14 / 41
14
何だか胸騒ぎしかしない。
たぶん、予感ではなく、正解だろう。たぶん。
(ふぃぃ――――)
アーレイは、両親の私室の前でこれから起こるであろうことを少し推測していた。
正直なところ、母親であるマーリは、母親だけれどもいつも女神で、だからこそいつもその発想と行動が斜め上をいく。
今回の夫三人事件(もう、私の中では事件認定!)も、周りの反応を見る限りは、知らないのは自分だけ、という感じがしている。
(きっとお母様のことだから、『あら?言ってなかったかしら?うふふっ』とかケロっと言って、本当は意図的に隠してる、とか何だろうけどっ)
母親のことは大抵お見通し、なのである。
(それに、さっきの三人の様子からしても、まーだ何か隠してる気がするし!)
いざ、対面前に覚悟を決めるしかない。
複雑な感情をもて余しながら、扉をノックしようとしたその時だった。
肩をぽんと叩かれ、不意打ちをくらう。
「よ、久しぶりだな。俺も呼ばれた」
「え?兄様『も』呼ばれたの?」
久しぶりの姿が私の瞳の奥で大きくなった。
兄であり、現在東の国で王太子を務めるライナスが茶目っ気たっぷりな表情を浮かべている。
ライナスは二年前に結婚し、既に男子も誕生している。いつも何を考えているのか良くわかない飄々としたイメージを与える長身の美青年だが、母親譲りなのかしたたかな策士な一面も持ち合わせている。次期国王として申し分ない、というのが世間の評判だ。
(な、何だか嬉しそうな?違う、違う!何か含みのある感じ?)
「お告げ、出たんだって?旦那が三人かぁ……」
ニヤリと笑いながら、いろいろ聞かせろ、と言わんばかりに肘で小突いてくる。
「もー!その話題?」
「いま、天界じゃあその話題で持ちきり」
「何それ!もうみんな知ってるの?」
(あー、本当に何だかもう!恥ずかしいったら)
「そんなに照れんなよ。母上の時は五人だったらしいからな」
思わぬところから、思わぬ話が飛び込んできて、アーレイは一瞬意味が良く分からなかった。
「ご、ごにん??」
お前、知らなかったの?と言わんばかりの口振りにアーレイが全力で首を左右に振る。
扉の前で会話していたのが聞こえたのだろう。侍女が絶妙なタイミングで扉を開け、二人に中へと促す。
アーレイはもうあれこれ考えても仕方ないと諦め、直接母に聞く決心を改めてした。
侍女に案内されたその先には、思いがけず国王である父親ヨハンの姿も有った。
二人は、よくお茶をするテーブルに隣り合わせで座っていた。紅茶の湯気がうっすら見える。
二人は両親と向かい合う形で着席した。
「アーレイ、ちょうど様子を見に行こうと思って、ヨハンと話をしていたの。いろいろ話もあるし、ライナスにも重大な話があるし。だから、一緒に話を聞いてもらえないかしら?」
このお母様のお願い、はいつもお願いではなく、命令に近いことも兄妹は十二分過ぎるほど知っている。沈黙しながらも、お母様は肯定、と受けとったのか話を続けた。
「アーレイは見たところ、大分回復したようで良かった。ジーエンのおかげだな。解毒も彼がいればも問題ないと思うが、念のため要心するんだよ」
いつ見ても優しい笑顔に癒される。
国王であり、父親であるヨハンは本当に家族思いの素敵な人物なのだ。
(いつもお母様に振り回されて可哀想だけどっ)
「お父様、もちろんです」
何かあればもちろんジーエンに相談するつもりだし、ジーエン以外に相談できる人も少ない。
お父様はホッとした表情を浮かべ、お母様に視線を投げかた。この夫婦の力関係は言わずもがな、である。
「あの、お母様。縁者石のお告げのことなのですが……」
私は恐る恐る切り出してみた。
「天界から霊伝書も届いたわ。まず、アーレイちゃん、本当におめでとう!わたくし、本当に嬉しいの。あなたをあんなに愛してくれる三人と結ばれることに感謝しかないわ。気になるのは、なぜ夫が三人かということよね?」
私は素直にこくんと頷く。
その裏では、あの三人私のこと好きだったの?!なぜそれをお母様が知ってるの?!と疑問が次々に湧いてくる。
「わたくしのお告げはね、夫は五人だったわ。五人よ?でも、今は夫がヨハン一人でしょ?不思議に思うと思うわ。この話はライナスも初めてかしら?」
兄様が初めて詳細は伺います、と伝えるとお母様が話はじめた。
たぶん、予感ではなく、正解だろう。たぶん。
(ふぃぃ――――)
アーレイは、両親の私室の前でこれから起こるであろうことを少し推測していた。
正直なところ、母親であるマーリは、母親だけれどもいつも女神で、だからこそいつもその発想と行動が斜め上をいく。
今回の夫三人事件(もう、私の中では事件認定!)も、周りの反応を見る限りは、知らないのは自分だけ、という感じがしている。
(きっとお母様のことだから、『あら?言ってなかったかしら?うふふっ』とかケロっと言って、本当は意図的に隠してる、とか何だろうけどっ)
母親のことは大抵お見通し、なのである。
(それに、さっきの三人の様子からしても、まーだ何か隠してる気がするし!)
いざ、対面前に覚悟を決めるしかない。
複雑な感情をもて余しながら、扉をノックしようとしたその時だった。
肩をぽんと叩かれ、不意打ちをくらう。
「よ、久しぶりだな。俺も呼ばれた」
「え?兄様『も』呼ばれたの?」
久しぶりの姿が私の瞳の奥で大きくなった。
兄であり、現在東の国で王太子を務めるライナスが茶目っ気たっぷりな表情を浮かべている。
ライナスは二年前に結婚し、既に男子も誕生している。いつも何を考えているのか良くわかない飄々としたイメージを与える長身の美青年だが、母親譲りなのかしたたかな策士な一面も持ち合わせている。次期国王として申し分ない、というのが世間の評判だ。
(な、何だか嬉しそうな?違う、違う!何か含みのある感じ?)
「お告げ、出たんだって?旦那が三人かぁ……」
ニヤリと笑いながら、いろいろ聞かせろ、と言わんばかりに肘で小突いてくる。
「もー!その話題?」
「いま、天界じゃあその話題で持ちきり」
「何それ!もうみんな知ってるの?」
(あー、本当に何だかもう!恥ずかしいったら)
「そんなに照れんなよ。母上の時は五人だったらしいからな」
思わぬところから、思わぬ話が飛び込んできて、アーレイは一瞬意味が良く分からなかった。
「ご、ごにん??」
お前、知らなかったの?と言わんばかりの口振りにアーレイが全力で首を左右に振る。
扉の前で会話していたのが聞こえたのだろう。侍女が絶妙なタイミングで扉を開け、二人に中へと促す。
アーレイはもうあれこれ考えても仕方ないと諦め、直接母に聞く決心を改めてした。
侍女に案内されたその先には、思いがけず国王である父親ヨハンの姿も有った。
二人は、よくお茶をするテーブルに隣り合わせで座っていた。紅茶の湯気がうっすら見える。
二人は両親と向かい合う形で着席した。
「アーレイ、ちょうど様子を見に行こうと思って、ヨハンと話をしていたの。いろいろ話もあるし、ライナスにも重大な話があるし。だから、一緒に話を聞いてもらえないかしら?」
このお母様のお願い、はいつもお願いではなく、命令に近いことも兄妹は十二分過ぎるほど知っている。沈黙しながらも、お母様は肯定、と受けとったのか話を続けた。
「アーレイは見たところ、大分回復したようで良かった。ジーエンのおかげだな。解毒も彼がいればも問題ないと思うが、念のため要心するんだよ」
いつ見ても優しい笑顔に癒される。
国王であり、父親であるヨハンは本当に家族思いの素敵な人物なのだ。
(いつもお母様に振り回されて可哀想だけどっ)
「お父様、もちろんです」
何かあればもちろんジーエンに相談するつもりだし、ジーエン以外に相談できる人も少ない。
お父様はホッとした表情を浮かべ、お母様に視線を投げかた。この夫婦の力関係は言わずもがな、である。
「あの、お母様。縁者石のお告げのことなのですが……」
私は恐る恐る切り出してみた。
「天界から霊伝書も届いたわ。まず、アーレイちゃん、本当におめでとう!わたくし、本当に嬉しいの。あなたをあんなに愛してくれる三人と結ばれることに感謝しかないわ。気になるのは、なぜ夫が三人かということよね?」
私は素直にこくんと頷く。
その裏では、あの三人私のこと好きだったの?!なぜそれをお母様が知ってるの?!と疑問が次々に湧いてくる。
「わたくしのお告げはね、夫は五人だったわ。五人よ?でも、今は夫がヨハン一人でしょ?不思議に思うと思うわ。この話はライナスも初めてかしら?」
兄様が初めて詳細は伺います、と伝えるとお母様が話はじめた。
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーレムです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。
真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。
狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。
私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。
なんとか生きてる。
でも、この世界で、私は最低辺の弱者。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。