3 / 61
事件
しおりを挟む
アレクから婚約打診がくるきっかけとなった事件は、今から10年前に起こった。
あれは姉かアレクのどちらかが言い出した。
今となっては思い出せないが、
『冒険に行こう!』
と盛り上がり、アレクの公爵領の森の探検にいくことになった。
探検はそれまでにも何度かしていたし、護衛ももちろんいたから問題ないと判断し、その時も護衛と共に森に冒険に出かけた時だった。
森を堪能した帰り道。
黒ずくめの集団に取り囲まれた。
あっと言う間の出来事だった。
敵は10人。
護衛は5人。
剣の刃を向けられ、もうダメなんじゃないかと思った。
私はあまりの恐怖に動けないでいた。
隣のアレクも姉もどうしたらいいのか分からない、と言う表情で護衛に視線を投げかた。
そうこうしていると、黒づくめの集団の一人がアレクに飛びかかった。
ーー目的はアレクっ!
『坊っちゃま、下がって下さい!』
と言う護衛の声と共に、アレクが下がるが、後ろから別の刃がアレクの左腕を捉えた。
次の瞬間、黒づくめの集団が一斉にアレクに向かって刃を向けて近づいて来た。
『ーー坊っちゃま、ミリアーヌ様、リリアナ様!走って!』
護衛の叫びと共に私たちは無我夢中で一瞬の隙にできたら空間から走り出した。
しかし、まだ子供の足。
そんな速く走れないため、すぐに追っ手が迫ってくる。
「……!あっ!」
アレクが石に躓き転んでしまった。
『危ない!!』
転んだアレクの背後から、追っ手の刃が迫る。
そして、私はその光景を前に自然と身体が動いていた。
「……アレク、逃げて…」
私はアレクに重なるように刃の前に自らの身体を差し出した。
あれは姉かアレクのどちらかが言い出した。
今となっては思い出せないが、
『冒険に行こう!』
と盛り上がり、アレクの公爵領の森の探検にいくことになった。
探検はそれまでにも何度かしていたし、護衛ももちろんいたから問題ないと判断し、その時も護衛と共に森に冒険に出かけた時だった。
森を堪能した帰り道。
黒ずくめの集団に取り囲まれた。
あっと言う間の出来事だった。
敵は10人。
護衛は5人。
剣の刃を向けられ、もうダメなんじゃないかと思った。
私はあまりの恐怖に動けないでいた。
隣のアレクも姉もどうしたらいいのか分からない、と言う表情で護衛に視線を投げかた。
そうこうしていると、黒づくめの集団の一人がアレクに飛びかかった。
ーー目的はアレクっ!
『坊っちゃま、下がって下さい!』
と言う護衛の声と共に、アレクが下がるが、後ろから別の刃がアレクの左腕を捉えた。
次の瞬間、黒づくめの集団が一斉にアレクに向かって刃を向けて近づいて来た。
『ーー坊っちゃま、ミリアーヌ様、リリアナ様!走って!』
護衛の叫びと共に私たちは無我夢中で一瞬の隙にできたら空間から走り出した。
しかし、まだ子供の足。
そんな速く走れないため、すぐに追っ手が迫ってくる。
「……!あっ!」
アレクが石に躓き転んでしまった。
『危ない!!』
転んだアレクの背後から、追っ手の刃が迫る。
そして、私はその光景を前に自然と身体が動いていた。
「……アレク、逃げて…」
私はアレクに重なるように刃の前に自らの身体を差し出した。
85
あなたにおすすめの小説
あなたの言うことが、すべて正しかったです
Mag_Mel
恋愛
「私に愛されるなどと勘違いしないでもらいたい。なにせ君は……そうだな。在庫処分間近の見切り品、というやつなのだから」
名ばかりの政略結婚の初夜、リディアは夫ナーシェン・トラヴィスにそう言い放たれた。しかも彼が愛しているのは、まだ十一歳の少女。彼女が成人する五年後には離縁するつもりだと、当然のように言い放たれる。
絶望と屈辱の中、病に倒れたことをきっかけにリディアは目を覚ます。放漫経営で傾いたトラヴィス商会の惨状を知り、持ち前の商才で立て直しに挑んだのだ。執事長ベネディクトの力を借りた彼女はやがて商会を支える柱となる。
そして、運命の五年後。
リディアに離縁を突きつけられたナーシェンは――かつて自らが吐いた「見切り品」という言葉に相応しい、哀れな姿となっていた。
*小説家になろうでも投稿中です
愛してしまって、ごめんなさい
oro
恋愛
「貴様とは白い結婚を貫く。必要が無い限り、私の前に姿を現すな。」
初夜に言われたその言葉を、私は忠実に守っていました。
けれど私は赦されない人間です。
最期に貴方の視界に写ってしまうなんて。
※全9話。
毎朝7時に更新致します。
わたしのことがお嫌いなら、離縁してください~冷遇された妻は、過小評価されている~
絹乃
恋愛
伯爵夫人のフロレンシアは、夫からもメイドからも使用人以下の扱いを受けていた。どんなに離婚してほしいと夫に訴えても、認めてもらえない。夫は自分の愛人を屋敷に迎え、生まれてくる子供の世話すらもフロレンシアに押しつけようと画策する。地味で目立たないフロレンシアに、どんな価値があるか夫もメイドも知らずに。彼女を正しく理解しているのは騎士団の副団長エミリオと、王女のモニカだけだった。※番外編が別にあります。
旦那様から彼女が身籠る間の妻でいて欲しいと言われたのでそうします。
クロユキ
恋愛
「君には悪いけど、彼女が身籠る間の妻でいて欲しい」
平民育ちのセリーヌは母親と二人で住んでいた。
セリーヌは、毎日花売りをしていた…そんなセリーヌの前に毎日花を買う一人の貴族の男性がセリーヌに求婚した。
結婚後の初夜には夫は部屋には来なかった…屋敷内に夫はいるがセリーヌは会えないまま数日が経っていた。
夫から呼び出されたセリーヌは式を上げて久しぶりに夫の顔を見たが隣には知らない女性が一緒にいた。
セリーヌは、この時初めて夫から聞かされた。
夫には愛人がいた。
愛人が身籠ればセリーヌは離婚を言い渡される…
誤字脱字があります。更新が不定期ですが読んで貰えましたら嬉しいです。
よろしくお願いします。
あなたに未練などありません
風見ゆうみ
恋愛
「本当は前から知っていたんだ。君がキャロをいじめていた事」
初恋であり、ずっと思いを寄せていた婚約者からありえない事を言われ、侯爵令嬢であるわたし、アニエス・ロロアルの頭の中は真っ白になった。
わたしの婚約者はクォント国の第2王子ヘイスト殿下、幼馴染で親友のキャロラインは他の友人達と結託して嘘をつき、私から婚約者を奪おうと考えたようだった。
数日後の王家主催のパーティーでヘイスト殿下に婚約破棄されると知った父は激怒し、元々、わたしを憎んでいた事もあり、婚約破棄後はわたしとの縁を切り、わたしを家から追い出すと告げ、それを承認する書面にサインまでさせられてしまう。
そして、予告通り出席したパーティーで婚約破棄を告げられ絶望していたわたしに、その場で求婚してきたのは、ヘイスト殿下の兄であり病弱だという事で有名なジェレミー王太子殿下だった…。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※中世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
【完結】今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~
コトミ
恋愛
結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。
そしてその飛び出した先で出会った人とは?
(できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)
婚姻契約には愛情は含まれていません。 旦那様には愛人がいるのですから十分でしょう?
すもも
恋愛
伯爵令嬢エーファの最も嫌いなものは善人……そう思っていた。
人を救う事に生き甲斐を感じていた両親が、陥った罠によって借金まみれとなった我が家。
これでは領民が冬を越せない!!
善良で善人で、人に尽くすのが好きな両親は何の迷いもなくこう言った。
『エーファ、君の結婚が決まったんだよ!! 君が嫁ぐなら、お金をくれるそうだ!! 領民のために尽くすのは領主として当然の事。 多くの命が救えるなんて最高の幸福だろう。 それに公爵家に嫁げばお前も幸福になるに違いない。 これは全員が幸福になれる機会なんだ、当然嫁いでくれるよな?』
と……。
そして、夫となる男の屋敷にいたのは……三人の愛人だった。
【完結】大好き、と告白するのはこれを最後にします!
高瀬船
恋愛
侯爵家の嫡男、レオン・アルファストと伯爵家のミュラー・ハドソンは建国から続く由緒ある家柄である。
7歳年上のレオンが大好きで、ミュラーは幼い頃から彼にべったり。ことある事に大好き!と伝え、少女へと成長してからも顔を合わせる度に結婚して!ともはや挨拶のように熱烈に求婚していた。
だけど、いつもいつもレオンはありがとう、と言うだけで承諾も拒絶もしない。
成人を控えたある日、ミュラーはこれを最後の告白にしよう、と決心しいつものようにはぐらかされたら大人しく彼を諦めよう、と決めていた。
そして、彼を諦め真剣に結婚相手を探そうと夜会に行った事をレオンに知られたミュラーは初めて彼の重いほどの愛情を知る
【お互い、モブとの絡み発生します、苦手な方はご遠慮下さい】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる