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ノアズアーク編
第227話 52日目⑪シエスタ
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ぶっつけ本番ではあったが、ハトムギ粉をベースに色々試してみて、結果的には満足のいく形で天ぷらを作ることができてよかった。美岬も喜んでくれたから万々歳だ。また、試行錯誤によってハトムギという穀物についての理解が深まったのも収穫だった。
野生種のジュズダマに比べ、栽培種のハトムギが野生化したものは収穫量が多く、粒が大きくて殻も薄いので相対的には使いやすいとはいえ、それでも今の時期、地面を埋め尽くすような勢いで大量に落実するスダジイのドングリには遠く及ばない。
収穫量と収穫のしやすさ、粒の大きさ、殻の剥きやすさの全てでスダジイに軍配が上がるので、スダジイを使った縄文クッキーが俺たちの主食になるのは当然で、これまでハトムギは、殻ごと炒ってから煮出してハトムギ茶にして、その後、殻を割って中身をそのまま食べたり、塩水と麹で発酵させて調味料の塩麹にするぐらいしか利用してこなかった。
そんなわけで石臼で挽いたハトムギの粉もこれまで使ったことはなかったが、使ってみた結果、思っていた以上にハトムギは麦ではなく米に近い穀物だということが判明した。
それもどうやら、うるち米ではなく餅米に近い性質であるようだ。ということは、ハトムギを使えばかなり本格的な餅が作れる可能性が高い。これについてはこれから要検証だが、餅は非常に優れたエネルギー源になるし、料理や菓子にも幅広く使えるから、ちょうど今がハトムギの収穫期でもあるし、この機会に積極的に活用法を模索していきたいと思う。
まあそんな感じでハトムギの新たな可能性への気づきが得られた有意義な昼食を終えて、食事の片付けをしているところで美岬がうつらうつらとずいぶんと眠そうにしていることに気づく。
「眠そうだな」
「……んー。うん。お腹いっぱいになって……うん、腹の皮が張ると目の皮が弛むってやつだねぇ。……めっちゃ眠い。ふわぁ……」
そういえば今朝、俺は8時頃までガッツリ寝てしまったが、美岬はかなり早起きして朝食を作ってくれていたもんな。その後もずっと動きづめだったし、満腹になるまで食事をして一息ついたらそりゃあ眠くもなるだろう。
「昼寝してくるか? ここは俺が片付けとくから」
そう聞くと少し考えてから首を横に振る。
「んー……ガクちゃんも一緒がいい。添い寝を所望するぅ」
「…………おっけ。じゃあさっさと片付けて一緒に昼寝しようか」
「あいあいー」
というわけで、美岬と一緒に昼寝をするためにこの後の予定を少し調整する。
元々この片付けが終わったら、小川の流水に晒しているカレイの身を使って練り物作りに勤しむつもりだったから、美岬が眠いなら彼女が昼寝をしている間に俺だけで作業を進めればいいかなと考えたのだが、それは彼女的にはダメらしい。まあ実際、練り物作りは二人で休憩した後でやっても全然問題ない作業ではある。
練り物に混ぜ込む具材の乾物だけ今のうちに水に浸けこんで戻しておけば、昼寝から起きてすぐに作業は始められるし。
一応、他にもやりたいこと、やるべきことは色々あるが、それでも美岬とまったり過ごす時間を削らなければならないほど切羽詰まってはいない。
……ついつい効率を優先して、隙間時間にもついでの用事を詰め込んでマルチタスク化させてしまうのは俺の長所であると同時に欠点でもあることは重々承知している。それは仕事をする上では大事なスキルだが、私生活にまでそれを組み込んでしまうのはよろしくないし、それに美岬を巻き込んで無理をさせてしまっては元も子もない。
俺は元々一人で活動する個人事業主として、仕事とプライベートの境界が曖昧な生活をずっとしてきたから、誰かと一緒に仕事をするのはあまり慣れていないし、自分の体力や能力を基準に考えてしまうからついつい美岬に無理をさせてしまうこともある。
だから最近の俺は、自分が過度に忙しくし過ぎていないかの目安として美岬に合わせることを心がけている。
俺一人ならいくらでも無理できるが美岬はそうじゃない。俺の普通が美岬にとってはオーバーワークな場合もある。そういう時、美岬は健気に俺に着いてこようと頑張ってくれるが、そうではなく俺が美岬の足並みに合わせるべきだ。
美岬の体力や気力の限界に気を配ってそれに自分を合わせ、美岬がリクエストを口に出してくれた時は可能な限りそれを優先する。それを意識するようになって、以前よりは上手くバランス調整できているように感じている。
二人で暮らすというのはまだまだ手探りは多いが、せっかくのスローライフ。意識して予定を詰め込み過ぎないように、無理せずほどほどに息抜きをしながら生活を楽しんでいけたらいいと思う。
食事の片付けを終え、練り物作りの準備だけしてからテントに入り、寝床に二人で向かい合った体勢で寝転がる。
「午睡か。贅沢な時間の使い方だな」
「しえすた?」
「スペイン語で昼食後の昼寝のことだ。スペインみたいなラテン系の国では昔から昼休みを長く設定しててな、昼食後には昼寝をするのが習慣になってたんだ」
「なんてうらやましい……お昼食べたあとの午後って眠いからさー、日本もシエスタは取り入れるべきだよぅ」
「眠気と戦いながら仕事や勉強をしてもパフォーマンス落ちるだけだからな。シエスタはいい習慣だと俺も思うな」
「だよねぇ…………」
横になったら一気に眠気が押し寄せてきたようで少しの会話を交わしただけで美岬があっさりと寝落ちする。
すうすうと穏やかな寝息を立てている美岬の寝顔を見ているだけで愛しさがこみあげてきて、美岬の前髪をかき上げて額に軽く口付けた。
可愛くて健気で勤勉な努力家で、本当に俺には過ぎた最高の嫁だ。俺にとってなによりも大切な宝物のような存在。一生懸けて絶対に幸せにしたいとの思いを日々新たにする。
「愛してるよ」
秋も深まってきたのでテントの中は少し肌寒い。毛布を肩までそっと引き上げ、美岬の身体を軽く抱きしめ、腕の中に愛しい温もりを感じながら俺も心地よい眠りに落ちていった。
【作者コメント】
ホントに遅くなって申し訳ないです。前回のあとがきでも書きましたが、年末年始は繁忙期なので休み返上で働いてまして、さらに1月前半はちょうど私のお店が10周年ということでセールをしていたこともあり、執筆活動がほとんどできなかったのです。この後は確定申告も控えてますし、毎年恒例ではありますが2月いっぱいまでは更新頻度は低めになりますのでご了承下さい。
いつも応援ありがとうございます。誤字報告、感想大変励みになっております。引き続き応援いただけると嬉しいです。
野生種のジュズダマに比べ、栽培種のハトムギが野生化したものは収穫量が多く、粒が大きくて殻も薄いので相対的には使いやすいとはいえ、それでも今の時期、地面を埋め尽くすような勢いで大量に落実するスダジイのドングリには遠く及ばない。
収穫量と収穫のしやすさ、粒の大きさ、殻の剥きやすさの全てでスダジイに軍配が上がるので、スダジイを使った縄文クッキーが俺たちの主食になるのは当然で、これまでハトムギは、殻ごと炒ってから煮出してハトムギ茶にして、その後、殻を割って中身をそのまま食べたり、塩水と麹で発酵させて調味料の塩麹にするぐらいしか利用してこなかった。
そんなわけで石臼で挽いたハトムギの粉もこれまで使ったことはなかったが、使ってみた結果、思っていた以上にハトムギは麦ではなく米に近い穀物だということが判明した。
それもどうやら、うるち米ではなく餅米に近い性質であるようだ。ということは、ハトムギを使えばかなり本格的な餅が作れる可能性が高い。これについてはこれから要検証だが、餅は非常に優れたエネルギー源になるし、料理や菓子にも幅広く使えるから、ちょうど今がハトムギの収穫期でもあるし、この機会に積極的に活用法を模索していきたいと思う。
まあそんな感じでハトムギの新たな可能性への気づきが得られた有意義な昼食を終えて、食事の片付けをしているところで美岬がうつらうつらとずいぶんと眠そうにしていることに気づく。
「眠そうだな」
「……んー。うん。お腹いっぱいになって……うん、腹の皮が張ると目の皮が弛むってやつだねぇ。……めっちゃ眠い。ふわぁ……」
そういえば今朝、俺は8時頃までガッツリ寝てしまったが、美岬はかなり早起きして朝食を作ってくれていたもんな。その後もずっと動きづめだったし、満腹になるまで食事をして一息ついたらそりゃあ眠くもなるだろう。
「昼寝してくるか? ここは俺が片付けとくから」
そう聞くと少し考えてから首を横に振る。
「んー……ガクちゃんも一緒がいい。添い寝を所望するぅ」
「…………おっけ。じゃあさっさと片付けて一緒に昼寝しようか」
「あいあいー」
というわけで、美岬と一緒に昼寝をするためにこの後の予定を少し調整する。
元々この片付けが終わったら、小川の流水に晒しているカレイの身を使って練り物作りに勤しむつもりだったから、美岬が眠いなら彼女が昼寝をしている間に俺だけで作業を進めればいいかなと考えたのだが、それは彼女的にはダメらしい。まあ実際、練り物作りは二人で休憩した後でやっても全然問題ない作業ではある。
練り物に混ぜ込む具材の乾物だけ今のうちに水に浸けこんで戻しておけば、昼寝から起きてすぐに作業は始められるし。
一応、他にもやりたいこと、やるべきことは色々あるが、それでも美岬とまったり過ごす時間を削らなければならないほど切羽詰まってはいない。
……ついつい効率を優先して、隙間時間にもついでの用事を詰め込んでマルチタスク化させてしまうのは俺の長所であると同時に欠点でもあることは重々承知している。それは仕事をする上では大事なスキルだが、私生活にまでそれを組み込んでしまうのはよろしくないし、それに美岬を巻き込んで無理をさせてしまっては元も子もない。
俺は元々一人で活動する個人事業主として、仕事とプライベートの境界が曖昧な生活をずっとしてきたから、誰かと一緒に仕事をするのはあまり慣れていないし、自分の体力や能力を基準に考えてしまうからついつい美岬に無理をさせてしまうこともある。
だから最近の俺は、自分が過度に忙しくし過ぎていないかの目安として美岬に合わせることを心がけている。
俺一人ならいくらでも無理できるが美岬はそうじゃない。俺の普通が美岬にとってはオーバーワークな場合もある。そういう時、美岬は健気に俺に着いてこようと頑張ってくれるが、そうではなく俺が美岬の足並みに合わせるべきだ。
美岬の体力や気力の限界に気を配ってそれに自分を合わせ、美岬がリクエストを口に出してくれた時は可能な限りそれを優先する。それを意識するようになって、以前よりは上手くバランス調整できているように感じている。
二人で暮らすというのはまだまだ手探りは多いが、せっかくのスローライフ。意識して予定を詰め込み過ぎないように、無理せずほどほどに息抜きをしながら生活を楽しんでいけたらいいと思う。
食事の片付けを終え、練り物作りの準備だけしてからテントに入り、寝床に二人で向かい合った体勢で寝転がる。
「午睡か。贅沢な時間の使い方だな」
「しえすた?」
「スペイン語で昼食後の昼寝のことだ。スペインみたいなラテン系の国では昔から昼休みを長く設定しててな、昼食後には昼寝をするのが習慣になってたんだ」
「なんてうらやましい……お昼食べたあとの午後って眠いからさー、日本もシエスタは取り入れるべきだよぅ」
「眠気と戦いながら仕事や勉強をしてもパフォーマンス落ちるだけだからな。シエスタはいい習慣だと俺も思うな」
「だよねぇ…………」
横になったら一気に眠気が押し寄せてきたようで少しの会話を交わしただけで美岬があっさりと寝落ちする。
すうすうと穏やかな寝息を立てている美岬の寝顔を見ているだけで愛しさがこみあげてきて、美岬の前髪をかき上げて額に軽く口付けた。
可愛くて健気で勤勉な努力家で、本当に俺には過ぎた最高の嫁だ。俺にとってなによりも大切な宝物のような存在。一生懸けて絶対に幸せにしたいとの思いを日々新たにする。
「愛してるよ」
秋も深まってきたのでテントの中は少し肌寒い。毛布を肩までそっと引き上げ、美岬の身体を軽く抱きしめ、腕の中に愛しい温もりを感じながら俺も心地よい眠りに落ちていった。
【作者コメント】
ホントに遅くなって申し訳ないです。前回のあとがきでも書きましたが、年末年始は繁忙期なので休み返上で働いてまして、さらに1月前半はちょうど私のお店が10周年ということでセールをしていたこともあり、執筆活動がほとんどできなかったのです。この後は確定申告も控えてますし、毎年恒例ではありますが2月いっぱいまでは更新頻度は低めになりますのでご了承下さい。
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