それは、恋でした。

むう

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夏合宿

2-18

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***



あたしはお風呂に入り終わって夜風をあたりに外に出た。




今日は、皆ご飯を食べてくれたけどー




准くん達の会話を聞いてたら、人参とか南瓜とか生玉ねぎとか嫌いって話をしてたな。



悼矢さん以外の人も人参嫌いみたいだし…





明日はハンバーグにするつもりだから、ハンバーグの中に擂った人参入ればばれずに皆食べてくれるよね。




生の玉ねぎはあんまり出さないようにして…



ノートに残りの食事をどうするかをまとめる。



そう言えば、この合宿中に練習試合が組まれてるんだっけ。





まだスコアブックの書き方覚えられてないんだよなぁ。




「沙奈ちゃん?」



声を掛けられてあたしは振り向く。

そこには悼矢さんがいた。




何、で・・・



あたしは急いでノートを片づける。



「あ・・・と・・・こっ、こんばんは!!」



何言ってんの、あたしっ。



悼矢さんはそんなあたしを見て笑う。




「ん、こんばんは。沙奈ちゃんここで何してたの?」



さっきは悼矢さん見るだけで悲しくなっていたのに、今は全然感じない。




「ちょっと、スコアブックの書き方が分からなくて…」

「スコアブック?」




悼矢さんはあたしの向かいに座る。



「だったら、俺が教えたげるよ。」


「え…?」


「朝、言ったろ?悩みとかあったら俺に言ってって」





あたしは朝の事を思い出して、顔が赤くなる。



悼矢さんはちょっと待っててと言って何かものを取りに行った。


あたしは悼矢さんが戻ってくるまでノートをパラパラと捲る。


あたしが出来る事を出来る限りやろう。



少しでも皆がいい合宿だったって思ってもらえるように。




「ごめん、ごめん」



悼矢さんは走りながら戻ってきた。



悼矢さんが持っていたものはスコアブック。




「まず何処が分からねぇの?」



悼矢さんはスコアブックをあたしに見せて覗いてくる。


その仕草が、あたしの頭を、心を、おかしくさせる。




この時間が何時間も続けばいいと、そう思ってしまう。






どうして、こんなに悼矢さんの事ー





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