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6(ジーエン目線)
私の愛しい人。
その名はアーレイ。
出会ってもうどれくらい経つだろう。
この世界で唯一、本気で守りたいと思った人。
只々可愛くて、一生懸命で、不器用で。
その存在自体が私にとっては本当に女神だ。
そんな彼女とようやく結ばれようとしている。
思いが激しすぎて、言葉も出てこなかった。
結婚できることが、只嬉しかった。
訳あって今までは思いを伝えることが出来なかった。
ーー彼女に好きだと伝えたい。
ーー彼女に愛していると伝えたい。
これからたくさん彼女に愛を伝えよう。
そう思った瞬間。
神様の私に対して、またしても神様は試練を与えるのか?
この世の神様は一体何をしているのだろう。
彼女が久々に霊伝してくれて嬉しかった。
彼女の声が聞きたかった。
聞いただけで気持ちが熱くたぎった。
私の存在を忘れていなかった。
そのことが嬉しかった。
彼女の中に、私がいる。
それだけで嬉しかった。
なのに、なのにーーーー。
私は彼女を守れなかった。
この天界は、つくづく彼女に厳しいようだ。
あっという間の出来事だった。
門番は、霊術で動きを封じられていた。
その影から現れた女性。
天帝と天后の娘、イルス。
アーレイと同じ年齢の見た目は本当に普通の女の子だ。天帝譲りの金色の髪は緩やかにカーブがかかり、上品さを醸し出しているかと思えば、天后譲りの切れ長な茶色の瞳は、底知れない闇と欲望が見てとれる。
聞き取れるかどうか程の声量だった。
「あんたなんか死んじゃえ……」
アーレイに向けて躊躇うことすらなくナイフを突き刺した。
ーーーどうしてそれほどの憎しみを、私の愛しい人に向けるのか?
いきなり横から現れたイルスが、私の右側少し後ろにいたアーレイの肩にナイフを突き刺さしたのだ。
普段の状況だったらもう少し気配を感じることが出来たかも知れない。迂闊だった。
ナイフが刺さったことを確認すると、イルスはニヤリと口角を上げた。
「ーーあの人だけは、渡さないっ」
あまりにあっけなくて、動けなかった。
元から急所を狙うつもりはなかったのか?
アーレイの右肩から鮮血が流れ落ちるのをただ、見ているだけだった。
嫌、違う。
目的が違うのだ。
みるみるうちにアーレイの顔から血の気が引いていく。
ーー毒だ!
すぐに理解できた。
ムーパにイルスは任せ、私はすぐに意識を失くしたアーレイを横抱きにすると天界の門をくぐった。
彼女は空気のように軽くて、柔らかだった。
(アーレイがイルスにナイフでやられました。すみません。ムーパとイルスがまだこちらで小競り合いを。おそらく刃に毒が塗られていたようでこれから東で解毒します。そっちが終わったら東に集合しましょう)
何とももどかしい状況だが優先すべきは、アーレイだ。
まだ天堂にいる二人に手短に伝える。
(もうじき片付く。アーレイを頼んだ!)
ウエイは盾、リンセイは剣を霊術で作り、何とか襲撃をかわしていた。おそらく、急にこの謁見が決まったためだろう。計画自体はかなり杜撰とも取れる内容だったが、場所と人数的に最悪だった。
それでも、一刻も早く決着をつけて立ち去らねばならない。
(未来の夫ですからね。それは当たり前でしょう?お二人共)
そこには三人で未来の妻を守り抜く固い意志がある。
ーーアーレイ。
(私はまだ愛しい貴方に何も伝えていないのですから……)
そう祈りながら東の国へ急ぐ。
天界では天后一派の息がかかっていて解毒作業が難しい。
移動しながら、アーレイの母であるマーリにも霊伝を送る。
実は先ほどマーリからも天堂から直接、東の国に皆で来るよう連絡をもらったばかりだった。何か話があるようだった。
ーー時間がない。早く解毒しなければ。
ナイフで急所を狙わず、毒を体内に入れる行為を優先したのは、何か目的があったからだろう。
今のところ、臭いからはどんな毒かは判明出来なかった。珍しい毒の可能性もある。
(時間稼ぎ?それともーー。)
遅効性の毒でゆっくりと死に至らしめる。
はたまた、アーレイに子供を産ませないようにしたかった、とか?。
このタイミングを考えるとどれも根拠に足りる。
ーーーあの母娘は絶対に許さない。
ジーエンは、アーレイを抱く手に力を込めた。
その名はアーレイ。
出会ってもうどれくらい経つだろう。
この世界で唯一、本気で守りたいと思った人。
只々可愛くて、一生懸命で、不器用で。
その存在自体が私にとっては本当に女神だ。
そんな彼女とようやく結ばれようとしている。
思いが激しすぎて、言葉も出てこなかった。
結婚できることが、只嬉しかった。
訳あって今までは思いを伝えることが出来なかった。
ーー彼女に好きだと伝えたい。
ーー彼女に愛していると伝えたい。
これからたくさん彼女に愛を伝えよう。
そう思った瞬間。
神様の私に対して、またしても神様は試練を与えるのか?
この世の神様は一体何をしているのだろう。
彼女が久々に霊伝してくれて嬉しかった。
彼女の声が聞きたかった。
聞いただけで気持ちが熱くたぎった。
私の存在を忘れていなかった。
そのことが嬉しかった。
彼女の中に、私がいる。
それだけで嬉しかった。
なのに、なのにーーーー。
私は彼女を守れなかった。
この天界は、つくづく彼女に厳しいようだ。
あっという間の出来事だった。
門番は、霊術で動きを封じられていた。
その影から現れた女性。
天帝と天后の娘、イルス。
アーレイと同じ年齢の見た目は本当に普通の女の子だ。天帝譲りの金色の髪は緩やかにカーブがかかり、上品さを醸し出しているかと思えば、天后譲りの切れ長な茶色の瞳は、底知れない闇と欲望が見てとれる。
聞き取れるかどうか程の声量だった。
「あんたなんか死んじゃえ……」
アーレイに向けて躊躇うことすらなくナイフを突き刺した。
ーーーどうしてそれほどの憎しみを、私の愛しい人に向けるのか?
いきなり横から現れたイルスが、私の右側少し後ろにいたアーレイの肩にナイフを突き刺さしたのだ。
普段の状況だったらもう少し気配を感じることが出来たかも知れない。迂闊だった。
ナイフが刺さったことを確認すると、イルスはニヤリと口角を上げた。
「ーーあの人だけは、渡さないっ」
あまりにあっけなくて、動けなかった。
元から急所を狙うつもりはなかったのか?
アーレイの右肩から鮮血が流れ落ちるのをただ、見ているだけだった。
嫌、違う。
目的が違うのだ。
みるみるうちにアーレイの顔から血の気が引いていく。
ーー毒だ!
すぐに理解できた。
ムーパにイルスは任せ、私はすぐに意識を失くしたアーレイを横抱きにすると天界の門をくぐった。
彼女は空気のように軽くて、柔らかだった。
(アーレイがイルスにナイフでやられました。すみません。ムーパとイルスがまだこちらで小競り合いを。おそらく刃に毒が塗られていたようでこれから東で解毒します。そっちが終わったら東に集合しましょう)
何とももどかしい状況だが優先すべきは、アーレイだ。
まだ天堂にいる二人に手短に伝える。
(もうじき片付く。アーレイを頼んだ!)
ウエイは盾、リンセイは剣を霊術で作り、何とか襲撃をかわしていた。おそらく、急にこの謁見が決まったためだろう。計画自体はかなり杜撰とも取れる内容だったが、場所と人数的に最悪だった。
それでも、一刻も早く決着をつけて立ち去らねばならない。
(未来の夫ですからね。それは当たり前でしょう?お二人共)
そこには三人で未来の妻を守り抜く固い意志がある。
ーーアーレイ。
(私はまだ愛しい貴方に何も伝えていないのですから……)
そう祈りながら東の国へ急ぐ。
天界では天后一派の息がかかっていて解毒作業が難しい。
移動しながら、アーレイの母であるマーリにも霊伝を送る。
実は先ほどマーリからも天堂から直接、東の国に皆で来るよう連絡をもらったばかりだった。何か話があるようだった。
ーー時間がない。早く解毒しなければ。
ナイフで急所を狙わず、毒を体内に入れる行為を優先したのは、何か目的があったからだろう。
今のところ、臭いからはどんな毒かは判明出来なかった。珍しい毒の可能性もある。
(時間稼ぎ?それともーー。)
遅効性の毒でゆっくりと死に至らしめる。
はたまた、アーレイに子供を産ませないようにしたかった、とか?。
このタイミングを考えるとどれも根拠に足りる。
ーーーあの母娘は絶対に許さない。
ジーエンは、アーレイを抱く手に力を込めた。
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