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扉をノックする音でアーレイはびくんと足を引っ込める。
「アーレイ、入るよ」
ウエイの声がさらにアーレイの羞恥心を掻き立てる。
「ど、どうぞ!」
(ち、違う!どうぞじゃなかった!)
アーレイは咄嗟に元の上半身だけ起こした姿勢に戻ると、何を思ったか布団を頭から被った。
扉が開く音がし、三人の足音が近づく。
すると、突飛な行動をしているアーレイの姿に三人は釘付けになる。
「ミルラ、アーレイはどうしたんだい?」
ミルラがクスクス笑いながら、布団を軽く叩く。
「アーレイ様、未来の旦那さまがいらっしゃいましたよ」
(ひぇー!逃げ場なしじゃない?み、未来の旦那様って!)
「アーレイ様?」
ミルラが二度目に呼びかけると同時に布団をはがそうと手をかる。
「ミ、ミルラ!」
布団を捲られまいとアーレイがささやかな抵抗を試みるも、最後はリンセイが布団を捲ろうとベッドの縁に浅く腰かける。布団が重みで沈むのが分かった。
「アーレイ?」
反対側のベッドの縁にはジーエンが腰かける。
(か、囲まれた!)
「わ、私。あのちょっと。先にお母様と話をしたくて……」
「話をしたくて?未来の旦那様にはその可愛い顔を見せてくれないのかい?」
「ジ、ジーエン!」
ジーエンが布団を引っ張ると、アーレイも意地でも捲られるものかと、引っ張りかえす。
「そんなに私たちの顔を見たくないのですか?我が愛しの未来の妻」
「つ、妻っ?!」
(妻っ?!ってその響きは凄まじい破壊力っ!)
「い、いま、目覚めたばかりで少し混乱してて。みんな、やっぱりちょっと出て行って!」
「なら、私にアーレイの体調を見せてもらませんか?ほら、脈を診るだけですから」
アーレイは観念したかのようにジーエンに左手を差し出す。ジーエンは、アーレイの手首を指で器用に押さえながら脈を診る。
「アーレイ、何だか脈が乱れていますよ?」
ジーエンも一緒に楽しんでいる。
「そ、それはちょっと」
アーレイは手首をグイッと引っ込める。
「ちょっと?」
アーレイをからかうジーエンを見て、リンセイがコホン、と軽く咳払いをし助け船を出す。
「アーレイが困っているから、それくらいにしろよ」
「リンセイは手厳しいなあ」
ジーエンは、よしよしと布団の上からアーレイをなでた。
「で、アーレイ。いつその可愛い顔を未来の旦那様に見せてくれるんだ?」
「ウエイまで!もー。私、心配してたんだよ?みんなが無事かって」
声を聞けば三人が元気であることは明白だった。
何だか自分の部屋なのに、アウェイな感じが否めない。
「三人とも無事だぜ?結婚式まだなのに死ぬわけないだろ?なあ?」
ウエイの呼びかけに三人とも当然とばかりに頷く。
「死ぬって、ウエイ、脅かさないでよ!私は、あの、その。未来の夫が三人で、それもみんななんて。えっと、考えただけで恥ずかしくなってきて……」
あー!もうどうした、私?
何を言ってる?
今は話よりこの恥ずかしい状況を脱出するのが先!
「恥ずかしいって何で?俺らじゃ不満?」
「ち、違うの!ウエイ。だって、普通は夫は一人だって思うでしょ?何で急に三人なの?私、理解が全然追い付かなくて。だから、先にお母様と話をしたくて……」
だんだんとアーレイの声がか細くなり、懇願しているのがひしひしと伝わってくる。
「なら、アーレイ。こうしませんか?私たちは、アーレイの元気な姿を確認したら一旦先ほどの貴賓室に戻ります。その間にマーリ様に会って下さい。私たちはどのみちすぐには帰りませんから。用事が終わったらまた会いに来ます。どうでしょう?」
ジーエンの提案に二人は頷き、アーレイの出方を見守る。
「わ、私はジーエンのおかげてほら、元気よ?」
恐る恐る布団から顔を少しずつ出す。
三人はアーレイの耳や頬が上気し赤みを帯びているのを見逃さない。
「ははっ。照れてるアーレイも可愛いな!」
「ウエイ!」
照れ隠しに、枕を投げるもかわされる。
「リンセイ、もう二人を何とかしてーっ。早く連れ出してー。」
アーレイは上目遣いで何とか訴える。
「本当にアーレイは、三人の使い方が上手いな」
ぶつぶつ言うリンセイが、二人に退室を促していると、また部屋の扉がノックされた。
「アーレイ、入るよ」
ウエイの声がさらにアーレイの羞恥心を掻き立てる。
「ど、どうぞ!」
(ち、違う!どうぞじゃなかった!)
アーレイは咄嗟に元の上半身だけ起こした姿勢に戻ると、何を思ったか布団を頭から被った。
扉が開く音がし、三人の足音が近づく。
すると、突飛な行動をしているアーレイの姿に三人は釘付けになる。
「ミルラ、アーレイはどうしたんだい?」
ミルラがクスクス笑いながら、布団を軽く叩く。
「アーレイ様、未来の旦那さまがいらっしゃいましたよ」
(ひぇー!逃げ場なしじゃない?み、未来の旦那様って!)
「アーレイ様?」
ミルラが二度目に呼びかけると同時に布団をはがそうと手をかる。
「ミ、ミルラ!」
布団を捲られまいとアーレイがささやかな抵抗を試みるも、最後はリンセイが布団を捲ろうとベッドの縁に浅く腰かける。布団が重みで沈むのが分かった。
「アーレイ?」
反対側のベッドの縁にはジーエンが腰かける。
(か、囲まれた!)
「わ、私。あのちょっと。先にお母様と話をしたくて……」
「話をしたくて?未来の旦那様にはその可愛い顔を見せてくれないのかい?」
「ジ、ジーエン!」
ジーエンが布団を引っ張ると、アーレイも意地でも捲られるものかと、引っ張りかえす。
「そんなに私たちの顔を見たくないのですか?我が愛しの未来の妻」
「つ、妻っ?!」
(妻っ?!ってその響きは凄まじい破壊力っ!)
「い、いま、目覚めたばかりで少し混乱してて。みんな、やっぱりちょっと出て行って!」
「なら、私にアーレイの体調を見せてもらませんか?ほら、脈を診るだけですから」
アーレイは観念したかのようにジーエンに左手を差し出す。ジーエンは、アーレイの手首を指で器用に押さえながら脈を診る。
「アーレイ、何だか脈が乱れていますよ?」
ジーエンも一緒に楽しんでいる。
「そ、それはちょっと」
アーレイは手首をグイッと引っ込める。
「ちょっと?」
アーレイをからかうジーエンを見て、リンセイがコホン、と軽く咳払いをし助け船を出す。
「アーレイが困っているから、それくらいにしろよ」
「リンセイは手厳しいなあ」
ジーエンは、よしよしと布団の上からアーレイをなでた。
「で、アーレイ。いつその可愛い顔を未来の旦那様に見せてくれるんだ?」
「ウエイまで!もー。私、心配してたんだよ?みんなが無事かって」
声を聞けば三人が元気であることは明白だった。
何だか自分の部屋なのに、アウェイな感じが否めない。
「三人とも無事だぜ?結婚式まだなのに死ぬわけないだろ?なあ?」
ウエイの呼びかけに三人とも当然とばかりに頷く。
「死ぬって、ウエイ、脅かさないでよ!私は、あの、その。未来の夫が三人で、それもみんななんて。えっと、考えただけで恥ずかしくなってきて……」
あー!もうどうした、私?
何を言ってる?
今は話よりこの恥ずかしい状況を脱出するのが先!
「恥ずかしいって何で?俺らじゃ不満?」
「ち、違うの!ウエイ。だって、普通は夫は一人だって思うでしょ?何で急に三人なの?私、理解が全然追い付かなくて。だから、先にお母様と話をしたくて……」
だんだんとアーレイの声がか細くなり、懇願しているのがひしひしと伝わってくる。
「なら、アーレイ。こうしませんか?私たちは、アーレイの元気な姿を確認したら一旦先ほどの貴賓室に戻ります。その間にマーリ様に会って下さい。私たちはどのみちすぐには帰りませんから。用事が終わったらまた会いに来ます。どうでしょう?」
ジーエンの提案に二人は頷き、アーレイの出方を見守る。
「わ、私はジーエンのおかげてほら、元気よ?」
恐る恐る布団から顔を少しずつ出す。
三人はアーレイの耳や頬が上気し赤みを帯びているのを見逃さない。
「ははっ。照れてるアーレイも可愛いな!」
「ウエイ!」
照れ隠しに、枕を投げるもかわされる。
「リンセイ、もう二人を何とかしてーっ。早く連れ出してー。」
アーレイは上目遣いで何とか訴える。
「本当にアーレイは、三人の使い方が上手いな」
ぶつぶつ言うリンセイが、二人に退室を促していると、また部屋の扉がノックされた。
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