あなたの運命になりたかった

夕立悠理

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来訪

──貴女はそう思っているかもしれないけれど、彼はどうかしらね?

 彼女の言葉がぐるぐると回る。
 「コーデリア?」
ジャレッドに声をかけられて、はっとする。食事の手が止まっていた。
「何か、あったの」
真剣な瞳で尋ねてくるジャレッドに、首を振る。ジャレッドに、彼女の話題を出したくなかった。

 「何でもないわ。ただ少し、ぼんやりしてただけ。──ジャレッドは、」
「うん」
私といて、幸せ? そう尋ねようとして、言葉を飲み込む。ジャレッドは、番でないと知りながら、私と付き合い、プロポーズまでしてくれたのだ。だから、だから、そんなこと聞きたくない。それに、もし、幸せじゃないと言われたら?

 「コーデリア」
途中で言葉を切った私の手にジャレッドが、上に優しく手を重ねた。

「僕が、君を愛していることで、不安にさせていること、ちゃんとわかってるつもりだ。そして、その不安は、一生付きまとうことも」
ジャレッドと、結婚しても私がジャレッドの番でない事実は、消えない。

 「それでも。僕は、君を離してあげられない。……ごめん」
「……ジャレッド。私だって、ジャレッドから離れる気はないわ。愛しているもの」

 私たちは、運命に結ばれていない。けれど、その分日々を重ねてきた。その日々が消えることはないのだと。そして、その日々の証明がこの左の薬指の婚約指輪だ。

 「式まで、あと二ヶ月と半月。楽しみね」
不安を振りきるように、明るい声を出すと、ジャレッドは安心したように、笑った。

 「うん。すごく、楽しみだ」

 ■ □ ■

 僕が、駐屯地で書類作業を行っていると、同僚が声をかけてきた。
「おい、ジャレッド。お前にお客さんだ」
騎士団に所属している騎士の一人として、呼ばれることはあっても、僕個人を訪ねてくる人は、少ない。誰だろう。

 何だか、嫌な予感を抱えつつも、来客室へ向かう。

 「……っ!」
扉のノブに触れようとして、手を反射的に離した。僕の意思とは無関係に、身体中の細胞がざわめく。この感覚を知っている。

 「どうした、ジャレッド。客が中で待ってるぞ」
「悪いけど、忙しくて会えないと伝えてくれ」
扉から急いで、距離をとろうとしたとき、扉は、ひとりでに開いた。──いや、開かれたのだ。

 そして、でてきたのは、
「どうして、避けるの? 私たちは、番なのに」
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