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高校生編
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「お前の父親から、俺とお前の婚約の話が出ている」
「………………えっ?」
一瞬何を言われているのか、わからなかった。前川と、私が婚約!? まさに、『長女のキミ』と『三女の彼女』の展開である。
「その話お断りは……」
「このまま進むと、無理だな。だいぶ外堀は埋められている」
嘘だろ。前川との婚約フラグはバッキバキに折ったつもりだったのに。
「だからな、お前、淳さんに告白しろ」
「は? な、なにを言ってるんですか!」
大体、淳お兄様はお姉様と両想いで、私なんかが今更気持ちを伝えたところで迷惑になるだけ――
「そういう言い訳はいいから、とにかく告白しろ。じゃないと、後悔するぞ」
前川は私をじっと見つめた。
「で、でも、だって、そんな簡単に言わないでください、他人事だと思って」
「ああ、他人事だからな。でも、俺は、お前がどれだけ淳さんを好きか知ってる。いいのか? 何も伝えられないまま婚約を破棄して、俺と婚約をすることになっても」
「それは、でも」
真剣な目を見ていられなくて、下を向く。私に、そんな勇気はない。
「告白何て、そんなの無理です」
「無理じゃない」
無理だ。振られるところしか、想像できない。というか、振られない確率何てあるのか……?
「もしかしたら、お前の勘違いで、淳さんとお前が両想いかもしれないだろ」
「そんな可能性1パーセントぐらいで……」
「1パーセントもあれば十分だろ。……もし、振られたら、俺が貰ってやるから」
そう言って、前川は微笑んだ。見たことがないほど、優しい、笑みだった。
「だから、頑張れ」
■ □ ■
「……はぁ」
前川には、ああ言われたものの、中々勇気が出ない。でも、前川が言っていることにも一理あることはわかっている。確かにこのまま、淳お兄様と婚約破棄したら、私は後悔するだろう。
でも、でも、私が淳お兄様に告白って。
好きになるだけでも、烏滸がましいのに、告白何て、烏滸がましいの極み――違う。私は、振られるのが怖くて、逃げているだけだ。本当は、ちゃんとわかってる。そうしないと、前に進めないこと。
「どうしたの? 急に呼び出して」
結局、私が勇気を出せたのは、別荘を立つ直前だった。振られたら言い逃げ出来るタイミングだというのが、我ながら、何とも情けない。
「淳お兄様」
「ん……?」
私の真剣な表情に気づいた淳お兄様が首を傾げた。
ああ。貴方の愛に何度助けられてきただろう。誰も、愛そうとも愛されようともしなかった私に、ずっと寄り添ってくれた人。柔らかな笑みも、暖かい、まなざしも、大きな手も、全部。
「あなたが、好きです」
「………………えっ?」
一瞬何を言われているのか、わからなかった。前川と、私が婚約!? まさに、『長女のキミ』と『三女の彼女』の展開である。
「その話お断りは……」
「このまま進むと、無理だな。だいぶ外堀は埋められている」
嘘だろ。前川との婚約フラグはバッキバキに折ったつもりだったのに。
「だからな、お前、淳さんに告白しろ」
「は? な、なにを言ってるんですか!」
大体、淳お兄様はお姉様と両想いで、私なんかが今更気持ちを伝えたところで迷惑になるだけ――
「そういう言い訳はいいから、とにかく告白しろ。じゃないと、後悔するぞ」
前川は私をじっと見つめた。
「で、でも、だって、そんな簡単に言わないでください、他人事だと思って」
「ああ、他人事だからな。でも、俺は、お前がどれだけ淳さんを好きか知ってる。いいのか? 何も伝えられないまま婚約を破棄して、俺と婚約をすることになっても」
「それは、でも」
真剣な目を見ていられなくて、下を向く。私に、そんな勇気はない。
「告白何て、そんなの無理です」
「無理じゃない」
無理だ。振られるところしか、想像できない。というか、振られない確率何てあるのか……?
「もしかしたら、お前の勘違いで、淳さんとお前が両想いかもしれないだろ」
「そんな可能性1パーセントぐらいで……」
「1パーセントもあれば十分だろ。……もし、振られたら、俺が貰ってやるから」
そう言って、前川は微笑んだ。見たことがないほど、優しい、笑みだった。
「だから、頑張れ」
■ □ ■
「……はぁ」
前川には、ああ言われたものの、中々勇気が出ない。でも、前川が言っていることにも一理あることはわかっている。確かにこのまま、淳お兄様と婚約破棄したら、私は後悔するだろう。
でも、でも、私が淳お兄様に告白って。
好きになるだけでも、烏滸がましいのに、告白何て、烏滸がましいの極み――違う。私は、振られるのが怖くて、逃げているだけだ。本当は、ちゃんとわかってる。そうしないと、前に進めないこと。
「どうしたの? 急に呼び出して」
結局、私が勇気を出せたのは、別荘を立つ直前だった。振られたら言い逃げ出来るタイミングだというのが、我ながら、何とも情けない。
「淳お兄様」
「ん……?」
私の真剣な表情に気づいた淳お兄様が首を傾げた。
ああ。貴方の愛に何度助けられてきただろう。誰も、愛そうとも愛されようともしなかった私に、ずっと寄り添ってくれた人。柔らかな笑みも、暖かい、まなざしも、大きな手も、全部。
「あなたが、好きです」
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