不滅の誓い

小達出みかん

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出会い

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 花嫁行列の馬車は、日数をかけて北東へのぼっていった。イベリスに近づくにつれ、馬車の中もしんしんと冷えてくる。その夜、セレンが舟をこいでいる姫に毛織りの布を掛けてやろうとしたその時、馬車が静かに停止した。


「姫様」


 窓の外から、御者の控えめな声がした。セレンはそっと窓に顔を寄せ、ささやくように御者に答えた。


「ミリア様はお休みになられています。用件は私が」


「ではセレン殿、お聞きください。これから『闇の森』に入ります」


 セレンはごくりとつばをのんだ。闇の森…イベリスに入るにはここを通るしかない、悪名高い古森だ。


「夜明けには山の城壁の前にたどり着く予定ですが…よくご注意ください」


「そちらもお気をつけて」




 背の高く、大きな葉を持つ木々の鬱蒼とした森は、西国育ちの者には畏怖の対象だ。


 なのになぜか、セレンには恐怖や不気味さは感じられなかった。

 樹と樹の境目がわからないほど古木の根は絡まり合い、枝葉は空高く夜空をさえぎっている。馬車の行く手には、白霧山脈の尾根が見えた。永遠に溶けることのない雪をかぶったそのはるかな頂から、セレンは山の息吹が流れてくるのを感じた。


 シザリアも、ミリアネスも座って仮眠をとっている。同じように目を閉じたセレンの耳に、風の音でも、鳥の声でもない美しい音がこだました。地の底からゆらめくような、心地よい響きを身体全体で感じた。


(何の音だろう…?人の声のような、風?いいや、水が落ちるような音でもある…)


 どこかで聞いたことのあるような…この音は…

 ふと、胸の奥で、古い何かをゆすぶるような風がかすかに吹いた。そう、これは…懐かしさ。


(懐かしさを感じるほどの何かが…私の中に残っていたとは)


その懐かしさを少し意外に思ったのを最後に、セレンも眠りにおちた。




 明け方、ピタリと馬車が停止した。城壁の前だ。この先に、山の中腹を切り開いて作られたイベリス王国がある。


「着いたわね」


 目を覚ました姫様は硬い表情でつぶやいた。


「はい」


 とたんに扉がきしむ、大きな音がし、聳え立つ城壁は馬車を迎え入れるようにその門を開いた。


「…歴史的瞬間ですね」


 セレンが言うと、さすがに姫も少し笑った。


「その通り。ここからはもう、以前の私とはさよならしなければ」


 ここからは、兵士たちとはお別れだ。入れるのは、姫を乗せた馬車と、侍女たちだけ。

 セレンは馬車を出て帯剣し、御者を交代した。彼もまたここからは入れない。


「お気をつけて…」


 大勢の兵士達が無言で見守る緊迫した空気の中、馬車は聳え立つ城壁の中へと進んだ。 

 セレンは馬をあやつり城壁の中へと進んだ。出迎えの歓迎も、民衆の歓喜の声もない。ただぽっかりとその門は開いている。


 太陽の下で育った一人の少女、ミリア姫ではなく、西の間諜、そして王の妻に。


 ミリアネス姫を惜しむすべての手を振り払うように、轍はまわり、そして無常に大門は閉じられた。


―-―バタン。


 振り返っても、もう戻れない…そう解っていても、セレンは振り返って、まだ暗い空を仰ぎたい衝動に駆られた――



 石の壁の向こうには、まず畑があった。そして畑を越えると黒々とした石でできた城下町に入った。一つ一つの家は小さいが、道にせり出すように数階建ての建物がびっしりと連なっていて、威圧感があった。窓には日よけがかかり、人々の気配がする。だが道はしんと静まり返っている。その威圧的な沈黙を、馬たちも感じ取っているようだ。曲がりくねった坂道をのろのろとゆく。


(誰も、一人も挨拶にも来ないなんて)


 だが、痛いほどの視線を感じた。誰も姿を現さないが、きっと城からも、家々からも、こちらはじっくりと監視されているのだろう。


 数刻ほどの道のりのあと、突然目の前が開き、巨大な四角い建物が見えた。おそらく兵舎だろう。広場を通り過ぎると一向は堅固な橋の前へ到着した。この橋の先が、王の住む崖城だ。切り立った急峻な崖の上に、城はその姿を黒々とさらしていた。そのあまりにもの高さに、馬がいななき後ずさる。


 頑強な岩山をくりぬいて作られたような巨大な崖城は、西からきた一行を圧倒した。


(これが、崖の城…トリトニアの城とは、ずいぶんと違うのね)


ミリアネスはそう思った。

荘厳で優美、贅を尽くした美しさを持つ西の城とは圧倒的に違う。

黒々とした岩肌が剥き出しになった、頑強な山岳の城だ。


「大丈夫、大丈夫」


 セレンは馬をなだめた。すると前方から荒々しい靴音が聞こえた。

 ちらりと顔を上げると、大きな人影が、橋の向こうからこちらへ向かってくるのが見えた。セレンはさっと身を硬くした。


 そして、銅鑼を打ったような大声が聞こえてきた。


「トリトニア大公ガウラス卿の娘、ミリアネス姫か」


 聞いていた通りの問いだ。彼はおそらくイベリス兵団の長の男。入城し王に会うためには、この儀式が必要不可欠であるというのは聞いていた。

 セレンはするりと御者席を降りた。強い風がセレンの髪を煽った。

 その風を振り切るように、前に進み、声の主を見据えた。

 縦も横もセレンの2倍ほどはあるかという体躯の、屈強な兵士だった。

 本能的にセレンは身構えた。ミリア様とシザリアを守れるのは、自分しかいない。



 目が合った瞬間、相手の男は驚愕したような顔をし、セレンを睨めつけた。その眼差しに込められた激しさに、バチッと火花が散るような激しい衝撃を、セレンは感じた。

 数秒、お互いを値踏みするように二人は橋の上でにらみ合った。相手は自分を快く思ってはおらず、こちらも相手を警戒していることがその短い瞬間に伝わった。

 だが馬車の前に出て、セレンは膝を折り、頭を地面に付く様に伏せた。イベリス式のお辞儀だ。


「いかにも、ここにおられますは、トリトニア大公ガウラス卿の娘、ミリアネス姫でございます」


 崖の上、セレンの玉を打ち鳴らすような声はよく通り、兵士はセレンの元へと進み出た。


「中を改めさせていただく」


 男がそう言ったので、セレンは馬車をノックし、扉を開けた。

 男は一言もなくぶしつけに馬車の中の姫を見た。本来なら許されないふるまいだ。セレンは失礼なその態度に怒りを感じた。


「では、ここからは我ら王兵団が姫の手綱を引く」


「はい」


 セレンは怒りを押し殺し、節目がちで控えめに答えた。イベリスでは女が出過ぎた態度をとることは許されないと事前に聞いていたからだ。

 だが目の前に立つ男は、射すくめるように鋭くセレンの目を捉えた。

 殺気に満ちた視線だ。セレンは狼狽した。


(もしかして、わたしの正体に…気づいて…?)


 そんなはずがない。セレンの正体を知っているのは、大公と姫、そして自分だけだ。漏れるはずがない。

 そう言い聞かせ平静を保ち、セレンはしずしずと馬車にのりこんだ。




(なぜ、こんな事になってるんだ…あの男め)


 数時間後、セレンは粗末な寝台に腰掛け、心中でそう毒づいていた。

 崖城の中で姫と別れて数刻もたたず、セレンはあの男に城から連れ出され、大きな建物の地下にある石造りの部屋に押し込められていた。

 窓はなく、入り口には勝手に出られぬよう鉄の格子が嵌めてある。脱出できそうな隙は一切ない。


「…やっぱりどう見ても、牢屋」


「その通りだ」


 独り言のはずが声が帰ってきたので、セレンはびくっと声のした方向をむいた。

 誰かが、入り口の格子をガチャンと開けて入って来た。

 驚いて振り返ると、先ほどここへセレンをぶち込んだ兵団長だった。焼けた肌に、固そうな茶髪。強面で髭を生やしている。


「『やっぱり』という事は、何か身に覚えがあるのだな、ウツギめ」


「う、ウツギ…?」


 セレンはしらばっくれてみせた。巨人のようなその体を見上げながら、セレンは思った。ここで何かされれば勝ち目はない。なんで、どうして、もう知られているんだろう。セレンの脳内は動揺し、いい逃れを考えるのに精一杯だった。


「そうだ。トリトニアに雇われたウツギの間諜、セレン」


「わ、私はそのような者ではありません。姫様の侍女で、西国出身です!」


「隠しだてしても無駄だ、ウツギ」


「どこにそのような証拠があるのです!」


 男の手がセレンの首もとをガッと掴んで持ち上げた。ものすごい力だ。


「っ…うっ…!」


「入国する侍女の身分はこちらで調べさせてもらった。もう一人の侍女は貴族の娘で身元が確かだが、お前の経歴は怪しい。どういう者か疑ってはいたが、今日お前を見て確信した。ウツギだと」


「な・・・ぜ・・・」


 息が苦しい。セレンは切れ切れにやっとそういった。そしてかすかに安堵した。王やミリアネスから決定的な情報が漏れたわけではないのだ。彼は憶測で、セレンをウツギと決め付けている。


 苦しかったがセレンは男を睨み返した。ここで折れるわけにはいかない。

 彼は汚いものを放るように、セレンを床にほうり投げた。


「お前の目の色はウツギそのものだ。言い逃れできるものなら、してみろ」


 やはり目か。だがそんなことで捕らえられてたまるものか。セレンは痛みをこらえ必死で言い返した。


「っ…世間知らずなのですね。こんな目の色の者は、西にだっております…!」


 しかし床から立ち上がり、切れ切れに皮肉を言うセレンに、男は冷たい一瞥をくれただけだった。


「怪しい者を、陛下のおそばに近づけるわけにはいかん。同じ事は2度はいわないぞ」


「私がいなくなったら、ミリア様がお困りになります・・・!私はミリア様の物なのですよ、あなたがたが手出しできる物ではないのです!」


 まっすぐ眼を見て問うセレンに、男は凄んだ。


「同じことを二度は言わないと言ったぞ」


「では私はいつ、出られるんですか!」


 激昂するセレンを嘲るように彼は見下ろした。


「お前は元は、后の護衛だったそうだな?そうは見えないが」


「・・・・護衛兼、召使です」


 ニヤリと兵士はいやな笑いを精悍な顔に浮かべた。


「調べれば調べるほどお前は疑わしい。侍女になどしてはおけない。」


「私を・・・殺すつもりですか。でもそれは出来ませんよ、ミリア様がお許しになりません!」


 男は笑みを消し、再びちらっと冷たくセレンを見た。 


「そうだな。だからお前はずっとそこにいろ」


 彼は脅し文句を残して、きびすを返した。ガチャと鉄格子の扉にカギがかけられ、セレンは、ひとりで暗い地下牢に取り残された。


「…うそ…」


 セレンは気の抜けたようにベッドにドサリと身を投げた。かび臭いにおいがする。


(こんな早々に身元が疑われててしまうとは…)


 少し甘く見ていたが、イベリスの情報網も侮れたものではないようだ。セレンがシザリアと違い正式な侍女ではないこと、元は護衛でその身分がはっきりしないことを調べ上げているのだから。


(イベリスの立場なら、こちらのことを疑ってきて当然か・・・)


 敵対している大国からいきなり嫁ぎに来た美しい姫。身元不詳の怪しい侍女。大公の操り人形として警戒されているにちがいない。

 だが、すくなくともミリアネスの待遇は大国の姫のそれのはずだ。


(でも・・・きっとシザリアと2人きりで、姫様は心細いに違いない・・・)


 敵国の地で、あんな恐ろしい兵士に囲まれてきっとお辛い思いをしている。ここにいては何かその身に起こっても、お助けすることができない。


(どうすれば、またミリア様の侍女に戻れるだろうか・・・)


 セレンは焦りを感じながら、拳を握り締めた。




 明朝。セレンは地上で鳴り響く起床喇叭の音で目を覚ました。地下なので相変わらず暗いままだが、がやがやと人の起き出す気配もする。


(この建物は、兵舎だったのか・・・)

 それにしてもずいぶんと早い時間だ。正確な時間はわからないが、まだ鳥も鳴かないほどの時間ではないかとセレンは検討をつけた。すると、誰かが石の階段を下りてくる音が聞こえた。


(ここから無理やり脱出しても、疑われるだけだ。なんとかミリア様のそばに戻るためには、無実を訴えるしかない・・・)


 そう考えるセレンのもとに、鉄格子越しに何かが放り込まれた。セレンはぎょっとして身を引いたが、それは食物のようだった。


 セレンは投げ込んだ兵を見た。昨日の屈強な大男ではなく、まだ年若い兵だった。彼はセレンを見て言い放った。


「朝食だ。食え」


「ちょっと、待っ・・・」


 セレンは声を掛けようとしたが、彼はその声が届く前にさっさと階段を上がってしまった。


(予定通りなら、今日はミリア様の婚礼だ・・・大丈夫だろうか)


 少しでも情報がほしかったが、これでは難しそうだった。セレンは床に落ちている包みを拾った。中には固そうなパンが入っていた。ところどころカビが生えている。


(うわ・・・・これを食べろと)


 そのパンを見てセレンはかえって怒りという名のやる気が出た。早くここから出て、こんな奴らの中にいる姫様をお守りしなければ。


 パンを引きちぎって、カビの部分だけ床に投げ捨ててセレンは思った。


(上等だよ、いくらでもカビをもってくればいい。あとでミリア様の持ち物に手を出したことは、後悔させてやる)

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