしまった。
……もしかして、彼女なりに元気付けようとしてくれたのだろうか?
「……淳おにいさ」
淳お兄様の後姿をみかけて声をかけようとして、止めた。中庭では、淳お兄様とお姉様が何やら話し込んでいるみたいだった。私の距離からだと、何て話しているかは聞こえない。
話し込むうちに、二人の距離は徐々に近づいて行った。なぜだか、目が離せなくて、息をつめる。
――と。
二人の頭と頭が重なりあった。
「うそ……」
き、キスしてる――!?
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