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試験まえ
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シルヴィアには運動場のほかに地下訓練所というものがある。
戦闘訓練、魔法練習なんでも良し。使うには申請が必要で、時間も決まっている。
アルたちに言われて訓練場の予約を取ったものの、何故俺が申請書書いて先生の元へ行かねばならないのか疑問である。言い出したのお前らだぞ。
本当はアルが行こうとしていたのだが、練習場で練習をすると聞きつけたクラスメイトに囲まれ、その対処に追われ叶わなかったらしい。魔法を教えてくれ、一緒に練習したい、そういう人間を無下にできなかったという。
遠くで見ていたが、女子に囲まれおろおろしている姿は、腹立たしいが滑稽だった。
やはり顔も良くて優しくて強いやつがモテるのだ。爆ぜろ。クロエも美しい部類なのに人が寄らないのは、まあ、仕方ない。クロエだからな。
訓練場はいくつかのブースに分かれていて、それぞれ結界で仕切られている。使った魔法が無関係の人間に飛ばないようになっているため、ある程度強い魔法を使っても問題がない。しかし、命に関わる戦闘は強制終了させられる。
俺たちの場所は、入り口にほど近い壁側だ。
訓練場は基本的に広い真っ白な空間だが、利用者に渡されるタブレットデバイスを弄ることによって地形が変わる。俺たちは遺跡のような風景の空間に設定してある。
水を含んだ地面、倒れた脊柱、生い茂る草木。見てるだけで体が痒くなりそうだ。
「水が良いとされてる理由は、そう設定されているからだ。初級は弱点の設定を行い、あらかじめ一つの属性だけでも倒せるようになっている。なにせ初級だからな」
「水属性が苦手な人には最悪じゃない?」
「そういう人のための救済措置として、ゴーレムの強度は弱くなっている」
ふよふよと中を漂うタブレットを操作し、訓練相手に練習用ゴーレムを選ぶ。
人間型の土くれが俺たちの正面に現れ、どろどろの体を震わせた。本番のものとは違うが、おそらくこれに似たものが出てくる。
こういうのは、父情報だ。国家魔導士の資格は魔法省の管轄で、受験時期や内容もそこで決める。
ゆらゆら佇むゴーレムに、触媒である杖を向ける。黒塗りの木製杖は、指揮棒ほどの大きさで、某魔法使い映画に近い見た目だ。
魔力を指先に集中し、杖を振る。ぽんぽんと俺の前に火の玉が現れた。
「火球?」
「ちがう爆弾のようなものだ」
いくつかの火球をゴーレムの周りに浮かせ、もう一度杖を振る。すると、連続した爆発音と共に目の前に炎が広がった。
爆風が土を巻き上げ煙と化す。土煙が消えた後には、ばらばらになったゴーレムが残されていた。
「おそらくこのようにもろく設定されているはずだ。水のが早く済むのだろうが、破壊できる魔法を使えるならこれでも良いだろう。固さによっては時間がかかるがな」
「水の場合は、えーと」
アルがタブレットに触れ、ゴーレムが元の姿に戻った。これ格ゲーのトレモみたいだな。
今度はアルが杖を振る。すると音も無く水のレーザーが現れ、ゴーレムを真っ二つにした。それ、別の魔法で良いだろ。風でも光でもレーザー出せば敵は死ぬ。
「こうだな」
「アル、水も得意なんだすごーい」
「そうじゃないな……。試験用ゴーレムには、水を多くかけるとどろどろになって体が崩れるという特性があってだな」
「ああ、そういう。うーん。慣れない水より光魔法で切り伏せた方が楽な気がしてきた」
「慣れる云々の問題か?」
「おれは風で行くかな。水苦手、火も苦手」
言いながら、クロエは杖の先から炎を出す。ライターの火みたいな小ささだ。竜のくせに火が苦手とかあるんだ。
「クロエ、火は吐けないのか?」
「ユーリは竜がみんな火、吐くと思ってる?」
「ロマンというか、格好良いだろ火を吐けた方が」
「俺は風と闇とか植物を操るのが得意。竜っぽくない?」
「俺は良いと思う。闇竜ってすごく良い響きだ」
アルはときどき中二病をちら見せてくるのをやめてくれ。
まあ、人間にも不得意属性があるし竜にだってある。火竜に少し憧れがあったが、ここは首を横に振っておこう。
おそらく二人は、苦手属性だと言っても人並み以上には使えるに違いない。炎が得意なだけの俺とは違う。
「ユーリは火で行くんだっけ? 試験の時はもっと固いのでてきそうだし、火力を上げた方が良いんじゃないか?」
「低燃費で何とかなるようにする」
「そういえば、魔獣とか魔法使い同士で戦うと魔力上がるんだよね。そういう修行、おれの故郷にあった。里の周りにいる魔獣とひたすら戦うやつ」
獅子は我が子を千尋の谷に落とすというやつか、厳しい世界だ。
おそらくレベル上げというものだろう。RPGによくあるやつだ。戦って経験値を稼いで能力を上げる。経験は何よりの糧なのだろう。スタジュエでもレベル上げをひたすらしていたな。最後はレベル1縛りをした記憶がある。悠太はマゾなのか?
「じゃあ、外出許可取って街の外行くか」
「馬鹿か、俺たちはまだ初級魔導士ですらないんだぞ。資格を持たないものは学園以外での魔法の行使は禁止だ」
「なら、おれたちで練習試合しよっか、ユーリ」
「ん?」
クロエが端末を操作すると、青臭い世界から無味無臭の白いトレモステージに変わる。すごく嫌な予感がする。
俺の真向かいに立ったクロエは、運動服の上着を脱ぎ捨てる。この世界でも運動着はジャージと同じ形をしていて、違いは魔法に対する防御が高いところくらいか。一年は青、二年は緑、三年は赤と分けられている。
「一番練習したほうがいいの、ユーリだから。手伝う」
「い、いらない。俺はべつにそんな」
「良かったなユーリ! 次は俺が相手になるよ。頑張ってゴーレムをウェルダンにしよう」
「あいつらに焼き加減があるのか?」
クロエが下でゆるく結んでいた髪の毛を、上で結び直す。いわゆるポニーテールだ。やる気を出してやがる。最悪だ。
俺はやっぱりこいつらにぼこされる運命なんだ。前世の記憶を思い出すなら、悠太がメイン人格だったら良かったのに、そしたら肉体ダメージも精神ダメージも、悠太に押し付けられたのだろう。物語の悪役に転生する時って大体そうだろ! なんで俺は俺なんだ。
しぶしぶ杖を持ち、クロエの前に立つ。俺は今日死ぬのかも。訓練所だと一定の魔力検知すると止められるので、多分生き残ってしまうのだろう。
死にたくないけど生きたくない。人間の精神とはなんと複雑なことか。
「手加減するから、怪我はしないようにする。ユーリは全力で良いよ」
「きみは本当に俺を侮っているな!」
「だって弱いの分かるし……。魔力強い人って傍に居るとぶわーってなるけど、ユーリはないから」
「クロエ、そういうのは分かっても言わない方が良い。ユーリも傷つく」
「庇うと余計に傷つくんだ。覚えておくといい」
「ごめん」
謝られるとなおの事胸に来る。アルも思ってたんだ。俺の能力が低いって、だから守るって言ったんだ。泣きそう。俺だって俺つえーしたい。
目元に浮かぶ涙を無視して、俺は杖を振る。目の前に現れた俺の身長と同じくらいの炎の壁を、杖の先を揺らして動かす。
くるくる回して蛇のような形にすると、ぼんやりしているクロエに向かって突進を命じる。
「うーん。もっと力強く」
そう言ってクロエの杖が光る。途端強風が吹き荒れ、俺の炎の蛇を吹き飛ばした。
火と風は相性がいい。魔法合体で使うと、風のサポートで火力が上がり攻撃力が上がる。というのはゲームの話。現実はこうして吹き飛ばされる。酸素を供給してもらえたら、俺の火力も上がるんだけど、なんて言えるわけもなく。
「つぎー」
「これ、意味ないだろ。効率の良い訓練法は他にあってだな。魔石を使うものなんだが」
「やらないと分からないだろ。頑張れ」
「アル嫌い」
「えっ」
人が話しているのに被せるな。不機嫌を隠さないで杖を構える。背後で小さく、ごめん、と聞こえたがもう知らん。
戦闘訓練、魔法練習なんでも良し。使うには申請が必要で、時間も決まっている。
アルたちに言われて訓練場の予約を取ったものの、何故俺が申請書書いて先生の元へ行かねばならないのか疑問である。言い出したのお前らだぞ。
本当はアルが行こうとしていたのだが、練習場で練習をすると聞きつけたクラスメイトに囲まれ、その対処に追われ叶わなかったらしい。魔法を教えてくれ、一緒に練習したい、そういう人間を無下にできなかったという。
遠くで見ていたが、女子に囲まれおろおろしている姿は、腹立たしいが滑稽だった。
やはり顔も良くて優しくて強いやつがモテるのだ。爆ぜろ。クロエも美しい部類なのに人が寄らないのは、まあ、仕方ない。クロエだからな。
訓練場はいくつかのブースに分かれていて、それぞれ結界で仕切られている。使った魔法が無関係の人間に飛ばないようになっているため、ある程度強い魔法を使っても問題がない。しかし、命に関わる戦闘は強制終了させられる。
俺たちの場所は、入り口にほど近い壁側だ。
訓練場は基本的に広い真っ白な空間だが、利用者に渡されるタブレットデバイスを弄ることによって地形が変わる。俺たちは遺跡のような風景の空間に設定してある。
水を含んだ地面、倒れた脊柱、生い茂る草木。見てるだけで体が痒くなりそうだ。
「水が良いとされてる理由は、そう設定されているからだ。初級は弱点の設定を行い、あらかじめ一つの属性だけでも倒せるようになっている。なにせ初級だからな」
「水属性が苦手な人には最悪じゃない?」
「そういう人のための救済措置として、ゴーレムの強度は弱くなっている」
ふよふよと中を漂うタブレットを操作し、訓練相手に練習用ゴーレムを選ぶ。
人間型の土くれが俺たちの正面に現れ、どろどろの体を震わせた。本番のものとは違うが、おそらくこれに似たものが出てくる。
こういうのは、父情報だ。国家魔導士の資格は魔法省の管轄で、受験時期や内容もそこで決める。
ゆらゆら佇むゴーレムに、触媒である杖を向ける。黒塗りの木製杖は、指揮棒ほどの大きさで、某魔法使い映画に近い見た目だ。
魔力を指先に集中し、杖を振る。ぽんぽんと俺の前に火の玉が現れた。
「火球?」
「ちがう爆弾のようなものだ」
いくつかの火球をゴーレムの周りに浮かせ、もう一度杖を振る。すると、連続した爆発音と共に目の前に炎が広がった。
爆風が土を巻き上げ煙と化す。土煙が消えた後には、ばらばらになったゴーレムが残されていた。
「おそらくこのようにもろく設定されているはずだ。水のが早く済むのだろうが、破壊できる魔法を使えるならこれでも良いだろう。固さによっては時間がかかるがな」
「水の場合は、えーと」
アルがタブレットに触れ、ゴーレムが元の姿に戻った。これ格ゲーのトレモみたいだな。
今度はアルが杖を振る。すると音も無く水のレーザーが現れ、ゴーレムを真っ二つにした。それ、別の魔法で良いだろ。風でも光でもレーザー出せば敵は死ぬ。
「こうだな」
「アル、水も得意なんだすごーい」
「そうじゃないな……。試験用ゴーレムには、水を多くかけるとどろどろになって体が崩れるという特性があってだな」
「ああ、そういう。うーん。慣れない水より光魔法で切り伏せた方が楽な気がしてきた」
「慣れる云々の問題か?」
「おれは風で行くかな。水苦手、火も苦手」
言いながら、クロエは杖の先から炎を出す。ライターの火みたいな小ささだ。竜のくせに火が苦手とかあるんだ。
「クロエ、火は吐けないのか?」
「ユーリは竜がみんな火、吐くと思ってる?」
「ロマンというか、格好良いだろ火を吐けた方が」
「俺は風と闇とか植物を操るのが得意。竜っぽくない?」
「俺は良いと思う。闇竜ってすごく良い響きだ」
アルはときどき中二病をちら見せてくるのをやめてくれ。
まあ、人間にも不得意属性があるし竜にだってある。火竜に少し憧れがあったが、ここは首を横に振っておこう。
おそらく二人は、苦手属性だと言っても人並み以上には使えるに違いない。炎が得意なだけの俺とは違う。
「ユーリは火で行くんだっけ? 試験の時はもっと固いのでてきそうだし、火力を上げた方が良いんじゃないか?」
「低燃費で何とかなるようにする」
「そういえば、魔獣とか魔法使い同士で戦うと魔力上がるんだよね。そういう修行、おれの故郷にあった。里の周りにいる魔獣とひたすら戦うやつ」
獅子は我が子を千尋の谷に落とすというやつか、厳しい世界だ。
おそらくレベル上げというものだろう。RPGによくあるやつだ。戦って経験値を稼いで能力を上げる。経験は何よりの糧なのだろう。スタジュエでもレベル上げをひたすらしていたな。最後はレベル1縛りをした記憶がある。悠太はマゾなのか?
「じゃあ、外出許可取って街の外行くか」
「馬鹿か、俺たちはまだ初級魔導士ですらないんだぞ。資格を持たないものは学園以外での魔法の行使は禁止だ」
「なら、おれたちで練習試合しよっか、ユーリ」
「ん?」
クロエが端末を操作すると、青臭い世界から無味無臭の白いトレモステージに変わる。すごく嫌な予感がする。
俺の真向かいに立ったクロエは、運動服の上着を脱ぎ捨てる。この世界でも運動着はジャージと同じ形をしていて、違いは魔法に対する防御が高いところくらいか。一年は青、二年は緑、三年は赤と分けられている。
「一番練習したほうがいいの、ユーリだから。手伝う」
「い、いらない。俺はべつにそんな」
「良かったなユーリ! 次は俺が相手になるよ。頑張ってゴーレムをウェルダンにしよう」
「あいつらに焼き加減があるのか?」
クロエが下でゆるく結んでいた髪の毛を、上で結び直す。いわゆるポニーテールだ。やる気を出してやがる。最悪だ。
俺はやっぱりこいつらにぼこされる運命なんだ。前世の記憶を思い出すなら、悠太がメイン人格だったら良かったのに、そしたら肉体ダメージも精神ダメージも、悠太に押し付けられたのだろう。物語の悪役に転生する時って大体そうだろ! なんで俺は俺なんだ。
しぶしぶ杖を持ち、クロエの前に立つ。俺は今日死ぬのかも。訓練所だと一定の魔力検知すると止められるので、多分生き残ってしまうのだろう。
死にたくないけど生きたくない。人間の精神とはなんと複雑なことか。
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「きみは本当に俺を侮っているな!」
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「クロエ、そういうのは分かっても言わない方が良い。ユーリも傷つく」
「庇うと余計に傷つくんだ。覚えておくといい」
「ごめん」
謝られるとなおの事胸に来る。アルも思ってたんだ。俺の能力が低いって、だから守るって言ったんだ。泣きそう。俺だって俺つえーしたい。
目元に浮かぶ涙を無視して、俺は杖を振る。目の前に現れた俺の身長と同じくらいの炎の壁を、杖の先を揺らして動かす。
くるくる回して蛇のような形にすると、ぼんやりしているクロエに向かって突進を命じる。
「うーん。もっと力強く」
そう言ってクロエの杖が光る。途端強風が吹き荒れ、俺の炎の蛇を吹き飛ばした。
火と風は相性がいい。魔法合体で使うと、風のサポートで火力が上がり攻撃力が上がる。というのはゲームの話。現実はこうして吹き飛ばされる。酸素を供給してもらえたら、俺の火力も上がるんだけど、なんて言えるわけもなく。
「つぎー」
「これ、意味ないだろ。効率の良い訓練法は他にあってだな。魔石を使うものなんだが」
「やらないと分からないだろ。頑張れ」
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