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第39話 ビンセントからの歓迎
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トミーは気がついた。
まだ見えてこない階段を登り切った先。そこから流れてくる空気には、衣服が擦れ、靴底が床を叩き、銃と思しき金属がキィンと冷たくぶつかる音、音、音が混じっているのだ。誰かいる。しかも複数だ。トミーはルークの襟ぐりの後ろを引っ掴み、乱暴に引き寄せた。懐に飛び込んだ彼のこめかみに銃口を当てる。
「このまま行くぞ」
ルークの耳元へ口を寄せて囁く。柔らかい髪が触れ、頬が僅かに濡れる。ゆっくりと階段を上へ進む。
次第に近づく人の気配。低めた話し声。一歩一歩段差を踏みしめる度に、濃くなるざわつきが耳の奥へと潜り込む。
上るにつれて、視界の中の最上段は下がっていく。徐々に向こう側の様子があらわになる。トミーは拳銃をぐっと握った。男たちの頭の先が見えると、次の一歩で彼らの顔が現れた。いくつもの目が、はっきりとトミーを捕らえる。彼らは驚いた素振りも見せず、銃口を向けてきた。トミーは意識の全部を胸にかき集め、睨み返す。自然と手に力が入り、どこか痛んだのかルークが身じろいだのが分かった。
「こっちには、てめぇらの仲間のガキがいる!」
慎重に歩を進めながら、声を張る。男たちの表情に戸惑いの気配が過ぎる。
よし、いいぞ。
しかし、
「そいつはまずいな」
聞き覚えのある野太い声は、言葉とは裏腹にひどいくらいに落ち着いていた。ぞわりと総毛立つ。
「予定が狂っちまう。これじゃあ、おあいこだな」
おあいこ? そう思った直後、ぐんと一段上ると、ビンセントの脇に立つ男が二人の少年を捕まえているのが目に飛び込んだ。サミーとビリーだ。
あのバカども、捕まりやがったのか……!
すぐにサミーと目が合う。彼はいかにも申し訳なさそうに、眉を八の字になるほど下げている。隣のビリーは何も見まいとするみたいに、頑なに下を向いていた。
「さて、この後はどうするんだ?」
ビンセントは相変わらず平然とした様子で話す。まるで今晩の夕食のメニューでも相談するかのような口ぶりだ。
「どっちにも人質がいるんじゃあ、撃ち合いなんてできないしなぁ。少し話でもするか? オレは話すのが好きなんだよ。付き合ってくれるだろ?」
彼の穏やかな口調には、蛇のような狡猾さが潜んでいそうで、かえって不安を掻き立てられる。それを悟られまいとしたのか、自然と返す声に凄味がかかった。
「何企んでやがる?」
ビンセントの大きな笑い声が響き、四方を囲む金属の壁がキィンと嫌な音を立てて震えた。
「随分喧嘩腰だな。別に何も企んでない。言っただろう? 話がしたいだけだ」
そうして、仲間たちへ向けて言った。
「聞いたな? オレはこいつらと話してくる。お前らは、中の奴らと一緒にバードの相手をしてろ。あいつはなかなかの腕だ。見くびるんじゃねぇぞ」
「こいつらはどうする?」
サミーたちを掴む男が困惑気味に尋ねた。
「オレが連れてく」
その瞬間、ビリーの肩が、外から見て分かるほど、びくりと強ばった。
トミーは拳銃を持つ手にぐっと力を込める。もし怯えたビリーが逃げようとしたら、間違いなく殺される。息を詰めて見守る。けれど、ビリーはさっきよりも深く顔をうつむけただけだった。
*****
ビンセントに連れられて、トミーたちは砲塔の一つ下の階へやって来ていた。彼に続き、階段のすぐ横にある部屋へ入る。いくつかのソファと小テーブルが並んだ談話スペースのようだった。
「適当にかけろ」
ビンセントはサミーとビリーから手を離すと、近くのソファにどかりと座った。
「何か食いたかったら、そこに菓子類が入ってるはずだ」
ビンセントが部屋の隅の戸棚を指し示して言っても、誰も動かなかった。立ち尽くす少年たちを見て、ビンセントは声を上げて笑う。腹の底まで響いてきそうな声だ。
「おい、チビ」
ビリーの体がビクリと跳ねた。比喩ではない。少しだけだが、本当に飛び上がったのだ。またビンセントは笑った。
「そこの戸棚から好きな菓子を持ってきて、真ん中のテーブルに置いてくれ。みんなの手が届くようにしないとな」
ビリーはナイフで脅されでもしたかのように青ざめたが、そろりそろりと戸棚へ向かい菓子を持ってきた。彼が好きなのかどうかは甚だ疑問だが、乾燥させた何かの実を飾った棒状の焼き菓子だった。
突っ立ったまま、テーブルに置かれた焼き菓子をじっと見つめる少年たち。トミーに捕まえられたルークだけが、呆れたと言わんばかりに天井を仰いでいた。
「食べないのか?」
ビンセントに聞かれ、トミーは唇を噛んで目を細めた。一体何なんだ? この野郎は。
「ぼくは……いただきます」
サミーのか細い声がした。トミーは思わず彼へ振り向いてしまう。ビリーもぎょっとしたように目を見張ってサミーを見ていた。
サミーが小刻みに震える指で焼き菓子をつまみ上げ、サクリと齧る。ビンセントはその様子をじっと目で追っていた。獲物を狙う鷹のようにトミーの目には映った。
「うまいか?」
サミーは頷く。口角が少し上がったけれど、顔の筋肉が強ばっているためか、上手く笑顔にならなかった。それでも、サミーはビンセントとの会話を続けようとしているらしかった。
「あの……これはあなたの所のコックさんが作ったんですか?」
ビンセントは頬を緩めた。
「ああ、なかなか腕のいいのがいてな。ガキが多いから偶に褒美としてうまいもの食わせられるように、作らせてんだ」
「トミーもコックなんですよ」
サミーはそう言ってトミーに目配せしてきた。なんだか癇に障り、眉間が変に力む。睨めつけると、しかし、サミーは意味ありげに頷いて見せた。
「ほう、お前、掃除兵じゃないのか」
そこで、トミーは気づいた。サミーはトミーが孤児であることを伝えて同情を買うという、デレクの考えに乗るつもりなのだ。腹の底にフツフツと熱いものが沸いてきた。
「トミーはバードさんのところで見習いコックとして働いていたんです。その前は――」
「なるほど……」
ビンセントが考え込むように、顎を擦りながら言った。
「バードが何年か前に孤児を拾ったって聞いたことがある。縄張りに入った連中を片っ端から襲って身ぐるみ剥がすって噂になってたクソガキだったが……お前のことか」
銃を手にしたままの拳。ぐっと握り込むと、鉄の硬さが伝わってきた。
「奇遇だな。オレもちょうど、昔知ってた孤児の話をするつもりだったんだ」
まだ見えてこない階段を登り切った先。そこから流れてくる空気には、衣服が擦れ、靴底が床を叩き、銃と思しき金属がキィンと冷たくぶつかる音、音、音が混じっているのだ。誰かいる。しかも複数だ。トミーはルークの襟ぐりの後ろを引っ掴み、乱暴に引き寄せた。懐に飛び込んだ彼のこめかみに銃口を当てる。
「このまま行くぞ」
ルークの耳元へ口を寄せて囁く。柔らかい髪が触れ、頬が僅かに濡れる。ゆっくりと階段を上へ進む。
次第に近づく人の気配。低めた話し声。一歩一歩段差を踏みしめる度に、濃くなるざわつきが耳の奥へと潜り込む。
上るにつれて、視界の中の最上段は下がっていく。徐々に向こう側の様子があらわになる。トミーは拳銃をぐっと握った。男たちの頭の先が見えると、次の一歩で彼らの顔が現れた。いくつもの目が、はっきりとトミーを捕らえる。彼らは驚いた素振りも見せず、銃口を向けてきた。トミーは意識の全部を胸にかき集め、睨み返す。自然と手に力が入り、どこか痛んだのかルークが身じろいだのが分かった。
「こっちには、てめぇらの仲間のガキがいる!」
慎重に歩を進めながら、声を張る。男たちの表情に戸惑いの気配が過ぎる。
よし、いいぞ。
しかし、
「そいつはまずいな」
聞き覚えのある野太い声は、言葉とは裏腹にひどいくらいに落ち着いていた。ぞわりと総毛立つ。
「予定が狂っちまう。これじゃあ、おあいこだな」
おあいこ? そう思った直後、ぐんと一段上ると、ビンセントの脇に立つ男が二人の少年を捕まえているのが目に飛び込んだ。サミーとビリーだ。
あのバカども、捕まりやがったのか……!
すぐにサミーと目が合う。彼はいかにも申し訳なさそうに、眉を八の字になるほど下げている。隣のビリーは何も見まいとするみたいに、頑なに下を向いていた。
「さて、この後はどうするんだ?」
ビンセントは相変わらず平然とした様子で話す。まるで今晩の夕食のメニューでも相談するかのような口ぶりだ。
「どっちにも人質がいるんじゃあ、撃ち合いなんてできないしなぁ。少し話でもするか? オレは話すのが好きなんだよ。付き合ってくれるだろ?」
彼の穏やかな口調には、蛇のような狡猾さが潜んでいそうで、かえって不安を掻き立てられる。それを悟られまいとしたのか、自然と返す声に凄味がかかった。
「何企んでやがる?」
ビンセントの大きな笑い声が響き、四方を囲む金属の壁がキィンと嫌な音を立てて震えた。
「随分喧嘩腰だな。別に何も企んでない。言っただろう? 話がしたいだけだ」
そうして、仲間たちへ向けて言った。
「聞いたな? オレはこいつらと話してくる。お前らは、中の奴らと一緒にバードの相手をしてろ。あいつはなかなかの腕だ。見くびるんじゃねぇぞ」
「こいつらはどうする?」
サミーたちを掴む男が困惑気味に尋ねた。
「オレが連れてく」
その瞬間、ビリーの肩が、外から見て分かるほど、びくりと強ばった。
トミーは拳銃を持つ手にぐっと力を込める。もし怯えたビリーが逃げようとしたら、間違いなく殺される。息を詰めて見守る。けれど、ビリーはさっきよりも深く顔をうつむけただけだった。
*****
ビンセントに連れられて、トミーたちは砲塔の一つ下の階へやって来ていた。彼に続き、階段のすぐ横にある部屋へ入る。いくつかのソファと小テーブルが並んだ談話スペースのようだった。
「適当にかけろ」
ビンセントはサミーとビリーから手を離すと、近くのソファにどかりと座った。
「何か食いたかったら、そこに菓子類が入ってるはずだ」
ビンセントが部屋の隅の戸棚を指し示して言っても、誰も動かなかった。立ち尽くす少年たちを見て、ビンセントは声を上げて笑う。腹の底まで響いてきそうな声だ。
「おい、チビ」
ビリーの体がビクリと跳ねた。比喩ではない。少しだけだが、本当に飛び上がったのだ。またビンセントは笑った。
「そこの戸棚から好きな菓子を持ってきて、真ん中のテーブルに置いてくれ。みんなの手が届くようにしないとな」
ビリーはナイフで脅されでもしたかのように青ざめたが、そろりそろりと戸棚へ向かい菓子を持ってきた。彼が好きなのかどうかは甚だ疑問だが、乾燥させた何かの実を飾った棒状の焼き菓子だった。
突っ立ったまま、テーブルに置かれた焼き菓子をじっと見つめる少年たち。トミーに捕まえられたルークだけが、呆れたと言わんばかりに天井を仰いでいた。
「食べないのか?」
ビンセントに聞かれ、トミーは唇を噛んで目を細めた。一体何なんだ? この野郎は。
「ぼくは……いただきます」
サミーのか細い声がした。トミーは思わず彼へ振り向いてしまう。ビリーもぎょっとしたように目を見張ってサミーを見ていた。
サミーが小刻みに震える指で焼き菓子をつまみ上げ、サクリと齧る。ビンセントはその様子をじっと目で追っていた。獲物を狙う鷹のようにトミーの目には映った。
「うまいか?」
サミーは頷く。口角が少し上がったけれど、顔の筋肉が強ばっているためか、上手く笑顔にならなかった。それでも、サミーはビンセントとの会話を続けようとしているらしかった。
「あの……これはあなたの所のコックさんが作ったんですか?」
ビンセントは頬を緩めた。
「ああ、なかなか腕のいいのがいてな。ガキが多いから偶に褒美としてうまいもの食わせられるように、作らせてんだ」
「トミーもコックなんですよ」
サミーはそう言ってトミーに目配せしてきた。なんだか癇に障り、眉間が変に力む。睨めつけると、しかし、サミーは意味ありげに頷いて見せた。
「ほう、お前、掃除兵じゃないのか」
そこで、トミーは気づいた。サミーはトミーが孤児であることを伝えて同情を買うという、デレクの考えに乗るつもりなのだ。腹の底にフツフツと熱いものが沸いてきた。
「トミーはバードさんのところで見習いコックとして働いていたんです。その前は――」
「なるほど……」
ビンセントが考え込むように、顎を擦りながら言った。
「バードが何年か前に孤児を拾ったって聞いたことがある。縄張りに入った連中を片っ端から襲って身ぐるみ剥がすって噂になってたクソガキだったが……お前のことか」
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