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16.モンキーに会う(香奈)
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一旦家に帰ったあたしは、すぐに着替えて自転車で、スマホのグルグルマップを頼りにさっき教えてもらったばかりの佑樹の家に向かった。思わずにやけそうになる顔を必死で引き締めながら、堤防沿いの県道の緩やかな長い下り坂を風を切って駆け抜けていく。
さっき学校で別れる前のやり取りを思い出して、期待感でまたにやけそうになった。あたしはこれから、モンキーに会いに行く!
◆
バイク置き場で佑樹と話しているうちにいつの間にか時間が経っていて、気がつけばあたしが乗らなくちゃいけない電車の時間が迫っていた。
それで、とりあえずスマホの連絡先を交換しようって話になった。高校進学を機に一新したスマホの電話帳に、初めて家族以外の名前が加わる。……中学までの元友人とか知り合いの名前が入っていない理由は察してほしい。
慣れていない操作にあたしが手間取っている間に、佑樹はさっさとあたしの番号とRineアカウントの登録を終えてしまった。モタモタとスマホの操作をするあたしの手元を見ながら佑樹が何気なく訊いてくる。
「香奈ちゃんさ、6Vモンキーは知っとる?」
「や、知らんけど」
「んー、俺たちが使ってるこのモンキーは通称12Vモンキーっていうんやけど、そのまんま内蔵バッテリーが12Vだからなんやけどさ、これのモデルチェンジ前のタイプが内蔵バッテリーが6Vだから6Vモンキーって呼ばれてるんさな」
「ふんふん」
「12Vタイプでも今となってはかなり古いから、それより古いモデルの6Vとなるとぶっちゃけ旧車って呼ばれるレベルなんやけど、モンキーは社外品の交換部品のバリエーションが多いから古くても問題なく整備できるし、整備状態さえ良ければ古くても普通に使えるんやんな」
「あーうん、その辺はサラさんからも教えてもらったよ。でもそれがどうしたん?」
「うん。まあ……おそらく、あの策士が香奈ちゃんを俺に接触させたメインの理由はこれやと思っとるんやけどさ、6Vモンキーの外見はタンクの形も含めて12Vタイプとほとんど変わらんのよな。で、俺の家にジャンクの6Vモンキーが一台あるんさ」
「えっ!?」
「ジャンクっていっても修理すれば使えるレベルやもんで、そのうち直そうと思ってるやつやけどな。……もし、香奈ちゃんにその気があるんやったら自分で直して乗ってみるか? 何年も放置してあったやつやから消耗部品とかいろいろ換えないかんけど、それでも自分で直すんやったら、必要な部品代だけ出してくれれば車体はタダで譲ったるし、整備の仕方も教えたるで?」
「なにそれ詳しく!」
話を聞いてみれば、そのモンキーは佑樹にとってのバイクいじりの師匠の知り合いが処分すると言っていたものを貰ってきたもので、モンキーを愛用している佑樹に再生ベースとして譲ってくれたものらしい。
「なっとする?」
「そのモンキー、今日見せてもらってもええかな?」
◇
そして、今に至る。ほんと、偶然って面白いと思う。
あたしがたまたまサラさんの[もんちー]に一目惚れしてモンキーに乗るために免許を取ろうと思い立ち、サラさんはあたしの制服から自分の後輩だと気付いて同じ学校に通う佑樹を紹介してくれて、佑樹とあたしは偶然同じクラスで、しかもあたしにとってほぼ唯一学校で会話を交わす相手だったわけで。
一つでも歯車が欠けていたら、あたしと佑樹は今もたまに言葉を交わすだけのただのクラスメイトだったはずで。ほんと、偶然って面白い。
『目的地周辺です。ナビを終了します。お疲れ様でした』
「ここが佑樹の家……ってあれ? ここって」
スマホのナビを頼りに自転車でたどり着いた佑樹の家は、しばらく前に閉店した県道沿いの喫茶店だった。学校に行く時にお父さんの車でいつも前を通っていたから認知はしてたけど、ここやったんやね。
駐車場に自転車を停めて、お店の出入り口のスロープを上がってドアのガラス越しに中を覗き込むと、薄暗い店内に佑樹のモンキーが見えた。でも、当の本人の姿はない。出入り口付近には呼び出しのチャイムも見当たらない。
「えー……と、どうしよ」
鍵は開いてるけど、勝手に入るのも気が引けるので、さっき登録したばかりの佑樹のRineに『今ついたよ。お店の前にいるけどどうしたらいい?』とメッセージを送る。即座に既読が付き、やがて小柄な人影が小走りに近づいて来てドアを開けてくれた。
そこにいたのはツインテールの似合う小学生ぐらいの美少女メイド。
「え? は? メイドさん?」
「いらっしゃいませなのだ。おねーさんはオオクラさんで合ってるのだ?」
小首をかしげる仕草がめちゃくちゃ可愛い。
「え、可愛っ! ……あ、はい。大倉です」
「兄上は今しがた帰ってきてちょうど今着替えてるのでお出迎えを任されたのだ。ワタシは妹で家事手伝いの咲良なのだ。どうぞお入りくださいませなのだ」
「あ、はい。オジャマシマス」
まさかの佑樹の妹だった。えーと、つまりコスプレってことかな。だとしても完成度高いなー。ドンキとかヴィレバンに売ってるような安っぽくてちょっとエッチなコスプレ用メイド服じゃなくて、落ち着いた色合いで露出も少なくてモダンなデザインで造りもしっかりしてて、なんというか本当に名家のお屋敷で働いていそうな、仕事用のお仕着せって言った方がしっくりくるような感じで、しかもサイズもピッタリ。これはまさかオーダーメイドやったりするんかな。
伊勢の町中ではまず見る機会の無いメイドさんに正直困惑しつつ、お店の中に一歩足を踏み入れる。
明るい外から薄暗い室内に入ると目が順応できずに一瞬何も見えなくなるが、次第に慣れてきた目で室内を見回すと、なるほど、いかにも元喫茶店といった感じだった。入り口から入った正面がカウンターになっていて、床に固定されたスツールが並んでいる。向かって右側はガランとした広いスペースになっていて、以前はここにテーブル席が並んでいたことを彷彿させる。今はそこには佑樹のモンキーがあり、そこかしこに工具類が置かれていて、ガソリンの匂いも漂っている。
「オオクラさん、こちらのお席にどうぞなのだ」
「あ、うん。おおきんな」
サクラちゃんに勧められるままにスツールに腰掛けると、彼女はトトトッとカウンターの中に小走りに入っていき、すぐに氷の入った麦茶のグラスを持って戻ってきた。
「暑いのでお冷やどうぞなのだ。兄上もすぐに来ると思うのでここで少々お待ちくださいませ、なのだ」
ペコリ、と頭を下げてサクラちゃんがカウンターの奥の階段を上がっていく。か、可愛い。こんな可愛い小さなメイドさんにおもてなしされるとなんか新しい扉を開いてしまいそうになる。ちょうど喉が渇いていたので冷えた麦茶をありがたくいただく。
「香奈ちゃん、ごめんな。お待たせ」
やがて階段を降りてきた佑樹は油で汚れたツナギに着替えていた。
「あたしこそ急がせてごめんなー。汚れていい服装って言われたから着替えたけど、これでええかな?」
佑樹があたしを上から下まで一瞥する。今のあたしの格好は、半袖のワークシャツにデニムのオーバーオール。
「うん。おけおけ。なら、さっそくやけど見てもらおか」
そう言いながら佑樹が電灯のスイッチを入れると店舗スペース全体が明るくなり、薄暗くてよく見えなかった奥の方にも光が届く。
そして、そこに置かれていたモンキーの全貌が明らかになる。あたしはスツールから立ち上がってそのモンキーに近づいた。
元の色が分からないくらいに砂埃を被って、シートも一部破れて内部のスポンジが見えていて、エンジンもチェーンも錆だらけで、タイヤは両方ともパンクしているけど、沙羅さんや佑樹の愛車とよく似た形のモンキーがそこに佇んでいた。パッと身で分かる違いは、ヘッドライトが少し小さいかなってぐらい。
「……この子がそうなんやね」
「うん。まあ見ての通り、現状ではとても乗れるような状態とは言えんけど、野晒しと違って倉庫の中で保管されとったやつやから、直せへんほど傷んではおらんと思うんよな。といってもまだ引き取った時のままの手付かず状態やで、一度診断してみんことには分からんけど」
あたしはそのモンキーの横にしゃがみこんでタンクをそっと指でなぞってみた。埃が指先に真っ黒に付着する。それを見て、なんだか悲しくなった。
走る為に生まれてきたはずやのに、何年、暗い倉庫の中で埃を被るままになっとったんやろ? 乗り手からもその存在を忘れられ、ゆっくりと朽ちていきながら。
もし、機械に心があったなら、どんなに辛かっただろう。
まだ走りたいよなぁ? まだ走れるよなぁ?
ずっと火の入ることの無かったエンジンは冷たく冷え切っていて、まるで、選手生命が絶たれてやさぐれていた最近までのあたしを見ているようだった。
あたしは錆びたエンジンに触れたまま、心の中で誓う。
あたしが、あなたをもう一度走れるようにしてあげる。そのかわり、あなたは自分の足ではもう走れないあたしの足になる。そうすれば、あたしたちは一緒にもう一度風になれるから。
あたしは立ち上がって佑樹に向き直った。佑樹があたしの顔を見て口角を上げる。
「どうするか……は、聞くまでもなさそうやな」
見透かされていたことに気恥ずかしさを感じながらもうなずいてみせる。
「うん。あたしこの子がいい。直して、もう一度走らせてあげたい。……なぁ佑樹君、この子、あたしに譲って欲しい! この子と一緒に走りたい!」
【作者コメント】
モンキーは祐樹たちが乗っているAB27型からバッテリーがそれまでの6Vから12Vに変わったので、AB27型はモンキー乗りの間では通称『12Vモンキー』と呼ばれています。対してそれまでのZ50JZ型は通称『6Vモンキー』と呼ばれています。Z50JZよりもう一世代前の4リットルタンクタイプのZ50Jはバッテリーは6Vですがタンクの容量から通称『4リットルモンキー』と呼ばれています。
さっき学校で別れる前のやり取りを思い出して、期待感でまたにやけそうになった。あたしはこれから、モンキーに会いに行く!
◆
バイク置き場で佑樹と話しているうちにいつの間にか時間が経っていて、気がつけばあたしが乗らなくちゃいけない電車の時間が迫っていた。
それで、とりあえずスマホの連絡先を交換しようって話になった。高校進学を機に一新したスマホの電話帳に、初めて家族以外の名前が加わる。……中学までの元友人とか知り合いの名前が入っていない理由は察してほしい。
慣れていない操作にあたしが手間取っている間に、佑樹はさっさとあたしの番号とRineアカウントの登録を終えてしまった。モタモタとスマホの操作をするあたしの手元を見ながら佑樹が何気なく訊いてくる。
「香奈ちゃんさ、6Vモンキーは知っとる?」
「や、知らんけど」
「んー、俺たちが使ってるこのモンキーは通称12Vモンキーっていうんやけど、そのまんま内蔵バッテリーが12Vだからなんやけどさ、これのモデルチェンジ前のタイプが内蔵バッテリーが6Vだから6Vモンキーって呼ばれてるんさな」
「ふんふん」
「12Vタイプでも今となってはかなり古いから、それより古いモデルの6Vとなるとぶっちゃけ旧車って呼ばれるレベルなんやけど、モンキーは社外品の交換部品のバリエーションが多いから古くても問題なく整備できるし、整備状態さえ良ければ古くても普通に使えるんやんな」
「あーうん、その辺はサラさんからも教えてもらったよ。でもそれがどうしたん?」
「うん。まあ……おそらく、あの策士が香奈ちゃんを俺に接触させたメインの理由はこれやと思っとるんやけどさ、6Vモンキーの外見はタンクの形も含めて12Vタイプとほとんど変わらんのよな。で、俺の家にジャンクの6Vモンキーが一台あるんさ」
「えっ!?」
「ジャンクっていっても修理すれば使えるレベルやもんで、そのうち直そうと思ってるやつやけどな。……もし、香奈ちゃんにその気があるんやったら自分で直して乗ってみるか? 何年も放置してあったやつやから消耗部品とかいろいろ換えないかんけど、それでも自分で直すんやったら、必要な部品代だけ出してくれれば車体はタダで譲ったるし、整備の仕方も教えたるで?」
「なにそれ詳しく!」
話を聞いてみれば、そのモンキーは佑樹にとってのバイクいじりの師匠の知り合いが処分すると言っていたものを貰ってきたもので、モンキーを愛用している佑樹に再生ベースとして譲ってくれたものらしい。
「なっとする?」
「そのモンキー、今日見せてもらってもええかな?」
◇
そして、今に至る。ほんと、偶然って面白いと思う。
あたしがたまたまサラさんの[もんちー]に一目惚れしてモンキーに乗るために免許を取ろうと思い立ち、サラさんはあたしの制服から自分の後輩だと気付いて同じ学校に通う佑樹を紹介してくれて、佑樹とあたしは偶然同じクラスで、しかもあたしにとってほぼ唯一学校で会話を交わす相手だったわけで。
一つでも歯車が欠けていたら、あたしと佑樹は今もたまに言葉を交わすだけのただのクラスメイトだったはずで。ほんと、偶然って面白い。
『目的地周辺です。ナビを終了します。お疲れ様でした』
「ここが佑樹の家……ってあれ? ここって」
スマホのナビを頼りに自転車でたどり着いた佑樹の家は、しばらく前に閉店した県道沿いの喫茶店だった。学校に行く時にお父さんの車でいつも前を通っていたから認知はしてたけど、ここやったんやね。
駐車場に自転車を停めて、お店の出入り口のスロープを上がってドアのガラス越しに中を覗き込むと、薄暗い店内に佑樹のモンキーが見えた。でも、当の本人の姿はない。出入り口付近には呼び出しのチャイムも見当たらない。
「えー……と、どうしよ」
鍵は開いてるけど、勝手に入るのも気が引けるので、さっき登録したばかりの佑樹のRineに『今ついたよ。お店の前にいるけどどうしたらいい?』とメッセージを送る。即座に既読が付き、やがて小柄な人影が小走りに近づいて来てドアを開けてくれた。
そこにいたのはツインテールの似合う小学生ぐらいの美少女メイド。
「え? は? メイドさん?」
「いらっしゃいませなのだ。おねーさんはオオクラさんで合ってるのだ?」
小首をかしげる仕草がめちゃくちゃ可愛い。
「え、可愛っ! ……あ、はい。大倉です」
「兄上は今しがた帰ってきてちょうど今着替えてるのでお出迎えを任されたのだ。ワタシは妹で家事手伝いの咲良なのだ。どうぞお入りくださいませなのだ」
「あ、はい。オジャマシマス」
まさかの佑樹の妹だった。えーと、つまりコスプレってことかな。だとしても完成度高いなー。ドンキとかヴィレバンに売ってるような安っぽくてちょっとエッチなコスプレ用メイド服じゃなくて、落ち着いた色合いで露出も少なくてモダンなデザインで造りもしっかりしてて、なんというか本当に名家のお屋敷で働いていそうな、仕事用のお仕着せって言った方がしっくりくるような感じで、しかもサイズもピッタリ。これはまさかオーダーメイドやったりするんかな。
伊勢の町中ではまず見る機会の無いメイドさんに正直困惑しつつ、お店の中に一歩足を踏み入れる。
明るい外から薄暗い室内に入ると目が順応できずに一瞬何も見えなくなるが、次第に慣れてきた目で室内を見回すと、なるほど、いかにも元喫茶店といった感じだった。入り口から入った正面がカウンターになっていて、床に固定されたスツールが並んでいる。向かって右側はガランとした広いスペースになっていて、以前はここにテーブル席が並んでいたことを彷彿させる。今はそこには佑樹のモンキーがあり、そこかしこに工具類が置かれていて、ガソリンの匂いも漂っている。
「オオクラさん、こちらのお席にどうぞなのだ」
「あ、うん。おおきんな」
サクラちゃんに勧められるままにスツールに腰掛けると、彼女はトトトッとカウンターの中に小走りに入っていき、すぐに氷の入った麦茶のグラスを持って戻ってきた。
「暑いのでお冷やどうぞなのだ。兄上もすぐに来ると思うのでここで少々お待ちくださいませ、なのだ」
ペコリ、と頭を下げてサクラちゃんがカウンターの奥の階段を上がっていく。か、可愛い。こんな可愛い小さなメイドさんにおもてなしされるとなんか新しい扉を開いてしまいそうになる。ちょうど喉が渇いていたので冷えた麦茶をありがたくいただく。
「香奈ちゃん、ごめんな。お待たせ」
やがて階段を降りてきた佑樹は油で汚れたツナギに着替えていた。
「あたしこそ急がせてごめんなー。汚れていい服装って言われたから着替えたけど、これでええかな?」
佑樹があたしを上から下まで一瞥する。今のあたしの格好は、半袖のワークシャツにデニムのオーバーオール。
「うん。おけおけ。なら、さっそくやけど見てもらおか」
そう言いながら佑樹が電灯のスイッチを入れると店舗スペース全体が明るくなり、薄暗くてよく見えなかった奥の方にも光が届く。
そして、そこに置かれていたモンキーの全貌が明らかになる。あたしはスツールから立ち上がってそのモンキーに近づいた。
元の色が分からないくらいに砂埃を被って、シートも一部破れて内部のスポンジが見えていて、エンジンもチェーンも錆だらけで、タイヤは両方ともパンクしているけど、沙羅さんや佑樹の愛車とよく似た形のモンキーがそこに佇んでいた。パッと身で分かる違いは、ヘッドライトが少し小さいかなってぐらい。
「……この子がそうなんやね」
「うん。まあ見ての通り、現状ではとても乗れるような状態とは言えんけど、野晒しと違って倉庫の中で保管されとったやつやから、直せへんほど傷んではおらんと思うんよな。といってもまだ引き取った時のままの手付かず状態やで、一度診断してみんことには分からんけど」
あたしはそのモンキーの横にしゃがみこんでタンクをそっと指でなぞってみた。埃が指先に真っ黒に付着する。それを見て、なんだか悲しくなった。
走る為に生まれてきたはずやのに、何年、暗い倉庫の中で埃を被るままになっとったんやろ? 乗り手からもその存在を忘れられ、ゆっくりと朽ちていきながら。
もし、機械に心があったなら、どんなに辛かっただろう。
まだ走りたいよなぁ? まだ走れるよなぁ?
ずっと火の入ることの無かったエンジンは冷たく冷え切っていて、まるで、選手生命が絶たれてやさぐれていた最近までのあたしを見ているようだった。
あたしは錆びたエンジンに触れたまま、心の中で誓う。
あたしが、あなたをもう一度走れるようにしてあげる。そのかわり、あなたは自分の足ではもう走れないあたしの足になる。そうすれば、あたしたちは一緒にもう一度風になれるから。
あたしは立ち上がって佑樹に向き直った。佑樹があたしの顔を見て口角を上げる。
「どうするか……は、聞くまでもなさそうやな」
見透かされていたことに気恥ずかしさを感じながらもうなずいてみせる。
「うん。あたしこの子がいい。直して、もう一度走らせてあげたい。……なぁ佑樹君、この子、あたしに譲って欲しい! この子と一緒に走りたい!」
【作者コメント】
モンキーは祐樹たちが乗っているAB27型からバッテリーがそれまでの6Vから12Vに変わったので、AB27型はモンキー乗りの間では通称『12Vモンキー』と呼ばれています。対してそれまでのZ50JZ型は通称『6Vモンキー』と呼ばれています。Z50JZよりもう一世代前の4リットルタンクタイプのZ50Jはバッテリーは6Vですがタンクの容量から通称『4リットルモンキー』と呼ばれています。
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