星に祈りをかけるなら、

夕立悠理

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そのはち

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扉のなかは思ったよりも綺麗だった。魔法使いの部屋ってもっとごちゃごちゃしていると思っていたので、意外だわ。

 「僕、汚いのきらいだから」
「! そうですか」
心の声が読まれた!? 驚きながらもとりあえず、ライオネルさんの後ろについていく。それにしても、ライオネルさんがこんなに若いなんて思わなかったわ。年は私と一緒か少し下くらいにみえる。美丈夫……というか、美少年だし、噂もあながち間違ってはないのね。なら、冷酷だという噂も本当かしら。

 「今日は王城結界の張り直しをする。だから話しかけられても終わるまで無視するから。そこら辺で適当に本、読んどいて」
「わかりました」

 示された椅子に座って、教科書を開く。ライオネルさんは、魔法陣の上にたって、何かを呟いていた。たぶん、呪文だろう。

 子供向けの教科書は、子供向けなので優しい言葉でかいてあった。属性……については、昨日リオンさんに習ったからいいよね。

 「魔力の使い方?」
知らない。ここから読もう。ええと、魔力を魔法に変えるには、まず魔力の流れをとらえよう。

 目を閉じると、血のめぐりを感じる。そして、深呼吸すると、血とは反対方向に何かが流れているのを感じた。これだ!

 どうして今まで気づかなかったんだろう。こんなにも私の体内をめぐっている存在に。

 「ええと、次は……」

 自分の好きなものを思い浮かべよう!
 好きなもの。真っ先に思い浮かんだロイドをかきけす。もう、あのことは忘れるのよ。好きなもの、好きなもの……シチューかな。

 「好きなものを思い浮かべながら、魔力を手に集めよう。これで、魔法の準備は万端! あとは、自分の属性にあった魔法をイメージしてみよう」
 
 私の属性。土、火、水、風、黒、白。一番イメージしやすいのはどれだろう。水かな。

 水をイメージをしつつ、手に集めた魔力を解き放つ。

 「!」

 すると、強い光を放って部屋が濁流に飲み込まれた。
「!? なんだ、このバカみたいな魔力! いや、僕はこの魔力を知って──」
息が、できない。私、泳げないのに。どうしよう、どうしたらこの水は止まるの。

 わからない。わからないまま。水に飲まれて、私は意識を失った。
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