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大空を求めて(終)
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だまりこんだ千寿を置いて、松風は部屋を出て行った。
見世自体には、何の未練もない。見世のほうも、松風がいなくなったところですぐ代わりを見つけるだろう。
大門を目指して歩いていると、あの桜の道にさしかかった。バカバカしいと思いつつ松風は足をとめた。まだ朝。人の姿はほぼない。
(あれは、幻だったのか・・・)
さっきはよほどひと暴れしてやろうかと思ったが、千寿の顔がふと目に入って松風は我を忘れてしまったのだ。
水芽が、そこに座っていると思った。
だがそう見えたのは一瞬で、千寿はただの千寿だった。なら何故見間違えたのか。
それは・・・
(同じ表情をしていたからだ)
あの庭の暗がりで泣きついた水芽と。そして、先日ここで会った幻と。
その表情は、なんと表現すれば良いのか。八の字眉で目じりも下がり、今にも泣き出しそうなのにどこか慕わしい表情。
悲しみ?いや、哀れみだろうか、それとも・・・・
しばらく考えて、ふと答えがみつかった。
(あれは、心配している表情だ)
そう思い当たって、松風は暴れる時を逃してしまったのだった。
そして、あろうことかここで未練がましく立ち止まっている。
だが、当然何も現れない。
そうか・・・水芽。お前、死んだのか)
自分はどうしたかったのだろう。梓を手中に収め、体を売らせ、それを水芽へのあてつけにしたかったのだろうか。
(でも、もう水芽はいない)
梓もいなくなり、松風はやることもなくまったくの一人だ。
もう一度、水芽に会いたいなどとは思わない。何も言うことなどないからだ。だが。
(墓になった彼女になら、何か言えるかもしれない・・・・)
そう、思った。
「ごめん、お待たせ!」
「遅いぞ・・・うわ、荷物おおいなお前」
「そうですかね・・・?あの、梓」
「何だよ?」
千寿はためらいながら切り出した。
「松風は見世を出て行くそうです・・・。大丈夫ですか、その、彼は・・・」
梓はひらひらと手をふった。
「ああ、いいんだよ。あいつが実の父ってことは、うすうす思ってたし」
「えっ!」
「あいつ、なかなか自分の事言わなかったしな。でも今日かなり暴露されて、正直・・・」
「正直?」
菊染が聞いた。
「すっきりした。なーんだ、やっぱりこんな奴だったんだなって。あいつのしたことは許せねえけど、別に何も言う事はない。多分あっちもないだろ」
「そ、そんなもんですか・・・」
「そんなもんだよ。さ、いこう」
4人は胡蝶屋を出た。
(さようなら、胡蝶屋・・・)
千寿は最後に一度、胡蝶屋をふり返った。
・・・もうゆきやりんは仕事中のはずだ。さよも、灯紫も・・・。さまざまな思い出が千寿の脳裏によみがえった。
初めてここに来た日、鈴鹿と語らった湯船、客たちのざわめき、夢政、純四朗、大事なゆきとりん、そして思い出となった夕那・・・
「おい、ぼさっとつったってないで、行くぞ」
梓と菊染がふり返って言った。
「あっ、はい!」
千寿はあわててかけだした。
「とうとう、ここをくぐるのか・・・」
「やっとだな」
「感無量ですね・・・」
大門にたどりついた3人は、三者三様のつぶやきを漏らした。
「おや、3人とも。何を立ち止まっているんです」
すでに先を行っていた筝琴がふり返っておかしそうに笑った。
「師匠!私たちにとっては、ここは大きな一歩なんですよ!」
「よし、行くか」
菊染が足を踏み出した。千寿も、梓もそれに倣った。
「「「せーのっ!」」」
千寿はぴょんと飛んだ。もう大門の外だ。
「外だーー!」
千寿は会心の笑みを浮かべて2人をふり返った。
梓も菊染も、つられて笑った。
「さ、もういきますよ。外の道のりはながいのですから」
筝琴が促した。
歩きながら千寿は、気になっていたことを2人に聞いた。
「・・・梓も菊染も、これからどうするんですか?」
菊染が先に口を開いた。
「俺は、家に戻る。親父が死んじまって途絶えたけど、家業を建て直したいんだ。お袋も一応、まだ生きてるしな。で、こいつは・・・」
菊染は梓に話しを振った。
「俺は、あんたらについていく」
「・・・・・・・・・・・・・は?」
千寿は驚いて目を見開いた。菊染めが面白くなさそうにちっと舌打ちした。
「こいつ、俺を出し抜いていつの間にやら先生に話つけてたらしい。全く抜け目のねえやつだよ」
「出し抜いたとは人聞きの悪い。お前にはお家再興という崇高な目的があるんだろ。それに俺はちゃーんと先生のお眼鏡にかなったんだ。ね、先生!」
筝琴は振り返って含み笑いをした。
「ええ、ただし・・・」
「先生の下にいるうちは一切、恋愛禁止!わかってますって」
「そう、よろしい」
師匠は満足したようにうなずき、再び前を向いた。
「そんな、師匠!梓も弟子ということですか?!」
わめいた千寿に、悠々と筝琴は答えた。
「正確には、試用期間ですね。これから数ヶ月耐えられれば、弟子に昇格です」
「え・・・うそ・・・・」
思っても見なかった展開に、千寿はとまどった。これからの道行きに、梓も加わるとは・・・。
「なんだよ?嫌かよ」
「いえ、予想外で・・・でも梓、大丈夫ですか?舞手と言ってもやくざな稼業ですし、世間からの風あたりも強いし、野宿も当たり前だし・・・!」
まくし立てる千寿に、梓はどこ吹く風だった。
「見くびってもらっちゃ困る。野宿も風当たりも、今までと比べりゃどーってことねえぜ」
「そ、そうでしょうか・・・」
不安そうな千寿に、にやりと梓は笑いかけた。
「これからは千寿が先輩だ。いろいろ教えてくれよな」
「え、ええ~~~・・・・・」
「どうせ俺だけのけ者だよ、ふん」
菊染はそっぽを向いた。
「でも梓、あんたより早く名を売って、いっぱしの男になってやるからな。覚えとけよ!そんで千寿に会いに行ってやる。俺は何の制約もないからなっ」
「お~、そんな怒んないでよ、菊染ちゃん。俺はさ・・・」
梓はふっと視線を上げて遠い町並みを見た。
「お前らとちがって、俺はずっと籠の中だった。外の生活も、流儀も何も知らねえ。一からだ。だからすぐそばに、指針が必要なんだよ」
珍しくまじめに話す梓に、2人は耳を傾けた。
「それが千寿の舞なら、これ以上の指針はねえなって。だから俺も千寿の師匠についていく。菊染、お前より時間はかかるだろうけど俺もいっぱしの男とやらになってやる。・・・・話はそれからだ」
「めずらしく、殊勝なこと言うじゃねえか。でもアンタがぐずぐずしてたら、俺が千寿をとっちまうからな」
「千寿が良いならね?」
梓は千寿に話を振った。
「・・・私もまだまだ半人前です。それ以前に・・・2人が居なければ、私はあそこで立ち直れなかった。だから・・・」
千寿は2人に向き合った。
「2人に出会えたことが嬉しいです。梓も、菊染も・・・2人とも同じに、大事です」
千寿は胸にてを当てた。この気持ちに上も下もない。温かい陽だまりのような気持ちだ。まだ今は。
「ふーん。うまいこと逃げたな」
梓がまぜっかえした。
「もう。本心ですよ。心から」
「そっか・・・ありがとな」
菊染が言った。
目の前に、キラキラ輝く朝の川が見えてきた。
今度こそ、川の向こうにいける。そう思うと梓は心底から嬉しかった。いくらでも新しい力がわいてくるような気がした。
「さ、船に乗せてもらいましょう」
筝琴が船を止め、梓も菊染も乗り込んだ。
「さあ、撫子も」
川のゆるやかな流れに、船がたぷんたぷんと重い音をててて揺れる。
千寿は思わず、ためらった。
(また、落ちたら――!)
恐怖がぱっと閃いた。人の運命なんて、ほんのわずかな事で転落してしまう。さんざんそれに翻弄されてきた千寿は、その恐ろしさに足が止まってしまった。
その前に、すっと2本の手が出された。梓と菊染だ。
「ほら、こい」
「しっかりつかまれよ」
2人の手が、力強く千寿をひっぱりあげた。つられて足をうごかしたら、もう船の上だった。
「あ・・・ありがとうございます」
千寿は礼を言った。その目が光っている。
「わ、何泣いてんだよ」
千寿は自分の目をおさえた。たしかに濡れていた。
「これは、嬉し涙みたいです」
「え?」
2人はぽかんとした。
――運命に、起こってしまったことに抗っても無駄だと千寿はずっとあきらめていた。
でも。
(でも・・・あの時、この手があればよかったのに、とは思わない)
夕那と別れて、川に落ちて遊女になった。確かに辛い日々だった。だが、それだけではなかった。
それは、この未来につながっていたのだ。
(この場所に来なければ、会えなかった)
鈴鹿、ゆき、りん。そして目の前の2人。
(散々だった初恋にも、決着をつけることができた。そして、何より――)
もう自分は、決してあきらめることはないだろう。希望は、どんなときでも見出そうとすれば見出せるのだ。
それに気づかせてくてたのは・・・
「おい、もう大丈夫かよ?」
「・・・そんなに怖かったか?」
2人とも心配そうに千寿を見ている。そしてその前には、光る川面と、晴れ上がった初夏の空が広がっている。
自分の未来も、同じように広がっていける気がした。
「・・・・空が、きれいですね」
千寿はそう、つぶやいた。
見世自体には、何の未練もない。見世のほうも、松風がいなくなったところですぐ代わりを見つけるだろう。
大門を目指して歩いていると、あの桜の道にさしかかった。バカバカしいと思いつつ松風は足をとめた。まだ朝。人の姿はほぼない。
(あれは、幻だったのか・・・)
さっきはよほどひと暴れしてやろうかと思ったが、千寿の顔がふと目に入って松風は我を忘れてしまったのだ。
水芽が、そこに座っていると思った。
だがそう見えたのは一瞬で、千寿はただの千寿だった。なら何故見間違えたのか。
それは・・・
(同じ表情をしていたからだ)
あの庭の暗がりで泣きついた水芽と。そして、先日ここで会った幻と。
その表情は、なんと表現すれば良いのか。八の字眉で目じりも下がり、今にも泣き出しそうなのにどこか慕わしい表情。
悲しみ?いや、哀れみだろうか、それとも・・・・
しばらく考えて、ふと答えがみつかった。
(あれは、心配している表情だ)
そう思い当たって、松風は暴れる時を逃してしまったのだった。
そして、あろうことかここで未練がましく立ち止まっている。
だが、当然何も現れない。
そうか・・・水芽。お前、死んだのか)
自分はどうしたかったのだろう。梓を手中に収め、体を売らせ、それを水芽へのあてつけにしたかったのだろうか。
(でも、もう水芽はいない)
梓もいなくなり、松風はやることもなくまったくの一人だ。
もう一度、水芽に会いたいなどとは思わない。何も言うことなどないからだ。だが。
(墓になった彼女になら、何か言えるかもしれない・・・・)
そう、思った。
「ごめん、お待たせ!」
「遅いぞ・・・うわ、荷物おおいなお前」
「そうですかね・・・?あの、梓」
「何だよ?」
千寿はためらいながら切り出した。
「松風は見世を出て行くそうです・・・。大丈夫ですか、その、彼は・・・」
梓はひらひらと手をふった。
「ああ、いいんだよ。あいつが実の父ってことは、うすうす思ってたし」
「えっ!」
「あいつ、なかなか自分の事言わなかったしな。でも今日かなり暴露されて、正直・・・」
「正直?」
菊染が聞いた。
「すっきりした。なーんだ、やっぱりこんな奴だったんだなって。あいつのしたことは許せねえけど、別に何も言う事はない。多分あっちもないだろ」
「そ、そんなもんですか・・・」
「そんなもんだよ。さ、いこう」
4人は胡蝶屋を出た。
(さようなら、胡蝶屋・・・)
千寿は最後に一度、胡蝶屋をふり返った。
・・・もうゆきやりんは仕事中のはずだ。さよも、灯紫も・・・。さまざまな思い出が千寿の脳裏によみがえった。
初めてここに来た日、鈴鹿と語らった湯船、客たちのざわめき、夢政、純四朗、大事なゆきとりん、そして思い出となった夕那・・・
「おい、ぼさっとつったってないで、行くぞ」
梓と菊染がふり返って言った。
「あっ、はい!」
千寿はあわててかけだした。
「とうとう、ここをくぐるのか・・・」
「やっとだな」
「感無量ですね・・・」
大門にたどりついた3人は、三者三様のつぶやきを漏らした。
「おや、3人とも。何を立ち止まっているんです」
すでに先を行っていた筝琴がふり返っておかしそうに笑った。
「師匠!私たちにとっては、ここは大きな一歩なんですよ!」
「よし、行くか」
菊染が足を踏み出した。千寿も、梓もそれに倣った。
「「「せーのっ!」」」
千寿はぴょんと飛んだ。もう大門の外だ。
「外だーー!」
千寿は会心の笑みを浮かべて2人をふり返った。
梓も菊染も、つられて笑った。
「さ、もういきますよ。外の道のりはながいのですから」
筝琴が促した。
歩きながら千寿は、気になっていたことを2人に聞いた。
「・・・梓も菊染も、これからどうするんですか?」
菊染が先に口を開いた。
「俺は、家に戻る。親父が死んじまって途絶えたけど、家業を建て直したいんだ。お袋も一応、まだ生きてるしな。で、こいつは・・・」
菊染は梓に話しを振った。
「俺は、あんたらについていく」
「・・・・・・・・・・・・・は?」
千寿は驚いて目を見開いた。菊染めが面白くなさそうにちっと舌打ちした。
「こいつ、俺を出し抜いていつの間にやら先生に話つけてたらしい。全く抜け目のねえやつだよ」
「出し抜いたとは人聞きの悪い。お前にはお家再興という崇高な目的があるんだろ。それに俺はちゃーんと先生のお眼鏡にかなったんだ。ね、先生!」
筝琴は振り返って含み笑いをした。
「ええ、ただし・・・」
「先生の下にいるうちは一切、恋愛禁止!わかってますって」
「そう、よろしい」
師匠は満足したようにうなずき、再び前を向いた。
「そんな、師匠!梓も弟子ということですか?!」
わめいた千寿に、悠々と筝琴は答えた。
「正確には、試用期間ですね。これから数ヶ月耐えられれば、弟子に昇格です」
「え・・・うそ・・・・」
思っても見なかった展開に、千寿はとまどった。これからの道行きに、梓も加わるとは・・・。
「なんだよ?嫌かよ」
「いえ、予想外で・・・でも梓、大丈夫ですか?舞手と言ってもやくざな稼業ですし、世間からの風あたりも強いし、野宿も当たり前だし・・・!」
まくし立てる千寿に、梓はどこ吹く風だった。
「見くびってもらっちゃ困る。野宿も風当たりも、今までと比べりゃどーってことねえぜ」
「そ、そうでしょうか・・・」
不安そうな千寿に、にやりと梓は笑いかけた。
「これからは千寿が先輩だ。いろいろ教えてくれよな」
「え、ええ~~~・・・・・」
「どうせ俺だけのけ者だよ、ふん」
菊染はそっぽを向いた。
「でも梓、あんたより早く名を売って、いっぱしの男になってやるからな。覚えとけよ!そんで千寿に会いに行ってやる。俺は何の制約もないからなっ」
「お~、そんな怒んないでよ、菊染ちゃん。俺はさ・・・」
梓はふっと視線を上げて遠い町並みを見た。
「お前らとちがって、俺はずっと籠の中だった。外の生活も、流儀も何も知らねえ。一からだ。だからすぐそばに、指針が必要なんだよ」
珍しくまじめに話す梓に、2人は耳を傾けた。
「それが千寿の舞なら、これ以上の指針はねえなって。だから俺も千寿の師匠についていく。菊染、お前より時間はかかるだろうけど俺もいっぱしの男とやらになってやる。・・・・話はそれからだ」
「めずらしく、殊勝なこと言うじゃねえか。でもアンタがぐずぐずしてたら、俺が千寿をとっちまうからな」
「千寿が良いならね?」
梓は千寿に話を振った。
「・・・私もまだまだ半人前です。それ以前に・・・2人が居なければ、私はあそこで立ち直れなかった。だから・・・」
千寿は2人に向き合った。
「2人に出会えたことが嬉しいです。梓も、菊染も・・・2人とも同じに、大事です」
千寿は胸にてを当てた。この気持ちに上も下もない。温かい陽だまりのような気持ちだ。まだ今は。
「ふーん。うまいこと逃げたな」
梓がまぜっかえした。
「もう。本心ですよ。心から」
「そっか・・・ありがとな」
菊染が言った。
目の前に、キラキラ輝く朝の川が見えてきた。
今度こそ、川の向こうにいける。そう思うと梓は心底から嬉しかった。いくらでも新しい力がわいてくるような気がした。
「さ、船に乗せてもらいましょう」
筝琴が船を止め、梓も菊染も乗り込んだ。
「さあ、撫子も」
川のゆるやかな流れに、船がたぷんたぷんと重い音をててて揺れる。
千寿は思わず、ためらった。
(また、落ちたら――!)
恐怖がぱっと閃いた。人の運命なんて、ほんのわずかな事で転落してしまう。さんざんそれに翻弄されてきた千寿は、その恐ろしさに足が止まってしまった。
その前に、すっと2本の手が出された。梓と菊染だ。
「ほら、こい」
「しっかりつかまれよ」
2人の手が、力強く千寿をひっぱりあげた。つられて足をうごかしたら、もう船の上だった。
「あ・・・ありがとうございます」
千寿は礼を言った。その目が光っている。
「わ、何泣いてんだよ」
千寿は自分の目をおさえた。たしかに濡れていた。
「これは、嬉し涙みたいです」
「え?」
2人はぽかんとした。
――運命に、起こってしまったことに抗っても無駄だと千寿はずっとあきらめていた。
でも。
(でも・・・あの時、この手があればよかったのに、とは思わない)
夕那と別れて、川に落ちて遊女になった。確かに辛い日々だった。だが、それだけではなかった。
それは、この未来につながっていたのだ。
(この場所に来なければ、会えなかった)
鈴鹿、ゆき、りん。そして目の前の2人。
(散々だった初恋にも、決着をつけることができた。そして、何より――)
もう自分は、決してあきらめることはないだろう。希望は、どんなときでも見出そうとすれば見出せるのだ。
それに気づかせてくてたのは・・・
「おい、もう大丈夫かよ?」
「・・・そんなに怖かったか?」
2人とも心配そうに千寿を見ている。そしてその前には、光る川面と、晴れ上がった初夏の空が広がっている。
自分の未来も、同じように広がっていける気がした。
「・・・・空が、きれいですね」
千寿はそう、つぶやいた。
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返信が…とても遅くなりすみません!
あまり万人受けしないお話だなぁと我ながら思っておりますので、読んで、しかも感想までくれる方がいるとは思いがけず、ご感想に気が付くのがおくれてしまいました…><
きゅんきゅんしてもらえてうれしいです…!
そこにたどり着くまでがちょっと長くて申し訳ないのですが読んでいただけて…涙
ありがとうございましたm(_ _"m)
一気に読ませていただきました。
千寿が前向きに生きていけそうで安心しました。
これからみんな幸せになって欲しい。
初めて感想いただけてありがたいです!
それも長いのに一気読み……!m(_ _)m
今までつらかった分、これから全員幸せに向かって歩き出す…とうい終わりを意識しましたので、そういっていただけて嬉しいです。
今後皆それぞれ、自分の幸せをつかんでいくと思います。
お読みいただき、ありがとうございましたm(_ _)m