それは、恋でした。

むう

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夏合宿

2-19

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***

気づけばもう10時を回ろうとしていた。



「もうそろそろ消灯時間か」

「そうですね…悼矢さん、教えてくれてありがとうございました」

「ん、別に平気だって。沙奈ちゃん覚えの早いし。楽しかったよ」






悼矢さんー






「戻るか」


「あー!悼矢と沙奈ちゃんこんな所に居たの!?」





合宿所に戻ろうとした時、あたし達を探していたのか、渡邊先輩が来た。





「渡邊…」

「もうそろそろ寝る時間だよ?早く戻る戻る!」


渡邊先輩は悼矢さんの腕を引っ張る。




あたしはそれを見て、2人の所には入って行けなかった。






あたしは胸を強く抑える。



2人の姿を見てしまうといつもこう胸が苦しくなる。





―見て、られない…





あたしは1人走って合宿所に向かう。



「ちょ、沙奈ちゃん!?」


後ろから、悼矢さんの声が聞こえる。


あたしは聞こえないふりをしてしまった。



合宿所の中に入ると准くんが居て、目があった。





「沙奈ちゃん、外に居たのかよ?」

「う、うん。夜風を当たりに…」



准くんをちゃんと見る事が出来ず顔を伏せてしまう。



「あ、あたし部屋戻るから、」



悼矢さん達が帰ってくる前に、部屋に入りたい。



あたしは准くんを見ないように下を向きながら小走りで部屋に向かう。



「おい、待てって」


准くんはあたしの腕をとって引き止めてくる。



「・・・・離し、て・・・?」



あたしの精いっぱいの言葉だった。


准くんには本当に悪い事をしていると分かってるけど、今は話したくなかった。

こんな自分が情けなくてしょうがない。




「そんな事言われても、離す気ない」




准くんはそう言ってあたしを抱きしめる。




え―・・・?





いきなりの出来事であたしの頭の中は混乱する。




「お前が元気ないのに、1人にさせる奴なんて居ない」

「じゅ、准く、ん・・・」



あたしが准くんの名前を言うと、准くんはあたしから離れていく。




「わ、悪ぃ!!!体が勝手に…!!」


「え・・・あ、ううん・・・」

准くんがこんなに顔を真っ赤にした所なんて初めて見た。


あたしはそんな准くんをみて笑ってしまう。





「何、笑ってんだよ?」

「ははっ…別になんでもないの。でもちょっと可笑しくてー」





准くんのおかげで少し心が軽くなった気がした。
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