なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!

日向ぼっこ

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8章.神々の黄昏編

132話.クロムの成長

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『ふむ……、支配下に置いている次元の数では負けてはいないはずだったが』

 自分の肩より先の右腕の全てが消え去ったことに対するメテオライトの反応は至って冷静なものであった。
なぜこの現象が起きたのかを理解できない、なぜだという疑問の答えを探しているといった感じだ。

「右腕がなくなったというのに余裕そうだな」

『そんな些細なことが大事なのか?
 空間術を極めた者とは思えぬ問いであるな』

 そう言った時には、消え去ったはずのメテオライトの右腕が消え去る前の姿で確かにそこにあった。

「<並列世界間での事象改変の法則>…… だったか?
 過半数以上の平行世界で起こした事象はその他の次元にも影響を与える。
 まさか部位欠損すらなかったことにできるとは思ってなかったよ」

『空間術を極めたなどと言うた割には、その程度も知らぬのか……
 また我を失望させるなよ!!!』

 メテオライトは数百という土の鋲を空中に生成して一斉にクロム目掛けて放った。虚を衝かれたきょをつかれたクロムであったが、冷静に飛来する土の鋲を消し去ってゆく。
順調に土の鋲を消し去ってゆく中、ふいにクロムは左頬に痛みを感じた。

「ふぅ~、並列世界への事象改変力は少し俺が負けている…… ってことか」

 クロムは左頬を伝え流れるものを手で拭いぬぐいながら、ため息交じりにメテオライトを見る。
表情には出さないもののクロムはかなり必死に行ったおこなった今回の並列世界への事象改変、それに対抗するように事象改変の上書きをしたメテオライト。
クロムの目には、メテオライトの事象改変はかなり余裕をもって行っていたように写っていた。
――単純な事象改変の争いでは完全に分が悪いな……

『極めたなど大層なことをいう割には、まだまだじゃな。
 いや、これ以上を期待するのがそもそも酷であるか……
 これ以上時間を与えたところでここが限界じゃろうし、ここで消え去るがよい』

 メテオライトが右腕をクロムに向けて突き出すと、クロムはうっすらと黒色の泡のようなものに包まれた。

『カオス共々ともども、消えされ』

 クロムを包みこむ黒い泡は、徐々に黒さを増しながら圧縮してゆき、ついには消え去った。

『あっけないものじゃな、この程度なら前回滅ぼしておけばよかった。
 さて、残りはあの街をわれ自らみずから滅ぼすとしようか』

 メテオライトは都市国家ミレストンを街ごと消し去るべく街へと歩き出した。
しかしメテオライトがミレストンにたどり着くことはなかった。

「勝手に終わらせないでもらいたいね!」

 聞こえるはずのない声、そんなものが聞こえたとあれば例え創造神であっても不気味さゆえに立ち止まるしかなかった。
そして、振り返ったメテオライトが見たものはまさしくいるはずのない存在、クロムであった。
そんなあり得ない事態にメテオライトは激しく動揺した、それは時間にすれば一瞬ではあったが。

「くらえ!!」

 クロムが何かを圧縮したような真っ白な球を放った。
メテオライトの一瞬の硬直の隙をつくように放たれた白い球がメテオライトの右肩に直撃すると、メテオライトの右肩が一瞬で消滅して右腕が地面に落ちた。

 クロムが放った白い球の正体は、極限まで圧縮させたルームそのものであった。
作り出した異空間を極限まで圧縮した結果、全てを吸い込み消し去るブラックホールのようなものが出来上がったのである。
――ブラックホールのような白い球、何か意味があるのかね。

 クロムがそんなことを考えているとき、メテオライトは初めてクロムに対して恐怖を感じていた。
クロムが何をしたのかメテオライトにはまったく想像すらできなかったためである。
なんでもできるが何かに特化しているわけではない、創造神とはそういう存在である。
それぞれに特化している何かを司る神には一部能力で劣ることはある。
今回の出来事はまさにそのパターンの出来事なのではあるが、長年全知全能として君臨してきたメテオライトにはその考えに至ることすら困難であった。

 しかしそのような動揺も一瞬であった。
わからないことは不気味ではあるが、現状への対応を優先したのだった。

『面白いことをするものだな。
 だが、修復してしまえば良いだけの話じゃ』

 創造神の右腕が修復することは、なかった――。

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