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転移門と転移術を使って、今回疫病が発生した町までやってきた。
ちょうど天界樹の南あたりにある町だ。
先に到着していた緑の盾の救護班と合流し、早速リュウイが説明を受けている。
しばらく時間がかかりそうだったので、その間私とウエイは少し町の様子を見に行くことにした。
「リュウイ、ウエイと少しこの辺りの様子を見てくるね!」
リュウイが頭を下げて見送ってくれた。
(リュウイもこう見ると、いい男よね!)
巷にいうところの『超優良物件』。
リュウイのことを侍女たちがそう話しているのを度々耳にしていた。今まではそういった話に全く興味がなく流していたけど、感情解放後は積極的に感情と向きあうことにした結果、なるほど。
ようやく侍女たちのトキメキ感が少しだけど分かったような気がした。
(女神?王女の側近で、腕も立つし、見た目も麗しい。緑の盾のトップだしね。王子は雲の上でも、リュウイなら身近な王子様よね、うふふっ)
アーレイは笑顔で手を振った。
「何、喜んでるんだ?」
ウエイがアーレイの横にぴったりと寄り添いながら歩き始めた。
「う?何でもないよ。リュウイのこと。侍女たちが超優良物件と言ってた意味がようやく分かった気がしたから、単に嬉しかったの!」
とても弾んだ表情をしているアーレイを怪訝そうに見ている。
「……未来の夫の前で他の男の話するか?普通」
「何それー?ウエイなんていつもいろんな女の子連れているじゃん!他の男ってリュウイだしっ。」
アーレイは少し頬を膨らませ、ウエイに抗議を示し、ウエイから逃れるように駆け出した。
町は見たところ特に治安が悪化している様子もなく、静かな町並みが続いていた。
アーレイに気がついた人たちが時折会釈して通りすぎていく。
「リュウイのおかげね。迅速に対応出来て良かった」
アーレイの何気ない一言に、背後にいたウエイがアーレイを後ろから抱きしめる。
「ちょ、ちょっと!」
アーレイは体をよじり、肘に力を込めてウエイのお腹あたりを押すもびくともしない。
「今日は何だがおかしいよ?」
手をつないできたり、後ろから抱きしめたり。
(私と距離を縮めたいから?お母様に言われたから?)
アーレイの中でまだまだお告げも、お母様から言われた一連のことも上手く向き合えていなかった。
特にウエイは、昔から女性関係が派手で何で私と結ばれるのか?理解しがたかった。
私も夫が複数だから、夫が複数の女性と関係を持つのを認めないといけないもの?そう考えると胸が痛んだ。
(それより何より、金色の線自体が、お互いに想いあっていなくても成り立つものなの?)
運命の相手ならば、お互いに相思相愛が当たり前だと思ってたけど。ウエイとはどうなんだろう?
「とにかく、離してよっ」
ウエイはそれに反してまるで嫌だと言うように抱き寄せた腕に力を込める。
「俺は、俺はっ……。どんな想いで……」
アーレイの耳元でウエイが苦しそうに囁いている。
(どんな想いでって?)
アーレイは、腕を振りほどこうと体を捻るがウエイが力を弱めない。
「ねぇ?ウエイ、話をしたいからちょっと力を緩めて?ここだとほら、町のみんなも見てるし。あそこに行こう?」
町の通り道で未婚の男女、それも王子と王女が抱き合うのも問題がある。アーレイが視界に入った森の入り口の休憩所のような場所を指差した。
ウエイがさすがに衆人環視の状況はマズイと思ったのか、アーレイを抱く腕をほどくと、アーレイの手をとり休憩所を目指した。
「ちょ、ちょっと、ちょっと!速いよ!」
前につんのめりそうになりながらウエイについていく。
ウエイに繋がれた指先からは強い意思と微かな熱を感じていた。
(ウ、ウエイ?)
休憩所に着くと急に手を解放された。
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