ねえ、魚のエサにしちゃおっか

南極

文字の大きさ
15 / 15

最終話 結局

しおりを挟む
「……。」
「……。」
おいしい。意外とおいしいぜ…。
人肉ってまずいのかな?と勝手に思っていたけど、これは悪くない。
もし地震とか災害が起きて食料不足に陥ったら、周りのやつらをめっためたにして食べるのもアリだなぁ。
山田くんもいっぱい咀嚼をして、味わっているみたいだ。
おいしそうで何より。
と思って少しにやにやしていたら、急に山田くんが箸を置いて立ち上がった。
「どうしたの?」
「もうこんな毎日は飽き飽きしませんか。」
何だ、宗教勧誘か?
あなたは幸せですかといか言い出すんじゃねえの。
それにいつもより表情が暗い。ただでさえ暗いのに。
というか伸びきった前髪が邪魔をして目がよく見えな……
ガシャン!!!
「えっ。」
何が起きたのか分からなかった。
ちゃぶ台ではないけどガラス台返しが起きた?
僕は何もできず、口をパクパクさせる。
さすがに僕でもいきなりキレる中学生は手に負えないからね。
「まだ死にたいですか。」
疑問文のニュアンスを感じないということは問答無用で僕を改めて殺したくなったのか?
「今はそう思わないよ、山田くんとこうやって生活できるのが僕は…好きだから。」
あーあ、本音言っちゃった。
山田くんは前髪を右手でずらし、僕の目をしっかり見据えた。
「そう、ですか。」
後ろポケットからおもむろに取り出したのは先程調理で使った包丁。
おいおいマジかよ。
「山田くん、」
左で僕の胸ぐらに掴みかかり、右手の包丁を顔に振りかざそうとした。
「わっ。」
右足で山田くんの股間をアタックし、何とか初撃をかわす。
危ない危ない。
「……。」
山田くんは僕を涙目で恨めしそうに見た。
うーん、気持ちよかったのかな?
「はぁ…はぁ…。」
控えめな喘ぎ声まで出してくれてる。僕の超絶テク、もとい股間フルアタックで感じてくれてうれしいな!!
山田くんは股間を押さえながら数歩後ずさりをした。
こちらを伺っているのか、何か大技を繰り出そうとしているのか。
「…っ。」
なんだか目眩がしてきた。
最近お疲れ気味で僕は全く戦闘モードじゃないんだって今さらながら気づいた。
もうここらで死んでもいいのかも?というかもしかしたらこれが引き時ってやつなのかな。
僕は右足の力が抜け、ガクッと床に崩れ落ちた。
優勢だと思っていたのは勘違いだったみたい。
「スズキくん、さよなら…。」
「やま、だくん…。」
目の前に振りかざされた包丁。
僕は盛大に血を噴き出しながら倒れ込み、山田くんは自らの手で胸を刺し、た?
そこからの記憶はない……

「××…?」
山田くんの、血で薄汚れた白いTシャツを剥ぎ取った。
そう、みなさんお待ちかねのリアルBL本番シーンである。
実況はタチ役張本人の僕でございます。
僕って言っても分かんないか?
ちなみに僕のセックスの知識は、したことないだろって突っ込みたくなる女性の方が描かれたBLマンガとゲイ向けエロ動画くらいです。
ヤったことなんかもちろんないし、完全に手探り状態だぜ⭐︎
ぎしぎし。
僕がポンポン山田くんの服を脱がせていくと、キングベッドは結構軋む。
「×、×××××××…。」
本当は嫌がってないくせに、山田くんは体裁のためだか何だか知らないけど、抵抗するふりをするからだ。
「××××、×××××××××××××××××?」
何で今日はこんなに性欲が高まっているんだろう。
あと僕はいちおうノンケのつもりだし、山田くんに劣情を抱いたことなんかなかったし、人肉のせいなのか、全ては。
「×××××…××××××××…。」
全裸でベッドに横たわった山田くんがうるうるの瞳で僕を見つめた。
「×××××××××××。」
僕は馬乗りのまま前に倒れ、山田くんの唇を舐めた。
ぺろぺろ。
味はしない。
初めて会ったとき、殺されかけたあの日とは立場が逆だなと冷静に思った。
でも、股間はズボンを押し上げてとても冷静ではなかった。
脈を打っていてかなり痛い。くるちい。
「××…。」
舌を入れた。
「××××。」
山田くんが逃げようとするので、顔を両手で押さえて舌を出し入れしてやった。
「××…。」
唇をゆっくり離すと、唾液の糸が伸びた。
えっちいな。
視線を少し上にずらす。
山田くんは今まで見たことのないような表情をしていた。
次は何だっけ。乳首攻めかな?
乳輪を舌でなぞった。
山田くんがビクッ!と動く。かわいい。
僕のS心が騒ぎ出し、舌をそれに応えるよう一生懸命に舐めた。
「××…!×…×…。」
リップ音と山田くんの喘ぎ声が静かで暗い部屋にたぶん響き渡り、さらに興奮が収まらなくなってきた。
音がくぐもっているというか、よく聞こえないのもお構いなしだ。
夢で音がはっきり聞こえないのはなぜなんだろう。
こんなにも興奮する、幸せなことをしているっていうのにどうしてだろう。
僕もズボンを下ろした。
周りを見てもゴムはなさそうだったので、素股で我慢する。
ああ、ローションもないからあんまり擦れないけど、それが逆にもどかしいから気持ちよくて…。
「×…××…。」
「×…×。」
初めて見たときは本当にびっくりした。
この部屋にはこのキングベッドしかなくて、床に間接照明が置いてあるだけだったから。
いくら間接照明があるからって電気は全くつけないからほぼ真っ暗だし、山田くんしかいないから静かだし。
僕たちの喘いでる声はたぶんよく響いてる。
隣の部屋に住む人にも聞こえているかな。
隣に人が住んでるかなんて知らないし、大体この数ヶ月ここで暮らしたけど一度も他の住人の姿を見てないなって今、ふと思った。
「××××…××、××××…×…!」
「×××××、××、××、××!」
気持ちいい。気持ちいい。気持ちいい。
先っぽから白いのがいっぱい出た。
どくどく。
ベッドやお腹が汚れるのもお構いなしに僕たちは抱き合いながらキスをした。
僕たちはもう死んでいたけど。


しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です

ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」 「では、契約結婚といたしましょう」 そうして今の夫と結婚したシドローネ。 夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。 彼には愛するひとがいる。 それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放

大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。 嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。 だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。 嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。 混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。 琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う―― 「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」 知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。 耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

処理中です...