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夏合宿
2-20
しおりを挟むside悼矢
合宿所に戻った俺たちはお互いの部屋に足を向けていた。
「じゃ、お休み!悼矢。」
「あぁ…」
素っ気ない言葉を渡邊に行って俺はさっさと部屋に戻る。
俺の頭の中は沙奈ちゃんの事でいっぱいだった。
あの時、何で先に帰ったんだ?
一瞬だけど、沙奈ちゃんが泣いているようにも見えたし…
何で、あんな顔なんかー
「あ、悼矢今まで何処行ってたんだよ~!?」
部屋に入るなり裕大が俺に言う。
「ちょっと、な」
「はぁ?んだ、それ。」
布団の中でジタバタする裕大はただの子供にしか見えなかった。
准はそんな裕大をバシバシ叩いている。
「つーーーか!!この部屋、蚊ぁいねぇ!?」
今度は何をするかと思ったら、自分の手を叩き始める。
どんな場所でもこいつは本当に騒々しいな…
「かいーよ!!マジで!!2匹は居る!」
「るせーって・・・」
俺は裕大をゲシゲシ蹴って、自分の布団の中に入る。
それにしても、沙奈ちゃんのあの行動がどうしても気になってしょうがない。
明日、沙奈ちゃんに会ったら聞いてみるか?
いや、早く戻って寝たかっただけかもしんねぇしー
「~~~・・・あぁぁぁぁ!!!」
隣で寝ていた裕大が大声で叫び始めた。
その声で皆一斉に起き上がり、電気を付ける。
「さっきから裕大何なんだよ!!」
「寝ろよ!静かに!!」
「だぁって、蚊が居て寝れねぇんだよ!!」
「それは確かに居るけどよ…そんなに騒ぐ事ねぇだろ!」
裕大は起き上がって小さい蚊を探しキョロキョロし始める。
こいつは、ホントに・・・
「蚊がいたら寝らんねぇから殺してから寝る!」
「んな、馬鹿な・・・」
結局、部員全員で、蚊如きで大騒ぎになる。
いつになったら寝れるんだ?
そう思った時に、下の階で寝ていた渡邊が怒りながらやってきた。
「五月蝿い!さっきから!!」
「だって蚊が」
「蚊にくらい血あげたって死なないわよ!」
ギャーギャーと渡邊も騒いでしまい、何が何だか分んなくなってきていた。
もう誰か止めてくれ…
俺は、馬鹿らしくて止める気力も起きない。
「あの~?」
次に部屋にやって来たのは沙奈ちゃんだった。
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