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「歴代の大地の女神は、その存在価値から一妻多夫制が取られてきたの。いろいろな神仙と大地の女神でいろいろな子孫を残す意味合いもあったと思うし、単純に大地の女神を守る能力のある神仙が選ばれてきた、とも言えるわ。でも、わたくしの代になると、お告げが出てから結婚式までの間に、その中から二人が殺されて、あと一人は行方不明になってしまったの。今だに犯人は不明。わたくしは、天后を疑ったけど……」
お母様が淡々と当時を振り返りながら話をしてくれことが、段々と現実に今起こっていることと重なってくる。
――――今さらだけど、本当に命懸け、なんだ。
結婚式を幸せに挙げることしか考えていなかった浅はかな自分を悔いたい。
(三人も、ううん。私だって無事に結婚できるかすらわからないんだーー)
自然と途方もない不安と、未知への恐怖が押し寄せてくる。
(ああ、だからお母様は私に一妻多夫制度のことを隠したかったのね……)
お母様にとっては恐らく悲しい思い出しかないだろう。縁者石のお告げを無視し、最終的には天后であるイザベラと交渉しなければならなかったこと。
今だに犯人すら見つかっていないのだ。
(そして、お母様が話をしたくなかったのは、お母様の中ではまだ終わってないから、なんだろうなぁ)
いつも女神として凛々しく、強くあろうと本音すら見せないお母様。あの妖艶な笑顔にはきっと仮面の役割があるのだろう。
「あと、今回の結婚式は三ヶ月後でしょう?珍しく付帯条件があって『天界樹を守る者を探しだし、加護をもらうこと』でしょう?よっぽどこの結婚に必要なことだと思うの。そこでね、私とヨハンで話をしたの。」
お母様の口ぶりから何だかとんでもない展開になりそうなことだけは分かる。
「天界樹を守る者で、私たちが思い浮かぶのは、あとにも先にも彼だけなんだ」
お父様とお母様は共通の人物に関して、話をしているようだ。
「そうね。今回のお告げは、わたくしたちのお告げと繋がってる気がするのよ。だから、ね?突然なんだけど、アーレイちゃんが結婚するタイミングで、ライナスに国王になってもらうことにしたの。更に言うならば、今から国王代理になってもらう。」
いきなりの重大発表に、隣に座る兄上は固まったままだ。
いや、無表情と思われつつも内心では慌てふためいているはず。
「ーー今回のアーレイの結婚と国王即位はどう関係があるのでしょう?」
兄上がようやく口を開いた。何だかとてつもなく長い時間を要した気がする。
「わたくしたちは、あなたたちに未来を繋ぐためには、過去に決着を着けなければならない、と判断したわ。なぜなら、その行方不明になっている人物こそ、天界樹を守るべき唯一無二の存在だったから」
(なるほど。そういうこと)
「今から探す、と?」
ライナスは少々不満げにお母様に問いかける。
「今から、と言うよりもうずっと秘密裏に探してるわ。どんなに霊力を探知しようとしても見つからないから実はもう諦めたのよ。でも、今回のお告げを聞いて、彼が生きている可能性が高いと思ってるの」
お母様の話によれば、天界樹を守るべき唯一無二の存在は、お母様の婚約者であり、幼馴染みでもあり、東の国の中でかろうじて残っていた天界樹を守る部族の長だそう。その名はインファン。
天界樹を守り、大地の女神を守ってきた部族は、お母様のお告げが出た直後に、何者かに襲撃されほぼ全滅してしまったのだそう。
その際に当時長だったインファンも行方が分からなくなってしまったそうだ。
「今から天界に国王の交代を通達して、その間に引き継ぎしながら、わたくしたちはインファンの行方を追います。結婚式に間に合わないとアーレイちゃん、結婚出来ないでしょう?ライナスなら、いつ国王になっても大丈夫だし。ねぇ、ヨハン?」
お父様も同意見のようで、まったく揺るぎがない表情を浮かべている。
「・・・では、いずれにせよ国王には即位しなければならないので、早まった、という認識で動きます」
もうすでに決定事項であり、反論の余地はなさそうと、兄様も諦めたのだろうか。私はちらりと兄様の表情を伺う。
(相変わらずの無表情って!)
私は新国王即位にもちろん異論も反論もないし、その上、天界樹を守る部族の存在も初めて知った。
(ああ、私ってば知らないことがたくさん。それにしても、天界樹にはちゃんと守る部族がいたのね。確かに今護衛の兵がいるけど、やっぱり違うんだろうなぁ。インファンさんに会いたいなぁ)
「あと、アーレイちゃん。ここからがあなたのお話」
お母様が珍しくとっても真剣な表情で私をまっすぐと見つめる。
お母様が淡々と当時を振り返りながら話をしてくれことが、段々と現実に今起こっていることと重なってくる。
――――今さらだけど、本当に命懸け、なんだ。
結婚式を幸せに挙げることしか考えていなかった浅はかな自分を悔いたい。
(三人も、ううん。私だって無事に結婚できるかすらわからないんだーー)
自然と途方もない不安と、未知への恐怖が押し寄せてくる。
(ああ、だからお母様は私に一妻多夫制度のことを隠したかったのね……)
お母様にとっては恐らく悲しい思い出しかないだろう。縁者石のお告げを無視し、最終的には天后であるイザベラと交渉しなければならなかったこと。
今だに犯人すら見つかっていないのだ。
(そして、お母様が話をしたくなかったのは、お母様の中ではまだ終わってないから、なんだろうなぁ)
いつも女神として凛々しく、強くあろうと本音すら見せないお母様。あの妖艶な笑顔にはきっと仮面の役割があるのだろう。
「あと、今回の結婚式は三ヶ月後でしょう?珍しく付帯条件があって『天界樹を守る者を探しだし、加護をもらうこと』でしょう?よっぽどこの結婚に必要なことだと思うの。そこでね、私とヨハンで話をしたの。」
お母様の口ぶりから何だかとんでもない展開になりそうなことだけは分かる。
「天界樹を守る者で、私たちが思い浮かぶのは、あとにも先にも彼だけなんだ」
お父様とお母様は共通の人物に関して、話をしているようだ。
「そうね。今回のお告げは、わたくしたちのお告げと繋がってる気がするのよ。だから、ね?突然なんだけど、アーレイちゃんが結婚するタイミングで、ライナスに国王になってもらうことにしたの。更に言うならば、今から国王代理になってもらう。」
いきなりの重大発表に、隣に座る兄上は固まったままだ。
いや、無表情と思われつつも内心では慌てふためいているはず。
「ーー今回のアーレイの結婚と国王即位はどう関係があるのでしょう?」
兄上がようやく口を開いた。何だかとてつもなく長い時間を要した気がする。
「わたくしたちは、あなたたちに未来を繋ぐためには、過去に決着を着けなければならない、と判断したわ。なぜなら、その行方不明になっている人物こそ、天界樹を守るべき唯一無二の存在だったから」
(なるほど。そういうこと)
「今から探す、と?」
ライナスは少々不満げにお母様に問いかける。
「今から、と言うよりもうずっと秘密裏に探してるわ。どんなに霊力を探知しようとしても見つからないから実はもう諦めたのよ。でも、今回のお告げを聞いて、彼が生きている可能性が高いと思ってるの」
お母様の話によれば、天界樹を守るべき唯一無二の存在は、お母様の婚約者であり、幼馴染みでもあり、東の国の中でかろうじて残っていた天界樹を守る部族の長だそう。その名はインファン。
天界樹を守り、大地の女神を守ってきた部族は、お母様のお告げが出た直後に、何者かに襲撃されほぼ全滅してしまったのだそう。
その際に当時長だったインファンも行方が分からなくなってしまったそうだ。
「今から天界に国王の交代を通達して、その間に引き継ぎしながら、わたくしたちはインファンの行方を追います。結婚式に間に合わないとアーレイちゃん、結婚出来ないでしょう?ライナスなら、いつ国王になっても大丈夫だし。ねぇ、ヨハン?」
お父様も同意見のようで、まったく揺るぎがない表情を浮かべている。
「・・・では、いずれにせよ国王には即位しなければならないので、早まった、という認識で動きます」
もうすでに決定事項であり、反論の余地はなさそうと、兄様も諦めたのだろうか。私はちらりと兄様の表情を伺う。
(相変わらずの無表情って!)
私は新国王即位にもちろん異論も反論もないし、その上、天界樹を守る部族の存在も初めて知った。
(ああ、私ってば知らないことがたくさん。それにしても、天界樹にはちゃんと守る部族がいたのね。確かに今護衛の兵がいるけど、やっぱり違うんだろうなぁ。インファンさんに会いたいなぁ)
「あと、アーレイちゃん。ここからがあなたのお話」
お母様が珍しくとっても真剣な表情で私をまっすぐと見つめる。
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