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試験2
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「……っ!」
「つかまってて」
一緒になって落ちてきたらしいクロエが俺の手を掴む。
開けた空間に出た瞬間、ぶわりと体が浮いて、落ちるのとは違う浮遊感を覚えた。クロエの方を向けば、大きな翼が広がりそのおかげで落下が弱まったのだと分かった。
蝙蝠の翼に似た黒い翼。絶対アルが好きなタイプだ。
「このトラップ、さっきたまたま見つけたんだ! せっかくだしプレゼントしてやる!」
「いらねーんだよこんなもん! 転がすぞ!」
「ゆーり、口調がお下品でしてよ」
「お前も狂ってるぞ」
いかん、悠太が出てしまった。
試験側が用意したというトラップにしては、随分分かりにくいところにあったもんだ。
あいつらが先に引っかかりそうになって、偶然気が付いたということだと推測するが、初級の試験で命の危険があるものを出してくるか? 疑問だ。
クロエのおかげで無事地面に着地する。薄っすら見えていた明りは、天井が一部崩れ、僅かに陽の光が差し込んだものだった。といっても天井は高く、上の階の関係もあり暗さで言えば先ほどと大差がない。
あの穴から帰れないかと思ったものの、人が通れるにはすこし足りなそうだ。
火球を周囲に浮かせ、部屋の状況を把握する。通気口のような小さな四角い穴が複数壁に空いている。足元は、先ほどから気にはなっていたが音が妙だ。みたくない。
ぱき、という何かが割れた音とぐじゅ、と粘着質なものを踏みしめた感触。
ぶるぶる震える顔を何とか動かし、地面を見る。赤茶けた塊、細長い棒のような何か、あばらの形状に似た小さな何か。俺の足の下には、いったい何があるというのだ。
「服破れた。だから翼出したくなかった」
「あとであいつらに弁償させよう。それより、ここ、試験側が用意したものとは思えないんだが」
「ね、くさい」
饐えた臭いに気絶しそうだ。これだけでここが不潔な場所だろうと確信できる。
嫌悪感で息が上がってきた。クロエの腕に張り付いて、火球の火力を増す。思いのほかこの空間は広いようで、奥まで見るには弱い火では足りなかった。
「魔力もつ? おれが見るからいいよ」
「し、しかし」
見るのは嫌だが、見ないと不安。得体のしえれないものはそれだけで恐ろしい。
しかし、節約は大事だ。暗い道を進むためずっと魔法を使った状態だったのもよろしくない。しかし、それを考慮しても最後のゴーレム戦には問題ないはずだった。イレギュラーのせいで節約せざるを得ない。
『ユーリ、そこは正規ルートではないよ』
「……どうして兄の声が聞こえるんだろうな」
「肩になんかいる。ちょうちょ」
『あまり動かないで、助けを向かわせる』
「兄さんの転送魔法は」
『さすがに遠いね。今学校だから、音声も荒いだろ』
たしかにざらざらしてる。いや問題はそこじゃない。
ストーカーやめろって言ったのに、無駄だったようだ。しかも試験までついてくるなんて最悪だ。授業参観に家族できちゃいましたくらい最悪だ。
だがそのおかげで、ここが居てはいけない場所だと分かったのは僥倖なのだろう。感謝したくなさ過ぎて熱が出そう。
音声が消えて蝶が飛び立つ。動かないならば周囲を照らす必要もそこまでない。火を弱めようとしたが、ふいに聞こえた物音に、俺は動きを止める。
ずる、ずる、と何かを引きずる音。べしゃ、と重たいが固さの無いものが落ちる音。クロエと共に、恐る恐る音の方へ視線を向ける。
「スライム、かな」
「い、いや、スライムにしては、汚い」
スライムは、俺の知る限りでは透き通った体をしており、もっともちぷよだ。
俺たちから離れた部屋の隅。四方に点在する穴から、淀んだ水のような何かが部屋に落ち、一か所に集まっていく。
よく見れば、奴らの中に骨のようなものが見えた。人の頭蓋骨、何か分からない骨、瓦礫の破片。とりあえず目についたものを取り込みましたといった風の内容だ。
クロエが触媒を構え、風の刃でスライムに似た何かを切り刻む。
「うーん、再生する」
細切れになった塊は地面に落ちた後、再び一つに戻りその体をどんどん成長させていく。汚い塊ができていく過程に、意識が飛びそうだ。
じゃあこれ、と再びクロエが杖を振る。
汚物の塊が乗っている地面がひび割れ、破壊音とともに地面から植物のツタが出てくるが――
「あ、取り込まれた」
「消化されているな。スライムの特性に分裂はあるが、物質及び生物の吸収あるいは消化は記載がない。あいつらは空気中のマナの集合体だ」
「へーそうなんだ? あれは?」
「汚物……?」
「ユーリってこの世のすべてを汚物っていいそう」
「ふざけるなそんなわけないだろ」
吐瀉物を丸めたような物体は徐々に大きくなり、ついには俺たちの身長を越えて液体のようなものから、人の形へと変わっていく。
この室内を見た時から、一つの過程をしていた。
「ここがかつて人体及び、魔獣の研究をしていたとした……らっ」
推測を語ろうとしたと同時に、クロエに持ち上げられた。
風を切る音が耳を掠め、不快な臭いが俺たちを包む。ずぅん、と脳を揺らす轟音が遠ざかり、自分の体が宙に浮いているのに気が付いた。
「あいつ、攻撃してきた」
「みればわかる! クロエ、上に戻れないのか」
「無理、穴が小さくて翼が邪魔」
人一人がやっとの穴では、このでかい翼は通れない。となると、後は上を目指すしかない。天井を破壊すれば恐らく上の階に戻れるだろう。すでに少し崩れているし、できるかも。
触媒を取り出し、部屋を照らしていた火を天井のひびめがけて飛ばす。次いでできる限りダメージを与えられるよう力を込めて爆破の指令を出した。
連続する爆発音が響き、一瞬室内にまばゆい光が走り瓦礫が崩れ落ちていく。
「え、全然だよ」
「なんだこれ、魔法防護の術式か?」
崩れたのはほんの一部で、ぼんやりと魔術師が使う魔法陣のようなものが部屋の壁に浮かび上がった。
魔法防護は天井と壁のみ、地面はさっきクロエが植物を呼び出していたから問題ない。となると、地面を掘って行けばいい。無理だろアホか。
どうするか、思考をぐるぐる動かす。切り刻めない、掴めない。上からも出られない。しかし、高い位置に居ればあいつは攻撃できないはずだ。
と、思いきや、汚物は腕を思い切り振るうと、自分から体の一部を引きちぎり宙に舞う俺たちに向かって投げ飛ばす。
「わっ」
寸でのところで避けるが、切り離したものはすぐに奴の体に戻り次の弾が飛んでくる。なんだこいつ、遠距離もできるのか恐ろしい。
黒い翼を広げ、飛ぶには狭い室内でくるりと旋回してごみの塊を避ける。悪臭が鼻を掠め、俺は口元を歪ませた。
「クロエ、無理するな、俺は下ろしていいから」
「あれに触りたい?」
「嫌だが! なんとかなる」
「まあ、俺も下りてやりたいことあるから良いよ」
「やりたいこと?」
「ユーリ、下に着いたら光消して」
「え、ああ、わかった」
スピードが弱まり、滑るように地面におりる。
気が付いていたが、死体だ、この部屋には死体が遺棄されている。ここでなんらかの実験が行われていたのは事実で、その死体置き場なのだろう。防護壁は、おそらく万が一蘇った時に外に出てこないようにという予防。もしくはこいつが発生するのを見越したものか。
試験官共、お前ら調査不足だろ。もしくは危険区域にはいかないようにしていたが、ここに入ることはないと油断をしたか。
杖を振って明りを消す。視界を失った状況で、べちゃ、べちゃ、と粘着質な足音が響いて鳥肌が立った。
「く、クロエ、どうだ」
「あ」
「えっ?」
やばい、と聞こえて、クロエが俺を突き飛ばす。
俺の頭上を空気が通り、何かにぶつかる鈍い音が聞こえたと同時に、俺の体は床に転がる。
「つかまってて」
一緒になって落ちてきたらしいクロエが俺の手を掴む。
開けた空間に出た瞬間、ぶわりと体が浮いて、落ちるのとは違う浮遊感を覚えた。クロエの方を向けば、大きな翼が広がりそのおかげで落下が弱まったのだと分かった。
蝙蝠の翼に似た黒い翼。絶対アルが好きなタイプだ。
「このトラップ、さっきたまたま見つけたんだ! せっかくだしプレゼントしてやる!」
「いらねーんだよこんなもん! 転がすぞ!」
「ゆーり、口調がお下品でしてよ」
「お前も狂ってるぞ」
いかん、悠太が出てしまった。
試験側が用意したというトラップにしては、随分分かりにくいところにあったもんだ。
あいつらが先に引っかかりそうになって、偶然気が付いたということだと推測するが、初級の試験で命の危険があるものを出してくるか? 疑問だ。
クロエのおかげで無事地面に着地する。薄っすら見えていた明りは、天井が一部崩れ、僅かに陽の光が差し込んだものだった。といっても天井は高く、上の階の関係もあり暗さで言えば先ほどと大差がない。
あの穴から帰れないかと思ったものの、人が通れるにはすこし足りなそうだ。
火球を周囲に浮かせ、部屋の状況を把握する。通気口のような小さな四角い穴が複数壁に空いている。足元は、先ほどから気にはなっていたが音が妙だ。みたくない。
ぱき、という何かが割れた音とぐじゅ、と粘着質なものを踏みしめた感触。
ぶるぶる震える顔を何とか動かし、地面を見る。赤茶けた塊、細長い棒のような何か、あばらの形状に似た小さな何か。俺の足の下には、いったい何があるというのだ。
「服破れた。だから翼出したくなかった」
「あとであいつらに弁償させよう。それより、ここ、試験側が用意したものとは思えないんだが」
「ね、くさい」
饐えた臭いに気絶しそうだ。これだけでここが不潔な場所だろうと確信できる。
嫌悪感で息が上がってきた。クロエの腕に張り付いて、火球の火力を増す。思いのほかこの空間は広いようで、奥まで見るには弱い火では足りなかった。
「魔力もつ? おれが見るからいいよ」
「し、しかし」
見るのは嫌だが、見ないと不安。得体のしえれないものはそれだけで恐ろしい。
しかし、節約は大事だ。暗い道を進むためずっと魔法を使った状態だったのもよろしくない。しかし、それを考慮しても最後のゴーレム戦には問題ないはずだった。イレギュラーのせいで節約せざるを得ない。
『ユーリ、そこは正規ルートではないよ』
「……どうして兄の声が聞こえるんだろうな」
「肩になんかいる。ちょうちょ」
『あまり動かないで、助けを向かわせる』
「兄さんの転送魔法は」
『さすがに遠いね。今学校だから、音声も荒いだろ』
たしかにざらざらしてる。いや問題はそこじゃない。
ストーカーやめろって言ったのに、無駄だったようだ。しかも試験までついてくるなんて最悪だ。授業参観に家族できちゃいましたくらい最悪だ。
だがそのおかげで、ここが居てはいけない場所だと分かったのは僥倖なのだろう。感謝したくなさ過ぎて熱が出そう。
音声が消えて蝶が飛び立つ。動かないならば周囲を照らす必要もそこまでない。火を弱めようとしたが、ふいに聞こえた物音に、俺は動きを止める。
ずる、ずる、と何かを引きずる音。べしゃ、と重たいが固さの無いものが落ちる音。クロエと共に、恐る恐る音の方へ視線を向ける。
「スライム、かな」
「い、いや、スライムにしては、汚い」
スライムは、俺の知る限りでは透き通った体をしており、もっともちぷよだ。
俺たちから離れた部屋の隅。四方に点在する穴から、淀んだ水のような何かが部屋に落ち、一か所に集まっていく。
よく見れば、奴らの中に骨のようなものが見えた。人の頭蓋骨、何か分からない骨、瓦礫の破片。とりあえず目についたものを取り込みましたといった風の内容だ。
クロエが触媒を構え、風の刃でスライムに似た何かを切り刻む。
「うーん、再生する」
細切れになった塊は地面に落ちた後、再び一つに戻りその体をどんどん成長させていく。汚い塊ができていく過程に、意識が飛びそうだ。
じゃあこれ、と再びクロエが杖を振る。
汚物の塊が乗っている地面がひび割れ、破壊音とともに地面から植物のツタが出てくるが――
「あ、取り込まれた」
「消化されているな。スライムの特性に分裂はあるが、物質及び生物の吸収あるいは消化は記載がない。あいつらは空気中のマナの集合体だ」
「へーそうなんだ? あれは?」
「汚物……?」
「ユーリってこの世のすべてを汚物っていいそう」
「ふざけるなそんなわけないだろ」
吐瀉物を丸めたような物体は徐々に大きくなり、ついには俺たちの身長を越えて液体のようなものから、人の形へと変わっていく。
この室内を見た時から、一つの過程をしていた。
「ここがかつて人体及び、魔獣の研究をしていたとした……らっ」
推測を語ろうとしたと同時に、クロエに持ち上げられた。
風を切る音が耳を掠め、不快な臭いが俺たちを包む。ずぅん、と脳を揺らす轟音が遠ざかり、自分の体が宙に浮いているのに気が付いた。
「あいつ、攻撃してきた」
「みればわかる! クロエ、上に戻れないのか」
「無理、穴が小さくて翼が邪魔」
人一人がやっとの穴では、このでかい翼は通れない。となると、後は上を目指すしかない。天井を破壊すれば恐らく上の階に戻れるだろう。すでに少し崩れているし、できるかも。
触媒を取り出し、部屋を照らしていた火を天井のひびめがけて飛ばす。次いでできる限りダメージを与えられるよう力を込めて爆破の指令を出した。
連続する爆発音が響き、一瞬室内にまばゆい光が走り瓦礫が崩れ落ちていく。
「え、全然だよ」
「なんだこれ、魔法防護の術式か?」
崩れたのはほんの一部で、ぼんやりと魔術師が使う魔法陣のようなものが部屋の壁に浮かび上がった。
魔法防護は天井と壁のみ、地面はさっきクロエが植物を呼び出していたから問題ない。となると、地面を掘って行けばいい。無理だろアホか。
どうするか、思考をぐるぐる動かす。切り刻めない、掴めない。上からも出られない。しかし、高い位置に居ればあいつは攻撃できないはずだ。
と、思いきや、汚物は腕を思い切り振るうと、自分から体の一部を引きちぎり宙に舞う俺たちに向かって投げ飛ばす。
「わっ」
寸でのところで避けるが、切り離したものはすぐに奴の体に戻り次の弾が飛んでくる。なんだこいつ、遠距離もできるのか恐ろしい。
黒い翼を広げ、飛ぶには狭い室内でくるりと旋回してごみの塊を避ける。悪臭が鼻を掠め、俺は口元を歪ませた。
「クロエ、無理するな、俺は下ろしていいから」
「あれに触りたい?」
「嫌だが! なんとかなる」
「まあ、俺も下りてやりたいことあるから良いよ」
「やりたいこと?」
「ユーリ、下に着いたら光消して」
「え、ああ、わかった」
スピードが弱まり、滑るように地面におりる。
気が付いていたが、死体だ、この部屋には死体が遺棄されている。ここでなんらかの実験が行われていたのは事実で、その死体置き場なのだろう。防護壁は、おそらく万が一蘇った時に外に出てこないようにという予防。もしくはこいつが発生するのを見越したものか。
試験官共、お前ら調査不足だろ。もしくは危険区域にはいかないようにしていたが、ここに入ることはないと油断をしたか。
杖を振って明りを消す。視界を失った状況で、べちゃ、べちゃ、と粘着質な足音が響いて鳥肌が立った。
「く、クロエ、どうだ」
「あ」
「えっ?」
やばい、と聞こえて、クロエが俺を突き飛ばす。
俺の頭上を空気が通り、何かにぶつかる鈍い音が聞こえたと同時に、俺の体は床に転がる。
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