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教会にて
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教会に着くと、神父とシスターマリー、そして子供たちが教会の前でなにやらわちゃっと集まっていた。
彼らは手にごみ袋のようなものを持っていて、何やらこれから出かけますという空気だ。これはタイミングが悪かったのではないだろうか。
通りから教会の玄関口へ向かう。俺たちに気が付いたらしい教会一同は、一斉にこちらを見る。その様子がちょっと怖くて、思わずアルの後ろに隠れた。
「あら、アル……と、もしかしてユーリ、くん?」
「こんにちは! タイミング悪かったかな」
「……お久しぶりです」
実は、子供の頃始めてきたとき以来だ。十年近く来ていないのかも。それなのに、マリーさんは俺を覚えていてくれたらしい。
アルに何度か誘われたが、父や母に叱られ下層に行くのを禁止されていた。
ばれなければ良いのだが、魔法で監視されているかも、魔石機械で追いかけられているかもと怖がっている内に、俺はやや潔癖症になってしまい下層というもの自体に、苦手意識を持つようになっていた。
「ユーリ、聞いたことがあるような気がするねぇ」
「サムさん、何度もアルから聞いているでしょう」
「ああ、お友達のね? お母さん探しに来た子?」
「随分昔の話ですね。お恥ずかしい。家出の口実ですよ」
一応アルから、エレーナという人物が教会近辺には住んでいない、という情報を貰っていた。神父さんたちが探してくれていたのだ。なのに、礼を言うこともせず、今日だってなんの準備もできていない。
「その節はお世話になりました。母の件、ありがとうございます。連絡もせず申し訳ございません」
「いいえ、何の力にもなれなくてごめんなさいね」
マリーさんは申し訳なさそうに俺に謝る。
「大丈夫です。子供の無茶に付き合わせてしまって、俺の方こそ謝らないと。……ところで、皆さんお出かけですか?」
ごめんなさいの応酬が始まりそうな予感に、俺は話題を変える。善人に対して苦手意識があるのは何故だろう。俺の性格が悪いからか。
「そうなの、今この地区でごみ拾いキャンペーンっていうのをやっていて、集めたごみを区役所に持っていくと報酬がもらえるの。お菓子とかなんだけどね」
「へえ、みんなで行くところ? 俺たちも手伝おうか」
「いやいや、良いよそんな。あっ、じゃあお留守番しててくれないか、洗濯物干しっぱなしでね。取り込んでおいてほしいな」
サム神父が白いひげを揺らして笑う。ふくふくしていて、そこに居るだけで癒しを与えそうなお爺さんだ。女子供とじいさんだけで大丈夫かと思ったが、この人らはここでの生活が日常なのを思い出す。俺たちが思うより、たくましいのだろう。
「俺が残るから、アルは行って来たらどうだ。洗濯ものくらい俺でもたためる」
「えっ、それはさすがに」
「もー、良いから。二人で残ってて! おもてなしできなくてごめんなさいね、じゃ、みんな行きましょう」
マリーさんは昔と変わらぬ笑顔で、子供たちに呼びかける。
大きな声で返事をした子供たちを率いて、二人は教会から離れる。みんなで元気よく手を振るものだから、俺も返さないといけないような気分になって小さく手を振った。
相変わらず、ここの子供は元気がいい。
「報酬がお菓子なら、俺のこれ、要らなかったか?」
「無いよりある方がいいだろ」
「だよな、中入ろうか」
荷物を抱え直し、アルが教会のドアを開く。
久しぶりの教会内部は、時が止まったみたいに昔となんら変わりない。ステンドグラスが陽の光を受けて鮮やかな色彩を教会内に零し、非日常感を与えている。
古い木の床を踏みしめて、教会の前方、祭壇の方へ向かう。これは俺の意思というより、アルが歩いていくのについていっただけだ。
今日のアルはどうにもぼんやりしている。元気がない、という感じでもないが、妙だ。
「アル、もしや懺悔室に用があったりするのか」
「なんでそうなるんだ」
「いや、なんとなく。様子がおかしいから」
アルが首を横に振って否定する。
じゃあなんだ。俺ははっきりしない態度というのが一番苦手なんだ。言うまで待つだなんて気長なことをできるタイプではない。
何かあるなら教えてほしい。俺は前世の記憶があるだなんて、聞く人が聞いたら笑うようなことをお前に打ち明けたんだぞ。お前も恥ずかしい秘密の一つや二つ言ってこい。
恐らく俺のこういった感情は、すべて顔に出ていることだろう。アルが俺の方を見て、苦笑いしている。
「あのさ、ユーリと初めて会ってから今日までで、ユーリを嫌いになったことはないんだ」
「知ってる」
「会った頃からユーリがだんだん変わっていって、心配したことはある」
アーヴィンに来た当初の俺は、なんと弱気子供だったのだろう。いろんなものに怯えていた。それがどんどん捻じれ、誰にでも態度の悪い少年となり、今や後戻りできないところに来てしまった。俺の最初を知っているなら、確かに心配にはなるだろうな。
「前世の記憶? が戻ってから、少しだけ昔に戻ったような気がして、ちょっと嬉しかった」
「つまり、その前の俺には不満があった、ということか」
「無いって言ったら嘘になる。たぶん今のユーリは、俺が言わなくても分かってると思うから、細かくは言わないよ」
あれとかかこれとかそれとかだな、思い当たる節がありすぎて頭が痛い。十代特有の謎の無敵感でやりたい放題していたかも、穴があったら入りたい。
「も、申し訳、ございません、でした」
「謝らないで良いってば」
アルが眉尻を下げて笑う。そういえば、昔は身長の差なんて感じなかったのに、いつの間にかアルを見上げるようになっていた。
手の大きさも、声の高さも何もかも違う。成長とはこういうことをいうのだろう。俺もまだまだ伸びしろはある。
「怖かった時期のユーリも、なんだかんだ俺の我儘を聞いてくれてた。だから、心の奥の方はきっとあの頃のままなんだって信じてた」
「お前がわがままを言ったことがあったか?」
「勉強教えろだなんて、結構無茶を言ったと思うよ? 中層まで来たり、図書館に連れて行ってくれたり、感謝しているんだ」
改めて礼を言われると照れてしまう。俺の為でもあったし、あれはあれで自分ができる人間だという優越感に浸ることができた。アルを駄目な奴と見下して、自分の駄目な部分から目をそらした。
感謝されることに罪悪感を覚えるのだが、口にするのも勇気がいる。わざわざ喧嘩の火種になりそうなことを言う必要はあるのだろうか。
「で、あの、えっと、ヴィルさんとか、クロエとかなんだけど」
「なんで急にそいつらが出てきた」
「だって! ヴィルさんは昔からユーリへの対応がおかしいだろ」
「ブラコンが行き過ぎると気持ち悪いよな」
「ブラコン、で済むのかな、あれ」
お前もそう思うか、俺も思う。俺のファーストキスがあいつだったというのは黙っておこう。ノーカンだあんなの、認めてはいけない。
「で? 話の流れ的に二人は関係ないように思えるが?」
「無いような、あるような」
どっちだ。昔の俺の話からヴィルはまだ分かる。クロエは分からない。
俺が目を側めると、アルは口をもごもごと動かした。
「クロエも、俺はクロエのこと大好きだよ。だけど、あの」
「なんだはっきり言え」
「頬に、口づけを」
「な……! だからあれは!」
「分かってる! その後、クロエが……」
クロエがなんだよ。うわぁ、耐えられないはっきり言え燃やすぞ。短気は損気だ耐えろ俺。
沈黙の時間が永遠のようだ。視線をステンドグラスに向けて気を紛らわす。世界樹や女神、天使をイメージしたのだろうそれらを目で追って、再びアルに戻す。
「あの、ごめん」
「俺は気が短い」
「はい」
一度しょんぼり肩を落としたかと思うと、アルはゆっくり深呼吸をする。そして背筋を伸ばしきりっとした表情を作ると、俺の名を呼んだ。
「好きなんだ。ユーリが」
「……はあ?」
俺が好き、クロエの事も大好きって言ってたよな。そういうあれだよな。
心臓が急に早く動き出した。嫌な汗が背中を伝う。だって、おかしくないか?
ヴィルもクロエもアルも何が起こっているんだ。まずいお腹痛くなってきた。俺のすべてが現実に追いついていない。
彼らは手にごみ袋のようなものを持っていて、何やらこれから出かけますという空気だ。これはタイミングが悪かったのではないだろうか。
通りから教会の玄関口へ向かう。俺たちに気が付いたらしい教会一同は、一斉にこちらを見る。その様子がちょっと怖くて、思わずアルの後ろに隠れた。
「あら、アル……と、もしかしてユーリ、くん?」
「こんにちは! タイミング悪かったかな」
「……お久しぶりです」
実は、子供の頃始めてきたとき以来だ。十年近く来ていないのかも。それなのに、マリーさんは俺を覚えていてくれたらしい。
アルに何度か誘われたが、父や母に叱られ下層に行くのを禁止されていた。
ばれなければ良いのだが、魔法で監視されているかも、魔石機械で追いかけられているかもと怖がっている内に、俺はやや潔癖症になってしまい下層というもの自体に、苦手意識を持つようになっていた。
「ユーリ、聞いたことがあるような気がするねぇ」
「サムさん、何度もアルから聞いているでしょう」
「ああ、お友達のね? お母さん探しに来た子?」
「随分昔の話ですね。お恥ずかしい。家出の口実ですよ」
一応アルから、エレーナという人物が教会近辺には住んでいない、という情報を貰っていた。神父さんたちが探してくれていたのだ。なのに、礼を言うこともせず、今日だってなんの準備もできていない。
「その節はお世話になりました。母の件、ありがとうございます。連絡もせず申し訳ございません」
「いいえ、何の力にもなれなくてごめんなさいね」
マリーさんは申し訳なさそうに俺に謝る。
「大丈夫です。子供の無茶に付き合わせてしまって、俺の方こそ謝らないと。……ところで、皆さんお出かけですか?」
ごめんなさいの応酬が始まりそうな予感に、俺は話題を変える。善人に対して苦手意識があるのは何故だろう。俺の性格が悪いからか。
「そうなの、今この地区でごみ拾いキャンペーンっていうのをやっていて、集めたごみを区役所に持っていくと報酬がもらえるの。お菓子とかなんだけどね」
「へえ、みんなで行くところ? 俺たちも手伝おうか」
「いやいや、良いよそんな。あっ、じゃあお留守番しててくれないか、洗濯物干しっぱなしでね。取り込んでおいてほしいな」
サム神父が白いひげを揺らして笑う。ふくふくしていて、そこに居るだけで癒しを与えそうなお爺さんだ。女子供とじいさんだけで大丈夫かと思ったが、この人らはここでの生活が日常なのを思い出す。俺たちが思うより、たくましいのだろう。
「俺が残るから、アルは行って来たらどうだ。洗濯ものくらい俺でもたためる」
「えっ、それはさすがに」
「もー、良いから。二人で残ってて! おもてなしできなくてごめんなさいね、じゃ、みんな行きましょう」
マリーさんは昔と変わらぬ笑顔で、子供たちに呼びかける。
大きな声で返事をした子供たちを率いて、二人は教会から離れる。みんなで元気よく手を振るものだから、俺も返さないといけないような気分になって小さく手を振った。
相変わらず、ここの子供は元気がいい。
「報酬がお菓子なら、俺のこれ、要らなかったか?」
「無いよりある方がいいだろ」
「だよな、中入ろうか」
荷物を抱え直し、アルが教会のドアを開く。
久しぶりの教会内部は、時が止まったみたいに昔となんら変わりない。ステンドグラスが陽の光を受けて鮮やかな色彩を教会内に零し、非日常感を与えている。
古い木の床を踏みしめて、教会の前方、祭壇の方へ向かう。これは俺の意思というより、アルが歩いていくのについていっただけだ。
今日のアルはどうにもぼんやりしている。元気がない、という感じでもないが、妙だ。
「アル、もしや懺悔室に用があったりするのか」
「なんでそうなるんだ」
「いや、なんとなく。様子がおかしいから」
アルが首を横に振って否定する。
じゃあなんだ。俺ははっきりしない態度というのが一番苦手なんだ。言うまで待つだなんて気長なことをできるタイプではない。
何かあるなら教えてほしい。俺は前世の記憶があるだなんて、聞く人が聞いたら笑うようなことをお前に打ち明けたんだぞ。お前も恥ずかしい秘密の一つや二つ言ってこい。
恐らく俺のこういった感情は、すべて顔に出ていることだろう。アルが俺の方を見て、苦笑いしている。
「あのさ、ユーリと初めて会ってから今日までで、ユーリを嫌いになったことはないんだ」
「知ってる」
「会った頃からユーリがだんだん変わっていって、心配したことはある」
アーヴィンに来た当初の俺は、なんと弱気子供だったのだろう。いろんなものに怯えていた。それがどんどん捻じれ、誰にでも態度の悪い少年となり、今や後戻りできないところに来てしまった。俺の最初を知っているなら、確かに心配にはなるだろうな。
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「つまり、その前の俺には不満があった、ということか」
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あれとかかこれとかそれとかだな、思い当たる節がありすぎて頭が痛い。十代特有の謎の無敵感でやりたい放題していたかも、穴があったら入りたい。
「も、申し訳、ございません、でした」
「謝らないで良いってば」
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手の大きさも、声の高さも何もかも違う。成長とはこういうことをいうのだろう。俺もまだまだ伸びしろはある。
「怖かった時期のユーリも、なんだかんだ俺の我儘を聞いてくれてた。だから、心の奥の方はきっとあの頃のままなんだって信じてた」
「お前がわがままを言ったことがあったか?」
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感謝されることに罪悪感を覚えるのだが、口にするのも勇気がいる。わざわざ喧嘩の火種になりそうなことを言う必要はあるのだろうか。
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「だって! ヴィルさんは昔からユーリへの対応がおかしいだろ」
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お前もそう思うか、俺も思う。俺のファーストキスがあいつだったというのは黙っておこう。ノーカンだあんなの、認めてはいけない。
「で? 話の流れ的に二人は関係ないように思えるが?」
「無いような、あるような」
どっちだ。昔の俺の話からヴィルはまだ分かる。クロエは分からない。
俺が目を側めると、アルは口をもごもごと動かした。
「クロエも、俺はクロエのこと大好きだよ。だけど、あの」
「なんだはっきり言え」
「頬に、口づけを」
「な……! だからあれは!」
「分かってる! その後、クロエが……」
クロエがなんだよ。うわぁ、耐えられないはっきり言え燃やすぞ。短気は損気だ耐えろ俺。
沈黙の時間が永遠のようだ。視線をステンドグラスに向けて気を紛らわす。世界樹や女神、天使をイメージしたのだろうそれらを目で追って、再びアルに戻す。
「あの、ごめん」
「俺は気が短い」
「はい」
一度しょんぼり肩を落としたかと思うと、アルはゆっくり深呼吸をする。そして背筋を伸ばしきりっとした表情を作ると、俺の名を呼んだ。
「好きなんだ。ユーリが」
「……はあ?」
俺が好き、クロエの事も大好きって言ってたよな。そういうあれだよな。
心臓が急に早く動き出した。嫌な汗が背中を伝う。だって、おかしくないか?
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